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プロツアー・名古屋 メタゲームブレイクダウン

プロツアー・名古屋 メタゲームブレイクダウン

By Tomohiro Kaji


アーキタイプ 割合
《鍛えられた鋼》 76 20.88%
ビッグレッド 62 17.03%
テゼレットコントロール 47 12.91%
赤緑コントロール 35 9.62%
感染 28 7.69%
白青コントロール 16 4.40%
赤黒除去コントロール 14 3.85%
青黒コントロール 14 3.85%
白単ウィニー 13 3.57%
《出産の殻》 13 3.57%
エスパーコントロール 11 3.02%
《大建築家》 10 2.75%
白単コントロール 7 1.92%
バント 5 1.37%
黒緑コントロール 4 1.10%
緑白ウィニー 3 0.82%
グリクシス 3 0.82%
カルドーサレッド 1 0.27%
赤白ウィニー 1 0.27%
青緑コントロール 1 0.27%
Total 364 100.00%
Data by Rashad Miller


 プロツアーが始まる直前、本戦に参加するプレイヤー達に今回のメタゲームについて意見を聞いた。

 「この環境で意識しているデッキ、強いデッキは?」

 その答えは、

 《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》。一択。

 しかし、いざトーナメントが始まり、Round1の間に会場内のテーブルを眺めて目に入ってきたのは・・・

 《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》で、3/3になった《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》をアタックに行かせたり、
大量の《山/Mountain(M11)》をコントロールしている状態で《槌のコス/Koth of the Hammer(SOM)》の紋章能力を起動したり、
そして《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》を互いに持っていていてハンドが30枚になったプレイヤーたち、であった。


○歴史は繰り返す、のか。

 現行のスタンダード環境を支配しているCaw-Bladeは、もともとCaw-Goという存在したアーキタイプであった。

 それが、ミラディン包囲戦で登場した《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine(MBS)》と、それを探し出す《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》のシナジーの爆発力を加えすることでプロツアー・パリ優勝デッキとなり、
 さらに新たなるファイレクシアで加わったサーチのオプション《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》がもう手がつけられない存在へとなっていった。
 ポテンシャルの高さを活かすための相方に恵まれなかった《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》だったが、ここに来て脚光を浴びるかたちとなった。


 そんな《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》と同じく、《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》も新たなるファイレクシアで優秀な仲間のリクルートに成功した。

 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》、《脊柱の飛行機械/Spined Thopter(NPH)》といった、ファイレクシア・マナをコストに含み、ライフを積極的に払うことを前提に構築すればすべて無色でまかなえるというアーティファクト・クリーチャーの軍団が登場したのだ。

 さらに、《急送/Dispatch(NPH)》という新しい《流刑への道/Path to Exile(CON)》は、金属術を達成することだけが条件であり、追い風に乗ったこのデッキは、他と比べれば狂ったスピードのビートダウンとさえ言えるだろう。
 そして、実際に20.88%ものプレイヤーがこのアーキタイプを選択した。


 しかし、ここはプロツアー。
 そんな単純なデッキで勝ち越せるわけがないのでは?


○次の次元。

 旧ミラディン、神河ブロック構築や、時のらせんブロック構築を思い出すと、プロツアー直前のメタゲームでは親和や白ウィニーといったクリーチャーデッキ主体のビートダウンが大量発生。
 特に酷いエピソードとして、プロツアー・横浜08の直前にMagic Online上で行われた時のらせんブロック構築では、「Top8が全員白ウィニー」という有様だった。
 しかし、横浜の本戦は異常なほどに白がメタられていて、フタを開ければ大量の除去呪文に《ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary(TSB)》、《硫黄の精霊/Sulfur Elemental(PLC)》の海と化していたのだ。

 現状、一番強いと分かっていながらも、選択を躊躇させるほどの苦い記憶を持つプレイヤー達は苦悩していた。

 プレイヤー達は歴史に学び、旧ブロック構築環境へと思考を遡らせた。

 《頭蓋骨絞め/Skullclamp(DST)》や《霊気の薬瓶/AEther Vial》に、《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault(MRD)》だけでなく《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》といった、ブロック構築における究極のアーキタイプが存在したあの時代だ。

 その後、大量の禁止カードを生み、デッキの存在すら否定された親和はまだ生まれたばかりで、どれだけ危険なのかも理解されていなかったが、
 当時オランダ勢は完璧な構築のデッキリストをTop8で公開し、プロツアーに参加していたプレイヤーたちですら唸らせたものだ。

 しかし、プロツアー・神戸04の決勝は、黒田正城の赤単ビッグレッドの優勝で幕を閉じる。
 そもそもの視点を変えたメタゲームの勝利だった。

プロツアー・神戸04優勝 黒田正城

プロツアー・神戸04優勝 黒田正城

 同様に、プロツアー・横浜07の決勝もWafo-Tapaと三田村の青黒ミラーマッチと、ビートダウンをメタったデッキを駆逐するための対コントロールで優位を狙った軸のズレたアーキタイプの勝利となった。

プロツアー・横浜08決勝

プロツアー・横浜08決勝


 そしてこの環境に話は戻る。

 ブロックを代表する2大プレインズウォーカーが存在し、過去に習いつつそのカードパワーを活かすための構築として、ユーティリティ火力に《槌のコス/Koth of the Hammer(SOM)》をフィーチャーした赤単が17.03%の2番人気、さらに緑を足したものも10%近くを占めていた。
 次点で《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas(MBS)》を軸に、
アドバンテージ要素のある軽いアーティファクトを有したした青黒が12.91%の使用率となり、これで半数以上のプレイヤーがカバーされた。


 これらのアーキタイプの外から伺うのが、ブロックのキーワード能力である「感染」を軸にしたもの、《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》を主軸にしたデッキ全体をつかったシナジーデッキなど。
 2色目こそばらばらだが、《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》がドローエンジンの除去コントロールも多くある。


○裏の裏は・・・?

 前半戦では、《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》を諦めて、対コントロールにシフトしたデッキを《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》が駆逐するという、
 今までのプロツアーで起こったことの全く反対の現象が起こっている。

 リミテッドを挟んでの最後の5ラウンドの構築戦、どんなデッキが勝つのだろう?

 ブロック構築は、次期スタンダードの基礎になる。ここからが注目だ。

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