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プロツアー・名古屋11

読み物

Round 9: 藤田 剛史(大阪) vs. Fabian Thiele(ドイツ)

By Masashi Oiso  席に着くと開口一番、 「ワーストデック・・・」  とぼやく藤田。練習で白しかやっていなかったが、今回のドラフトは上のプレイヤーが白をピックしていたので仕方なく別の色を選択せざるを得なかった、とのこと。  曰く"プレリリース状態"のドラフトとなった藤田ではあるが、デッキは青赤の回避ビートダウン。飛行やブロックされない能力を持ったクリーチャーを2枚の《闊歩するものの装具》で押し込む、まとまった構成となっている。  対するThieleは青黒のコントロール寄りなデッキに《赤の太陽の頂点》をタッチしている。  藤田としては、多色デッキの強力なカードを相手にする前にゲームを終わらせたいところだ。  構築では「Boros Deck Wins」等のビートダウンデッキで名を馳せる藤田のプレイに注目したい。
Game 1
藤田 剛史
藤田 剛史
 ダイスロールの結果、藤田はうれしい先攻を獲得。  赤マナがないものの、《グレムリン地雷》や《オキシダの屑鉄溶かし》のある手札をキープした。  ・・・しかし、3ターン目にして早くも土地が止まってしまい、先攻の利を活かすことができない。  《焼身の魂喰い》が地味に攻撃をする他は何もできず、渋い顔でターンを返す。  動きの芳しくない藤田を尻目に、Thieleは《テゼレットの計略》、《謎鍛冶》で手札を整える。すでに3色を確保した状態だ。  藤田は一応《》を引いて《嵌め乗りの滑空者》でクロックを構築するが、色の出ない状態に不満顔。  Thieleの場に《ヴィダルケンの解剖学者》が登場すると、手札の《鞭打ち炎》がキャストできない藤田はさすがに苛立ちを隠せない。  ライフは藤田 20 (毒1):Thiele 9(毒0)ではあるが、戦場は、《》4枚のみとなった藤田に対して《ヴィダルケンの解剖学者》《堕落の三角護符》といった強力システムとクリーチャーを擁するThieleのもの。  だが赤いカードや5マナ圏を大量に抱える藤田としては、土地さえ引ければまだチャンスはある。  ライフは詰められたものの、やっと《》を引きこんだ藤田は《オキシダの屑鉄溶かし》をキャスト。  対象は...《髄掘り》!?  正直《堕落の三角護符》を破壊することしか頭に無かった筆者には、藤田のバランス感覚に驚きを隠せなかった。  ここから《鞭打ち炎》やお互いのクリーチャーの壮絶な相討ちの結果、 ライフ  藤田14 (毒3):Thiele 9(毒0) 戦場   藤田《闊歩するものの装具》x2      Thiele《かき鳴らし鳥》《堕落の三角護符》 と、ややThiele有利といったところ。  まず、Thieleが《黒死病の魂喰い》を追加して一気にプレッシャーをかける。  藤田も負けず《侵害の魂喰い》を速攻で送り込み、やや先攻するが、《堕落の三角護符》+《かき鳴らし鳥》のシステムを前にダメージが間に合うのか?  《ヴァルショクの心臓焚き》によって一気にライフを詰めようと試みる。  が、前ターンに《ギタクシア派の調査》で見られていたため、対応策がない訳もなく《心理の障壁》で退けられる。  藤田は、このターン引いた《ファイレクシアの変形者》に可能性を求める。ここが実質最後の山場だろう。  ジャッジからの勧告により、意を決して《黒死病の魂喰い》とし、ブロックによる延命をはかる。《侵害の魂喰い》の攻撃でThieleのライフは3。  しかし、Thieleの手からこぼれた《赤の太陽の頂点》によりブロッカーを失った藤田は、致死量の毒を受けてしまった。 藤田 0-1 Thiele  Thieleは藤田のデッキを見て、サイドボードで軽量化をはかる。
Game 2
 再び藤田の先攻。今度は色、マイア、装備、回避クリーチャーときれいに揃っている。  《ギタクシア派の調査》でそれらを見たThieleは、どう捌いていくのか。  藤田は《銀のマイア》《闊歩するものの装具》《侵害の魂喰い》と順調にクロックを展開し続ける。  ライフで遅れを取っているThieleも負けずと《回転エンジン》《髄掘り》と並べるが、藤田のクリーチャーをブロックできないため殴り合うしかない。  藤田の《侵害の魂喰い》がお互いのライフを削りまくった結果、6ターン目の両者のライフは藤田 6 - Thiele 3。  追い込まれたThieleは《生命の終焉》で何とか踏みとどまる。  ・・・とはいっても《闊歩するものの装具》をコントロールする藤田にとって、3点のライフはあまりにも少なく。  フルタップのThieleに対して、藤田が「持ってるよー」と《ヴァルショクの心臓焚き》を見せると、Thieleは藤田のデッキを軽く確認してから投了した。 藤田 1-1 Thiele  Thieleの数々のパワーカードを目の当たりにした藤田はサイドボードを大幅に変更・・・と思いきや、違う色のカードだったり同じカードを入れ替えたりといったブラフで、結局入れ替えは《信号の邪魔者》→《勝利の破壊》のみ。  Thieleは《黒死病の魂喰い》2枚を抜いて《狂気コウモリ》投入など、さらに防御力を高める。
Game 3
Fabian Thiele
Fabian Thiele
 Thieleはもちろん先攻。「Have fun!」と軽くスマイル。  毎度のごとく3色を揃えているThiele、このゲームは《》2枚のスタートで色事故か?と思ったら《銀のマイア》を《心理の障壁》した後にあっさり3色並べてみせる。  対照的に、また土地が3枚で止まって不満な藤田。《ヴァルショクの心臓焚き》《火膨れ杖のシャーマン》といったCIP能力のクリーチャーを惜しげもなく投入し、クロックをなんとか拡大する。  順調に見えたThieleだったが、実は色が揃ったのは単に土地を多く引いているのか?  手札もマナも潤沢にあるにも関わらず、5ターン目に《回転エンジン》といまいちな動き。  藤田の《突き刺しモズ》に《赤の太陽の頂点》を打ち込むとなると、手札には何も無い?  もしくは、《生命の終焉》・・・?  藤田もそれを察知してかクリーチャーを温存し、Thiele唯一のブロッカーである《皮剥ぎの鞘》のトークンを装備もろとも《勝利の破壊》で排除して攻撃。これでThieleのライフは10。  それでも全く動かないThieleに対して《空長魚の群れ》をキャストしてみるが・・・やはり《生命の終焉》!  藤田の手札には《震盪の稲妻》があってあと一歩というところではあるが、手札のクリーチャーは《ヴァルショクの心臓焚き》くらい。  さらに虎の子の《震盪の稲妻》が《ギタクシア派の調査》で白日のもとに晒され、あと4点を与えるのは難しいか。  ・・・と、ここで藤田が引いたのは《突風掬い》。  Thieleの回答は《かき鳴らし鳥》。  対する藤田の提示したカードは...《鞭打ち炎》!  これで4点のダメージを受けることが確定してしまい、次のターンの敗北が避けられないことを悟ると、Thieleはうなずいて右手を差し出した。 藤田 2-1 Thiele  藤田は全勝のThieleを破り、ここで暫定首位に!  ゲームの後、少し落ち込んだ風のThieleを藤田が励ましているのが印象的だった。 「決勝ラウンドでリベンジしてよ!」と語りかける藤田。  ぜひ、両者に実現してほしいと思う。
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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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