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Deck Tech: 《鍛えられた鋼》

Deck Tech: 《鍛えられた鋼》

by Tomohiro Kaji


 初日のミラディンの傷跡ブロック構築を終えた第5ラウンド終了時点で、3人の日本勢が全勝の成績を残した。

 そのうち2人のプレイヤーが選んだのは、最強の名をほしいままにしているアーキタイプ、《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》だ。
 単純に、この1枚のカードパワーが環境に存在するカードの中から頭ひとつ分抜けている、というのがプレイヤー間での共通見解だったようだ。

 この構築部門を5-0した吉森 奨に、同じく《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》でプロツアーに参加しているLSVことLuis Scott-Vargasを加えた2人のデッキを分解して考察しよう。

吉森 奨
プロツアー・名古屋 / ミラディンの傷跡ブロック構築
11 《平地/Plains(M11)》
4 《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
4 《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》

-土地(19)-

4 《メムナイト/Memnite(SOM)》
4 《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》
4 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
3 《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder(MBS)》
4 《脊柱の飛行機械/Spined Thopter(NPH)》
2 《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》

-クリーチャー(21)-
2 《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》
2 《キマイラ的大群/Chimeric Mass(SOM)》
4 《急送/Dispatch(NPH)》
4 《起源の呪文爆弾/Origin Spellbomb(SOM)》
4 《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》
4 《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》

-呪文(20)-
3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader(MBS)》
3 《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》
3 《不退転の大天使/Indomitable Archangel(SOM)》
3 《存在の破棄/Revoke Existence(SOM)》
3 《四肢切断/Dismember(NPH)》

-サイドボード(15)-
Luis Scott-Vargas
プロツアー・名古屋 / ミラディンの傷跡ブロック構築
x 18 《平地/Plains(M11)》
4 《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》

-土地(22)-
4 《メムナイト/Memnite(SOM)》
4 《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》
4 《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder(MBS)》
1 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
3 《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》
4 《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》

-クリーチャー(20)-
x 2 《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》
4 《急送/Dispatch(NPH)》
4 《起源の呪文爆弾/Origin Spellbomb(SOM)》
4 《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》
4 《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》

-呪文(18)-
x 2 《不退転の大天使/Indomitable Archangel》
4 《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》
2 《骨髄の破片/Marrow Shards(NPH)》
2 《存在の破棄/Revoke Existence(SOM)》
1 《四肢切断/Dismember(NPH)》
2 《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel(SOM)》
2 《激戦の戦域/Contested War Zone(MBS)》

-サイドボード(15)-

 まずは、このデッキの核となる《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》だ。

 このカードは、今までの《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》系カードのなかでも異常なスペックで、3マナで+2/+2の修正が与えられる。

 そして、その修正の条件にはアーティファクトである必要があるのだが、さすがはミラディンの傷跡ブロック、《メムナイト/Memnite(SOM)》《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》《起源の呪文爆弾/Origin Spellbomb(SOM)》という、それぞれ軽すぎる、マナがかかるなどのクセがあるが、マナ効率良くビートダウンできるアーティファクト・クリーチャーが揃っている。

 さらに、これらの大量のアーティファクトで高速展開を金属術で加速させ、《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》と《急送/Dispatch(NPH)》がブロック構築の速度の限界を超える。
 《メムナイト/Memnite(SOM)》に《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》からの2ターン目の《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》もありえ、中村 肇(東京)は実際に本戦で「2ターン目に11点のダメージを受けた」という話をしてくれた。

 しかも、このデッキのスゴイところは《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》がアーティファクト・クリーチャーであることから、《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》があれば簡単に毒死させられるという、第二の勝ち手段があるということだ。

 LSVのプレイを少し見たのだが、通常ダメージを与えるクリーチャーを高速展開し、対戦相手が対処にマナをタップアウトした瞬間に確実に毒を蓄積するという、「プレイでマナ拘束する」という上級のテクニックを駆使していた。

 なんと、ここまでが《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》デッキの基本なのだ。


○吉森 奨の場合。

吉森 奨

吉森 奨


 彼は、直前に井川 良彦(東京)からデッキをシェアしてもらったという。

 だがそのまま試合に出たわけではなく、もらったリストには《きらめく鷹/Glint Hawk(SOM)》が入っていたが、スタンダードの《メムナイト/Memnite(SOM)》+《聖なる秘宝の探索/Quest for the Holy Relic(ZEN)》の様なシナジーがないことと、単体でのスペックにも難があることを、同じく今回がプロツアー初参戦となる竹林 友から指摘され、これを《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》と、同型に強い《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder(MBS)》に入れ替えたそうだ。

 そして、想定される除去デッキ相手にアーティファクトを破壊され、《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》が機能しなくなること、《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》といった重めのカードがサイドインされることから《平地/Plains(M11)》に枠を割いていたのだが、追加したメインの《起源の呪文爆弾/Origin Spellbomb(SOM)》によるドローも加味して切り捨てた。

 これは、LSVの構築に近いことと、二人あわせて10-0という成績であることから正解だっただろう。


○Luis Scott-Vargasの場合。

Luis Scott-Vargas

Luis Scott-Vargas

 まずは吉森のリストのサイドボードをよくみてほしい。

 彼は、一般的なデッキからシナジー要素を産まないカードを取り除くという発想だったが、速度を少し殺してでも安定性という意味でLSVは"サイドボード"の《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》と《平地/Plains(M11)》をメインボードへと加えることを選択した。

 このお陰で、《四肢切断/Dismember(NPH)》から《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》を守る《Force of Will》であるところの《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》を4枚採用する枠が取れ、さらに重たい《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel(SOM)》や、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》を強化する《激戦の戦域/Contested War Zone(MBS)》という対コントロールも意識したものとなっている。



 これは、あくまでブロック構築戦5ラウンドの結果のみからの考察だが、一つだけ言えることがある。
 大型セットのローテーション後、次期スタンダード環境を占うブロック構築のプロツアーは確実に一年後を写す鏡になっている。

 つまり、次のスタンダードのメタゲームは、《鍛えられた鋼/Tempered Steel(SOM)》を中心にまわる。

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