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Feature: 『Channel Fireball』とは、何だ?

Feature: 『Channel Fireball』とは、何だ?

by 中村 修平&津村 健志


 ここ数年のプロツアー史を語る上で、外すことができない一大勢力がいる。

 『Channel Firaball(チャネル・ファイアーボール、通称チャネル)』

 Luis Scott-Vargas(ルイス・スコット=ヴァーガス、通称LSV)、Paulo Vitor Damo da Rosa(パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、通称PV)といった世界屈指のプロプレイヤーが所属するチーム名であり、マジックの戦略記事を供給するウェブサイト。そして世界的な規模で展開しているマジック専門店でもある。

 かなり前に小耳に挟んだ話では、西海岸の大手カードショップのジュニアかそんな立場の人が独立・自分の事業として、マジック専門店をスーパースターゲームスという名でサンフランシスコ近郊のサン・ジョゼにて立ち上げ、、その時にビジネスモデルとして既に成功していた最大手のStarCityGames(スターシティゲームズ)を真似る形で、ルイスを編集長として引きぬいたのがチャネルだ、なんてことらしいのだが・・・

 ぶっちゃけてしまうと、チャネルに所属していることになっているらしい私、中村もこの程度しか知らない。
 本当に知りたいのはそんな与太話ではなく、プロツアー横丁のそこかしこに跋扈する黒シャツ集団の全貌、世界ナンバーワンチーム『チャネル・ファイアーボール』とはどのようなチームなのか、それこそが誰もが興味のあるトピックではないだろうか。

 そんな疑問から、今回プロツアー参戦中のチャネルファイアーボールプロたちにインタビューを試みた。
 果たして彼らはどのような編成、布陣をもってプロツアーに挑んでいるのだろうか。

 その全貌が明らかに!
 ・・・なるかもしれない。


 まずは何と言ってもこの人、現在トップ8に向けて好位置をキープしている、チャネルファイアーボールのウェブサイト編集長。そしてアメリカ最強の男。


Luis Scott-Vargas(ルイス・スコット=ヴァーガス)


LSV

―― いつチャネルに加入しましたか、そして理由は?
LSV 『サイトのオープンの更に前から。ウェブコンテンツのマネージャー、ライターももちろんやってる。言わば私自身がチャネルだね』

―― あなたが普段調整する時の相手は?
LSV 『PVとJoshだね。Joshは家が近いから一緒に調整することが多いね。プロツアー前は大会の1週間前にはチームで集まって調整してるね』

―― 最近の日本勢についてどう思う?
LSV 『昔に比べて使っているデッキは弱くなったかな。でもプロツアー・パリで「Caw-Blade」を使っていたプレイヤーもいたし、もしかしてそんなに駄目って訳でもない?』

―― チャネルであることのアドバンテージ、あるいはディスアドバンテージはある?
LSV 『これだけのメンツで密度の濃い練習ができるんだから、いつでも強いデッキができるのは当然で、それこそがアドバンテージだ。ディスアドバンテージはないね』

―― MO(マジックオンライン)って利用してる?
LSV 『自分のスキルを向上させるには凄く良い手段だね。でもプロツアーの練習には向いてない。ドラフトは凄く良い練習になるけど、例えMOの構築で10-0したって、それはあてにならないね。プロツアーは別の次元のゲームだと思う。』

―― チャネル最強は誰だと思う?
LSV 『PVだ。28回しかプロツアーに出てないのに、7回もトップ8に残っているなんて尋常じゃないとしか言いようがない!』


 続いてもう1人の金看板。現役最強のレベル8プロ、PVことPaulo Vitor da mo Rosa。


Paulo Vitor Damo da Rosa(パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ)


PV

―― いつチャネルに加入しましたか、そして理由は?
PV 『チャネルが出来る1年くらい前、友達(LSV)に誘われて加入したのがきっかけだね』

―― あなたが普段調整する時の相手は?
PV 『LSV、Ochoa(デイヴィッド・オチョア)、Juza(マーティン・ジュザ)、Josh(ジョシュ・ウッター=レイトン)、Lucas(ルーカス・シオウ)、Woods(コンリー・ウッズ)、Nelson(ブラッド・ネルソン)、Kibler(ブライアン・キブラー)、Stark、Owen、Matt(3人については後述)』

―― 最近の日本勢についてどう思う?
PV 『相変わらず凄く強いプレイヤーはいっぱいいるね。でも最近はいつも弱いデッキを使っているイメージ』

―― チャネルであることのアドバンテージ、あるいはディスアドバンテージはある?
PV 『みんな凄く良い友人だし、そんな友人達と一緒に調整や一緒に旅ができるんだから、それって最高だよね。デメリットは1回戦が終わったら、会場のみんなにデッキがバレちゃうことかな』

―― MO(マジックオンライン)って利用してる?
PV 『MOはやらない。勝てないし、クリックミスはするし』

―― チャネル最強は誰だと思う?
PV 『LSV』

―― 最後にスペシャルクエスチョン、いつ記事を書いてるの? あなたの記事は日本でもとても人気ですが、何か良い記事を書く秘訣はありますか?
PV 『ありがとう、いつでもどこでも暇さえあれば書いてるね。秘訣は・・・(考え込んだ後に)わからない。いつも自分の考えを記事にしてるだけなんだよね。でも自分が試合中に何を考えているかを、ちゃんと記事で伝えるようにすれば自然と良い記事になると思うよ。』

 なるほど。最後の質問なんかは質問者の意図がまる分かりですが、仲が凄く良いのが印象的でした。


 お次は若手プレイヤーに聞いてみましょう。日本での知名度はイマイチですが、アメリカでは詳細なデッキの記事について定評がある。Matt Nassにインタビューしてみます。


Matt Nass(マット・ナス)


Matt Nass

―― いつチャネルに加入しましたか、そして理由は?
Matt 『1年半前、Luisがいたから凄く入りたかったし、(Luisからも)誘ってくれたからね』

―― あなたが普段調整する時の相手は?
Matt 『大抵はLuis、そうじゃない時は友達のTom Raneyとやってるよ』

―― 最近の日本勢についてどう思う?
Matt 『みんなと同じ答えになっちゃって申し訳ないんだけど...、やっぱり最近の日本人のデッキはいまいちな気がするよ。強いプレイヤーは多いと思うんだけどね。』

―― チャネルであることのアドバンテージ、あるいはディスアドバンテージはある?
Matt 『プレイテスト。上手いプレイヤーが多いことだろうね。そのおかげで僕らは毎回良いデッキを作ることができるし、上手いプレイヤーと練習すると上達も圧倒的に早いよね。ディスアドバンテージについては・・・どうだろう、たぶんないんじゃないかな。』

―― MO(マジックオンライン)って利用してる?
Matt 『練習する場としては凄く良いよね。大会の直前ではたくさんプレイするけど、普段はそんなにかな。リアル7:MO3くらい』

―― チャネル最強は誰だと思う?
Matt 『LSV! 本当に凄いプレイヤーだよ。PVも良いセンだけど。やっぱりLuisだね。』

 Luis、めちゃめちゃ好かれています。
 Luisの人望というのはチャネルを語る上で大きなキーワードかもしれません。


 次にインタビューするのは目下POY(プレイヤー・オブ・ザ・イヤー)レース暫定1位のこの人。海外グランプリでTOP8を量産する、アメリカ製渡辺雄也状態。日本語カバレージに登場しないので、いまいち知名度が低そうなのですが、注目しておいて間違いがない男。Owen Turtenwaldです。


Owen Turtenwald(オーウェン・ツァーテンウェルド)


Owen Turtenwald

―― いつチャネルに加入しましたか、そして理由は?
Owen 『去年のプロツアー・アムステルダム直前』

―― あなたが普段調整する時の相手は?
Owen 『チャネルの面々にプラスJuza、Kibler、Nelsonとか、ウェストウィスコンシンに住んでいるから普段はMO』

―― 最近の日本勢についてどう思う?
Owen 『手強いね。強いプロ達が(通りかかった渡辺を見ながら)たくさんいるし』

―― チャネルであることのアドバンテージ、あるいはディスアドバンテージはある?
Owen 『アドバンテージは友達同士、しかもアメリカ最高のプレイヤー達と一緒に調整できるのは計り知れないメリット。デメリットはConley Woodsがいる事かな(笑)』

―― MO(マジックオンライン)って利用してる?
Owen 『最高だね。僕の地元にはプロと呼べるプレイヤーがいないのだけど、MOのおかげで良い練習ができている。カードが一枚も無くとも、近所にプレイヤーがいなくとも、MOさえあれば何の問題も無いんだ。』

―― チャネル最強は誰だと思う?
Owen 『間違いなくLSVだね。(チャネルの中で)抜けて強いよ。』

 なるほど、近年と活躍著しいOwenですが、その原動力はやはりチャネル加入と、経験というのがとても大きなものだったようです。
 それとConley Woods。独創的なデッキでプレミアイベントに挑戦することで知られている彼ですが、プレイの方もかなり独創的である意味大人気なようです。
 このポジション、日本でも似たような人がいるような気がしますね。


 最後にインタビューするのは今年の3月加入したばかり、今シーズン最初のプロツアーパリチャンピオンでもあるBen Stark。
 本人が物凄く早口なので聞き取りに自信がありませんが、だいたいこんな感じだったはずです。


Ben Stark(ベン・スターク)


Ben Stark

―― いつチャネルに加入しましたか、そして理由は?
Ben 『今年から。こんだけ強いヤツが揃っていることに、凄く魅力を感じた』

―― あなたが普段調整する時の相手は?
Ben 『チャネルメンバーにKibler、Brad...(以下早口で10名ほど延々と)』

―― 最近の日本勢についてどう思う?
Ben 『お前ら最近、弱いデッキばっか使ってるよね。ここのところの日本人と言えば・・・(以下省略で)』

―― チャネルであることのアドバンテージ、あるいはディスアドバンテージはある?
Ben 『アドバンテージは所属することでいつでも良いデッキリストがもらえること。ディスアドバンテージについては、それは誰しもが何かしらで持つことだから厳密にはディスアドバンテージという概念自体がナンセンス。これ自体があまり良い質問ではないね。例えばLuisが対面に座ったらチャネルであろうがなんだろうがコントロール使ってるって即バレ。Matt Nassならウェブサイトに載ってる。Conleyはいつも素晴らしい(笑)デッキ使ってるとか』

―― MO(マジックオンライン)って利用してる?
Ben 『凄く良いツール。プロツアー・パリ前にはそれこそMO漬けで調整してた。MOなしには俺のプロツアー優勝はありえなかったな』

―― チャネル最強は誰だと思う?
Ben 『1つ言えることは俺ではないのは確か、リミテッドならJuza、構築ならPV、プロツアーならLSV。そしてアメリカのグランプリならOwenだな』



 インタビューを通じて私が感じたのは、『チャネル・ファイアーボール』とは初めからトッププロが集まったドリームチーム、あるいは全米オールスターズなどではなく、サン・ジョゼに居を構えるルイス・スコット=ヴァーガスを中心とした、小さなテストグループがあくまで基盤であること。
 そして、そこにマジック・オンラインで切磋琢磨する若手プレイヤー達が合流したものが核になっている非常に若い集団で、更に実力が折り紙つきなトッププロが合流するという形となっている、ということだ。

 例えば今回インタビューしたマット・ナスなどは、彼らのウェブサイトの看板ライターとも言える存在なのだが、そのマット・ナスでもチャネル歴わずか1年半。
 考えてみると、かつて在籍していた前年度POY・ブラッド・ネルソンも本格的なデビューは2年前。今回チャネル勢が選択した白ウィニーの製作者で、去年の全米チャンピオン、ジョシュ・ウッター=レイトンはちょうど去年の今頃、プロツアー・サンファン直前でのチャネル入り。目下POYレースのトップを走るオーウェンなどはわずか9カ月前に加入ということからも、非常に若い集団であることがうかがえる。

 勢いがあり、何よりも情熱に溢れている若手プレイヤー達がいて、成熟の域に達しているルイスが大黒柱となって屋台骨を支え、チームをまとめ上げる。
 そこから強力なデッキが生まれ、好成績を挙げるプレイヤーが現れると、そのこと自体が好循環となって、新たな人材を巻き込んでまた一段と強くなっていく。
 今年に入って新たにマーティン・ジュザ、ベン・スタークといったスタープレイヤーが加入しチャネルの進化はまだまだ止まらないようだ。

 果たして今年は何人のチャネルシャツを着たプロツアーチャンピオンが生まれる事だろうか?

 そしてチャネルの勢いを止めることが出来るチームが生まれるのだろうか?

 どちらにせよ、プロツアーではやはりチャネルシャツから目を離せない。

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