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準々決勝: 角岡 利幸(東京) vs. Luis Scott-Vargas(アメリカ)

準々決勝: 角岡 利幸(東京) vs. Luis Scott-Vargas(アメリカ)

by Atsushi Ito


 プロツアー予選突破の常連で、プロツアー参加自体は幾度も経験があったが、これまで目立った戦績を残せずにいた角岡 利幸(東京)。

 しかし6度目の参加となる今回は、ブロック構築のデッキとして井川 良彦(東京)と藤本 太一(東京)が共同製作した《カルドーサの再誕/Kuldotha Rebirth》赤単をシェアしてもらい、持ち前のリミテッドセンスと相まって、ここ名古屋の地でその実力を証明してみせた。


 だが、頂まではまだ遠い。ここからの3連勝はフライデーナイトマジックで優勝するのとはわけが違う。

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 その証拠に、いきなり準々決勝から角岡の前に立ちはだかるのはLSV。しかもデッキは卓内最強と目される緑黒タッチ赤の感染なのである。

 角岡のデッキも藤田 剛史(大阪)の下家に座って流れに乗ってピックした結果、強力カード目白押しの緑黒タッチ青となってはいるのだが、LSVと比べるとデッキも格もどうしても一段落ちる、という印象を抱かざるをえない。


 それでも、LSVの前に座る角岡の顔に険はない。当然緊張はしているのだろうが、そんな様子は微塵も見せず、さながら不動の巌のように堂々とした面構えである。

 おそらく決勝トーナメントの中で角岡にとって最大の試練となるこの準々決勝。世界最強との呼び声も高いLSVを乗り越え、準決勝に駒を進めることができるか。


Game 1

 《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》と最高のスタートを切るLSVだが、土地が3枚で詰まってしまう。角岡も《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》《ニューロックの模造品/Neurok Replica(SOM)》と展開して《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》のアタックを牽制するが、飛行のクロックがどうにもならず、1毒ずつ刻まれていく。

 それでもまだ余裕がある角岡、まずは《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》を《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》に突っ込ませてマナブーストし、さらに《生命の接合者/Vital Splicer》を展開。

 このゴーレムトークンは角岡に再生マナがない返しのターンに、丁度《山/Mountain》を引きこんだLSVの《オキシダの屑鉄溶かし/Oxidda Scrapmelter》で葬られるが、ここで角岡はLSVに除去を使わせたと見るや、手札に溜めていた《宝物の魔道士/Treasure Mage》で《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》をサーチする。「使っちゃったよ」と言わんばかりに《オキシダの屑鉄溶かし/Oxidda Scrapmelter》を指差して苦笑するLSV。

 さらに次のターン、6枚目の土地こそ引けないものの、角岡がキャストしたのはLSVの除去を全て封殺する《呪文滑り/Spellskite》。ちなみにこのカード、角岡がピックしたのはなんと6手目である。

 LSVも2体目の《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》をプレイして毒のクロックを早めようとするが、《ウィザードの模造品/Wizard Replica》が嫌らしくバウンスして角岡の命を延ばす。

 ついに6枚目の土地に辿りついた角岡が満を持して《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》が降臨させると、脇の《呪文滑り/Spellskite》に守られているため安全にトークンを生産することに成功する。

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 LSVも《病気の拡散/Spread the Sickness》で(一応《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》を狙って)《呪文滑り/Spellskite》を葬りつつ,角岡を7毒まで追いつめて一縷の望みに賭けるのだが、角岡が《納墓の総督/Entomber Exarch》で《呪文滑り/Spellskite》を回収して再度キャストすると、そのまま飛行機械の群れに押しつぶされてしまった。

 角岡 1-0 LSV


Game 2

 《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》《憤怒の三角護符/Trigon of Rage》《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》と流れるように展開するLSVだが、角岡も《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》《盲目の盲信者/Blind Zealot》から《グリッサの嘲笑/Glissa's Scorn》で《憤怒の三角護符/Trigon of Rage》を破壊、と必死に食らいつく。

 ここでLSVは《髄掘り/Pith Driller》で《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》をどかしてまで《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》の攻撃を通しにいくが、それが結果的に角岡を助けることになってしまう。

 すなわち、マナブーストのおかげで何と5ターン目に《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》が登場してしまったのである。

 しかも土地が詰まっているせいで返しのターンにこれを除去できないLSVはトークンの生産を許してしまう。再召喚されたタイミングでは《オキシダの屑鉄溶かし/Oxidda Scrapmelter》したものの、さらに角岡は《納墓の総督/Entomber Exarch》でこれを回収し、トークンでのアタックを継続する。このまま角岡が1ゲーム目同様に圧勝してしまうのか。

 とここで、LSVがサイドインした《精神隷属器/Mindslaver》をプレイする。毒5個の角岡に対しLSVの盤面の感染クリーチャーは《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》と《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》の2体だけであり、角岡の手札も《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》くらいのため、見えている情報だけなら致命的なカードではない、起動されてもせいぜい1ターン《濃霧/Fog》する程度の影響力しかないように見える。

 だが角岡は何かを感じ取ったか、ドローした《ウィザードの模造品/Wizard Replica》をプレイして自分の《納墓の総督/Entomber Exarch》を手札に戻し、再キャストしてLSVの手札を《強迫/Duress》する。

 はたしてLSVの手札からこぼれ落ちたのは《変異原性の成長/Mutagenic Growth》!!

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 このワンプレイで完全にプランが崩されたLSV。それでもやむなく《精神隷属器/Mindslaver》を起動し、角岡のクリーチャーをフルアタックさせて最後のドローに賭けるが、あえなくライブラリトップは土地なのだった。

 角岡 2-0 LSV


Game 3

 2ターン目《疫病のマイア/Plague Myr》のLSVに対し、角岡の初動は後手3ターン目の《宝物の魔道士/Treasure Mage》。もはや隠す意味もない《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》をサーチする。

 返しのターン、ここでLSVが2枚目の《森/Forest》が引けていればあわや《ファイレクシアのハイドラ/Phyrexian Hydra》が4ターン目降臨という場面だったが、引けなかったのでまずは《ファイレクシアの愛撫/Caress of Phyrexia》を自身にキャスト。さして痛くない3点ルーズと3毒を受けつつデッキを掘り進めていく。

 その結果見事《森/Forest》に辿りついたLSVは、《漸増爆弾/Ratchet Bomb》でゆっくりゲームをコントロールしようとする角岡に対し、今度こそ《ファイレクシアのハイドラ/Phyrexian Hydra》という強烈な毒クロックを突きつける。

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 角岡も《黒死病の魂喰い/Pestilent Souleater》をプレイし、《宝物の魔道士/Treasure Mage》と2体立たせて《ファイレクシアのハイドラ/Phyrexian Hydra》を迎え撃つことで対処可能なサイズに縮んでもらうプランだが、これは《不純の焼き払い/Burn the Impure》され、仕方なく《宝物の魔道士/Treasure Mage》だけでチャンプブロック。脇をすり抜けた《疫病のマイア/Plague Myr》によって角岡は2個目の毒を受ける。

 それでも、場では押されているものの角岡はようやく6ターン目に辿りついた。すなわち、頼みの綱の《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》をプレイする。《ファイレクシアのハイドラ/Phyrexian Hydra》の5毒は1回受けることにはなるが、これが無事トークンを生産できるようならゲームはまだわからない。

 しかし、LSVは三度目の正直でこれを《オキシダの屑鉄溶かし/Oxidda Scrapmelter》でどかすと、そのターンのうちに《変異原性の成長/Mutagenic Growth》と戦闘後の《不気味な苦悩/Grim Affliction》の増殖で角岡をぴったり毒殺してみせた。

 角岡 2-1 LSV


Game 4

 微妙な表情で6枚をキープしたLSVに対して、角岡は《呪文滑り/Spellskite》《宝物の魔道士/Treasure Mage》と早くも《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》への準備万端。

 LSVもなんとかクロックとして《囁く死霊/Whispering Specter》を用意するが、返しで角岡がプレイしたのは《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》。プレイするカード全てがLSVに絶望を突きつける。

 ここでLSVは角岡のプレイミスに賭け、まずはゆっくり時間をかけて考えてから、電光石火の速度で《憤怒の三角護符/Trigon of Rage》プレイ→《囁く死霊/Whispering Specter》アタック→護符起動という3アクションをこなし、《囁く死霊/Whispering Specter》での4ディスカード(角岡の手札は4枚)を目論む。角岡がうっかり《呪文滑り/Spellskite》の起動を忘れてくれればあわや大逆転、という奇策だ。

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 だが、初めてプロツアートップ8という大舞台に立ったにも関わらずどこまでも冷静沈着な角岡には、そのような搦め手は通用しなかった。LSVの素早いアクションに眩まされることなく、1秒もかけずに《呪文滑り/Spellskite》を指差す角岡。結局1毒を与えられるにとどまる。

 返すターンに角岡は《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》で即座に《囁く死霊/Whispering Specter》を除去すると、5枚目の土地を置いてターンを返す。《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》降臨まで、もはや猶予はない。

 しかしこの局面でLSVは土地が4枚で詰まった上に緑マナが引けておらず、《盲目の盲信者/Blind Zealot》をキャストすることしかできない。角岡は6ターン目にしっかり土地を置き、《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》を着地させる。

 はたしてLSVのターン、除去は・・・ない。

 5体の飛行機械トークンがばら撒かれるとともにすぐさま5/5飛行が再登場すると、ついにLSVは角岡にその手を差し出したのだった。

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 角岡 3-1 LSV

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