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決勝: 角岡 利幸(東京) vs. David Sharfman(アメリカ)

決勝: 角岡 利幸(東京) vs. David Sharfman(アメリカ)

by Atsushi Ito


 紡がれてきた物語がある。語り継ぐべき歴史がある。

 Luis Scott-Vargasも、藤田 剛史も敗れ去ったフィーチャーテーブル。そこに座る資格を得たのはたった2人。

 角岡とSharfman。今からマジックの歴史の一部にその名を刻まんとしている2人だ。

角岡 利幸David Sharfman
角岡 利幸David Sharfman

 プロツアーが混成フォーマットになって、勝ち上がるためにはますます、弛まぬ練習としっかりとした実力が必要とされるようになった。

 ゆえに、今さら説明する必要のないことではあるけれど。

 スイス16回戦を勝ち抜き、なお準々決勝と準決勝をも乗り越えてこの決勝戦のテーブルに座っている2人は今、間違いなく強い。そして、どちらがより強いのかを決めようとしている。

 その行く末を、見届けよう。

 角岡が勝つ未来とSharfmanが勝つ未来。どちらに確定するのか、それは箱を開けるまでわからない。だが、箱は今開かんとしている。

 かつて小室 修が戴冠し、多くの人が《伝承の語り部/Teller of Tales》となったここ名古屋の地で、再び日本人のプロツアーチャンピオンが誕生し、また多くの歴史の目撃者が生まれるのか。それともSharfmanがそれを阻むのか。

 プロツアー・名古屋2011。その最後の物語が今、始まる。


Game 1

 1ゲーム目は先手のSharfmanが、角岡のデッキにとって致命的な《コスの急使/Koth's Courier》を3ターン目にキャストするところからゲームがスタートする。

 角岡はいまいち噛み合わない《嚢胞抱え/Cystbearer》で応えるが、続けて《オーリオックの模造品/Auriok Replica》を召喚したSharfmanに対し、ガードを下げて《嚢胞抱え/Cystbearer》でアタックしてから《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》を召喚すると、Sharfmanの《火膨れ杖のシャーマン/Blisterstick Shaman》でテンポを取られ、余計な2点をもらってしまう。

 だがこれも角岡の計算のうちか。返すターンに角岡は《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》のマナブーストを受け、準々決勝でLSVを屠った「最速5ターン目の《飛行機械の組立工/Thopter Assembly》」を実現する。

Sharfman2

Sharfmanが《島》からプレイしたのは・・・


 しかし。

 しかしSharfmanはさらにその上を行った。《山/Mountain》と《島/Island》しか立っていないところから飛んできたのは、あろうことか《鋼の妨害/Steel Sabotage》。

 角岡のイージーウィンを許さないだけでなく、《コスの急使/Koth's Courier》が止まらないところに、さらなるクロックとして豊富な赤マナのバックアップを受けた《回転エンジン/Spin Engine》を追加したSharfmanが、まずは王者の椅子に向けて一歩先んじた。

 角岡 0-1 Sharfman


Game 2

 3色の自分のデッキを安定して回すためか、2マナが厚くないSharfmanのデッキが4マナ以降に到達する確率を下げるためか。その意図は明らかではないが、とにかく角岡は後手を選択。

 《燃えさし鍛冶/Embersmith》に対し《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》をプレイする角岡だが、これは即座に《火膨れ杖のシャーマン/Blisterstick Shaman》で退場。返すターンに角岡はセットランドがなく、《ヴィダルケンの解剖学者/Vedalken Anatomist》をプレイするにとどまる。

 盤面はタフネス1ばかりだが、角岡の土地が3枚で止まっている現状、展開を続ける限りクロックで押し切れるSharfmanは、《コスの急使/Koth's Courier》《刃の歩哨/Bladed Sentinel》と次々に展開。

 角岡が《グリッサの嘲笑/Glissa's Scorn》で《刃の歩哨/Bladed Sentinel》を、Sharfmanが《金屑化/Turn to Slag》で《ヴィダルケンの解剖学者/Vedalken Anatomist》をそれぞれ屠った時点で既に角岡のライフは8。《コスの急使/Koth's Courier》が、止まらない。

 それでも、角岡の置いた《漸増爆弾/Ratchet Bomb》がギリギリでライフ2点残して間に合う計算のはずだった。

Kadooka2

驚きに目を見開く角岡


 そう、間に合うはず「だった」のだ。Sharfmanのトップデッキがなければ。

 エンド前に角岡が《漸増爆弾/Ratchet Bomb》のカウンターを3個に増やしたところで、Sharfmanが合わせたのは今引いたばかりの《粉砕/Shatter》!

 急転直下で《コスの急使/Koth's Courier》への対処手段を失った角岡はカードを畳むしかないのだった。

 角岡、もう後がない。

 角岡 0-2 Sharfman


Game 3

 再び後手を選択した角岡は、土地が2枚だが《漸増爆弾/Ratchet Bomb》《盲目の盲信者/Blind Zealot》と比較的《コスの急使/Koth's Courier》に対処しやすいであろうハンドをキープする。

 だが3ターン目に《回転エンジン/Spin Engine》、4ターン目に《刃の歩哨/Bladed Sentinel》と順調にクロックを展開するSharfmanに対し、角岡の土地は2枚から増えない。

 そして4ターン目、ついにはディスカードを始めてしまう。ここまでポーカーフェイスを貫いてきた角岡の表情に、わずかに焦りの色が滲み始める。

 それでも角岡は《漸増爆弾/Ratchet Bomb》で《回転エンジン/Spin Engine》を排除できることに望みを託すが、ここでSharfmanは《漸増爆弾/Ratchet Bomb》に既にカウンターが2個載っているにも関わらず、青マナ1つ立たせて《オーリオックの模造品/Auriok Replica》をプレイする。

Sharfman3

 明らかに不審なプレイだが、エンド前にカウンターを載せないわけにもいかない角岡。

 そしてそこに突き刺さる《鋼の妨害/Steel Sabotage》!


 返すターンにもまだ3枚目の土地が引けない角岡は、一応《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を再度キャストしてはみるものの、既にどうあがいても間に合わないことは明らかだ。

 角岡は一応最後のドローを確認して。

 Sharfmanの勝利を讃えるべく、笑顔で右手を差し出したのだった。

Shake

 角岡 0-3 Sharfman

w_trophy

Sharfman4

 プロツアー名古屋2011優勝は、David Sharfman!!

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