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Deck Tech: バントコントロール by 山川 洋明 (スタンダード)

Deck Tech: バントコントロール by 山川 洋明 (スタンダード)

by Kenji Tsumura


 昨日はThe Limits本戦初日が行われていましたが、それに併催される形で進行していたのがThe Finals ラストチャンス予選でした。

 そこで見事にトップ8に残り、権利を獲得したプレイヤーたちのデッキはこちらでご覧になれます。

 この記事では、そんなトップ8に残った方以外で、このまま埋もれさせてしまうのは惜しいと思えるようなデッキを紹介したいと思います。まずはリストをご覧いただきましょう。

山川 洋明 「バント(青緑白)コントロール」
The Finals 2011 ラストチャンス予選
4 《島/Island(M12)》
3 《森/Forest》
1 《平地/Plains(ISD)》
4 《内陸の湾港/Hinterland Harbor(ISD)》
4 《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
2 《氷河の城砦/Glacial Fortress(M12)》
4 《剃刀境の茂み/Razorverge Thicket(SOM)》
1 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove(M12)》
2 《幽霊街/Ghost Quarter(ISD)》

-土地(25)-

4 《極楽鳥/Birds of Paradise》
1 《幻影の像/Phantasmal Image》
4 《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》
2 《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》
1 《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》
1 《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk(ISD)》
2 《霜のタイタン/Frost Titan(M12)》
1 《太陽のタイタン/Sun Titan》

-クリーチャー(16)-
4 《マナ漏出/Mana Leak》
2 《熟慮/Think Twice(ISD)》
2 《漸増爆弾/Ratchet Bomb(SOM)》
2 《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》
2 《出産の殻/Birthing Pod》
1 《審判の日/Day of Judgment(M12)》
1 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》
2 《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept(M12)》
2 《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(M12)》
1 《解放された者、カーン/Karn Liberated》

-呪文(19)-
1 《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary(MBS)》
1 《堂々たる撤廃者/Grand Abolisher》
1 《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
2 《否認/Negate(M12)》
1 《天界の粛清/Celestial Purge》
1 《神への捧げ物/Divine Offering》
2 《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
1 《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》
3 《審判の日/Day of Judgment(M12)》
1 《白の太陽の頂点/White Sun's Zenith》
1 《青の太陽の頂点/Blue Sun's Zenith》

-サイドボード(15)-


 実はこのデッキの使用者である山川さんは、元祖「太陽拳(青白黒)」の生みの親なんです。

 元祖「太陽拳」を知らない方に簡単にご説明させていただくと、「太陽拳」とは《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star(CHK)》や《絶望の天使/Angel of Despair》といった大型フィニッシャーを擁する「青黒白」のコントロールデッキで、それらを《強迫的な研究/Compulsive Research(RAV)》で捨てて《ゾンビ化/Zombify(ODY)》する「リアニメイト戦略」が組み込まれていたのが特徴的なデッキでした。

 元祖「太陽拳」は、アメリカ選手権優勝など数々の輝かしい成績を残したすばらしいデッキだったのですが、その雛形を作り上げたのは山川さんだったのです。そんな山川さんが現環境で愛用しているのが、こちらの「バント(青緑白)コントロール」で、元祖「太陽拳」に負けず劣らず個性の強いリストに仕上がっています。

 このデッキには主に2つの勝ちパターンが用意されており、一つ目は《出産の殻/Birthing Pod》を用いたクリーチャーで押し切る形。4枚投入された《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》が戦線をこじ開け、そこから《出産の殻/Birthing Pod》での連鎖を行うことで、最終的に《霜のタイタン/Frost Titan(M12)》か《太陽のタイタン/Sun Titan》に繋げ対戦相手を圧倒していきます。

 このリストの秀逸なところは、一般的には4枚採用が当たり前と思われている《出産の殻/Birthing Pod》を2枚に抑えていることでしょう。

 《出産の殻/Birthing Pod》を4枚入れるということは、少なからず《出産の殻/Birthing Pod》に依存した構成になるということを意味し、それを引かない場合に多少なりとも動きがギクシャクしてしまうという弱点を抱えることになります。

 その一方で、《出産の殻/Birthing Pod》を引いた時の爆発力は環境でも屈指のものがあるのですが、安定して《出産の殻/Birthing Pod》を引く手段が現環境にはないため、普通の「青緑白《出産の殻/Birthing Pod》」デッキは今のスタンダードで苦戦を強いられているのだと思います。

 しかしながら、山川さんのように《出産の殻/Birthing Pod》を2枚だけ入れる構築を行えば、《出産の殻/Birthing Pod》への依存度は極端に下がります。

 これは今年の日本選手権で準優勝を果たした藤本さんのデッキや、僕の週刊連載の第83回で紹介した「緑白タッチ赤《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》with《出産の殻/Birthing Pod》」に似通った構築理念であり、今後も要検討の必要がある注目のアプローチだと思います。


 もうひとつの勝ち手段は、豪華4種類ものプレインズウォーカーを駆使して対戦相手を締め上げていくもの。

 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(M12)》がビートダウンデッキへの強力なアンチテーゼとなり、《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept(M12)》はコントロールデッキに対する必殺技となります。

 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(M12)》は比較的見かける機会が多いので、イメージを掴みやすいかと思いますが、《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept(M12)》はあまり見かけることのない珍しいカード選択と言えます。

 しかし僕が観戦していたゲームの一幕で、実際に山川さんは《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept(M12)》を駆使して対戦相手をライブラリーアウトに追い込み勝利しており、やはりこのプレインズウォーカーの対コントロールデッキの強さはかなりのものがあると再認識させられました。

 基本的には[+1]能力を使ってアドバンテージ差を広げていくのが常套手段で、手札が十分な強さになれば、[0]能力と[-7]能力を組み合わせてライブラリーアウトを狙っていくことになりますが、対戦相手が攻める術を持たないようであれば、すぐさまライブラリーアウトを狙うのも効果的です。

 そして、それらのプレインズウォーカーに加え、どんな相手にも効く万能の《解放された者、カーン/Karn Liberated》が、高き壁として対戦相手に立ちはだかります。

 これらふたつの異なる攻め手は、対戦相手からしてみれば対処しづらいことこの上なく、さらにローグ・デッキ最大のアドバンテージである「リストを知られていないこと」が、それを助長します。

 想像してみてください。対戦相手が《出産の殻/Birthing Pod》→《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》→《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept(M12)》と動いてきた場合、あなたは対戦相手のデッキの内容を予想できるでしょうか?

 おそらくそれはほとんど不可能に近いでしょうし、それこそがローグ・デッキと呼ばれるデッキ最大の長所です。あなたが自身のデッキに費やした努力は、実戦の中で、目に見えないながらも、これ以上ない大きなアドバンテージとなってあなたに還元されるのです。

 山川さんは、4連勝後に惜しくも2連敗してしまったようですが、このリストは自身でデッキを作ることの意義や楽しさを再確認させてくれるすばらしいデッキに仕上がっていると思います。

 実は山川さんはこの直前予選の前に、すでに本戦の権利を獲得済みとのことなので、このデッキが今日も暴れまわるのではないかと今から期待させてもらっています。

 スタンダードのみならず、モダンでも山川さん渾身のデッキから目が離せませんよ!

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