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The Finals11

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Round 7: 田中 功一(兵庫) vs. 江守 慎一(東京)

By 中村 修平  6ラウンド終了時点で5勝1敗ライン。  このラウンドに勝利すれば次のラウンドを合意の上、引き分けでトップ8に残る最後の正念場でフィーチャーマッチに選ばれたのは田中 功一と江守 慎一。  田中と言えばグランプリ・広島で青白緑色の《出産の殻》デッキを持ち込みトップ8入賞したプレイヤーであり、今回も《出産の殻》デッキを持ち込んでスタンダードラウンド3-1、そしてモダンも連勝でプレミアイベント連続トップ8まであと一歩ときているのだが、奇しくも対戦相手である江守が持ち込んだのも田中のリストを参考にした《出産の殻》。  自分でも《出産の殻》が好きで調整していたという江守は、田中と同じく3-1でスタンダードラウンドを消化し、モダンで連勝してこの場に座っている。  両者が使用しているデッキを含めて中々に興味深い一戦となりそうだ。

Game 1

田中 功一
田中 功一
 先手を取った江守が《怒り狂う山峡》に《血の墓所》アンタップインからの《朽ちゆくヒル》でスタート。  対戦相手がジャンドというのを見届けてから、田中は《新緑の地下墓地》を起動して《踏み鳴らされる地》を調達、《燃え柳の木立ち》を置いてターンを返す。  Zooかジャンドか、それはまだ判別がつかない。  だが《燃え柳の木立ち》を置いての江守の《荒廃稲妻》で田中が《コジレックの審問》と《罰する火》を捨てたことでデッキが判明する。ここでもまたミラーマッチ対決。  既に《罰する火》システムが完成している田中に、ライフを支払うことを選択した江守の《朽ちゆくヒル》の攻撃は田中の手からの《稲妻》によって阻まれ、田中は残ったマナで《罰する火》を回収すると共に、返しで《台所の嫌がらせ屋》。  再びの《荒廃稲妻》で田中の手札を削りにいくも、《罰する火》を回収されているので効果は薄まっている。  追加で《極楽鳥》を召喚してターンを返した江守に対し、田中の第2撃は《血編み髪のエルフ》。  続唱は《ヴェールのリリアナ》、[-1]能力によって《極楽鳥》は退場し、《台所の嫌がらせ屋》と《血編み髪のエルフ》がそれまで15前後に均衡していた江守のライフを9にまで減らした。  だが《ヴェールのリリアナ》は江守の《罰する火》で撃ち落されて《タルモゴイフ》が投入される。  田中の方も負けじと《タルモゴイフ》を展開。  互いに5/6の《タルモゴイフ》と《罰する火》サイクルがある状態だが、直前でついたライフ差、何よりもクリーチャーの量と展開で先行している田中がその物量を生かして強引にライフを削りにかかる。  過程で《タルモゴイフ》を損失しても、ライフさえ削り切れれば田中にとって問題はない。  江守の《コジレックの審問》に併せて《稲妻》《罰する火》を江守に打ち込んで江守のライフを1にまで落とした田中は、アンタップしてから《罰する火》を回収してゲームを決着させた。 田中 1-0 江守

Game 2

 江守が2点支払って《踏み鳴らされる地》から《極楽鳥》というスタートに対して、田中は《血の墓所》をタップインで置くという静かな立ち上がり、それを江守が先手の利を生かして2ターン目に《》を置いてから《荒廃稲妻》を撃ち込むところからゲームは真のスタートを迎える。  これに対して田中が《台所の嫌がらせ屋》《荒廃稲妻》を捨てることで応えるが、田中の次のアクションは《燃え柳の木立ち》を置いて終わる。  手数の差で間隙をつきたい江守は《朽ちゆくヒル》を召喚するものの3枚目の土地は置けない。 その《朽ちゆくヒル》に対しては田中の《死の印》が飛び、続けて《タルモゴイフ》が召喚。  江守は《大渦の脈動》で対処するがまだ土地を置けない。   田中は戦略を少しだけ修正する。  《罰する火》を使って江守の《極楽鳥》を除去。  既に田中の戦場には《燃え柳の木立ち》があるので、実質的に1ターンを消費するかわりタダで除去するという算段。  禁止が確定しているカードの強さを見せつける。  田中の目論見は成功し、まだ江守は土地を引けない。  だが替わりに召喚されたのは個人的に最もR&Dに狙われていると思われるカード《タルモゴイフ》、  サイズは『たったの』2マナ3/4だ。  《罰する火》サイクルは完成しているものの、田中の土地も4枚で止まっているので、この《タルモゴイフ》によって一時的に攻守が逆転する。  田中は《朽ちゆくヒル》を召喚し、2マナを浮かせた状態でターンを返す。 江守 慎一
江守 慎一
 このターンも土地を引けなかったものの、盤面では一時的な有利となった江守にとっては考えどころである。  土地差は田中4対江守2。田中だけが既に《燃え柳の木立ち》を持っている以上、座していては死を待つのみ。  幸いなことに、このターンだけは墓地にある《罰する火》を回収することはできても、撃つことまではできない。ということで攻撃、田中は《朽ちゆくヒル》でブロック、戦闘が解決されエンドステップに手札から2枚目の《罰する火》が《タルモゴイフ》を始末する。  目の前の脅威を上手く片付けられた田中だが、《台所の嫌がらせ屋》で攻勢に転ずる。  だがようやく江守にも待望の3枚目の土地、しかも《燃え柳の木立ち》を引いた。  いやがらせのようにしぶとい《台所の嫌がらせ屋》も、《罰する火》の前ではかわいいもの。  先ほどまで土地が詰まっていた江守も土地を引きだし、これからはめくるめく《罰する火》算に突入かと思われたが、せっかく優位な体制に持ち込んだのに不確定な状況に引き戻されたくない田中は最後の手札、《ヴェールのリリアナ》をキャスト。  別次元のゲームになってでも、少しでも手持ち資産、手札とライフ差を引き離す構え。  手札を使い切った上で、[+1]能力で《ヴェールのリリアナ》を戦場に残しにかかり、最後のアドバンテージ作り。  しかし江守が捨てたのは3枚目の《罰する火》。  効果が半減した上に、なんというか非常にやり取りが面倒である。  やはり1本目と同じ《罰する火》算の世界に突入してしまったようだ。
 状況的には土地が止まっていた江守が手札的に余裕があるとはいえ、土地が多く並んでいて、いつかは根本的な対処しなくてはいかないプレインズウォーカーをコントロールしている田中が二歩リードといったところ。  その差を埋めるべく、江守の《罰する火》と《稲妻》が飛び、《ヴェールのリリアナ》が退場。  その間に田中は本体への《罰する火》2連打、4点ダメージサイクルを1周消化して、引いてきたのは《罰する火》では死なない《最後のトロール、スラーン》。  同じタイミングで江守も5/6《タルモゴイフ》を引いてきたのだが、既に《台所の嫌がらせ屋》で4点、《罰する火》サイクルで4点分と8点分の差がついていて、ライフ差でこれ以上の損失を避けるためには一方的と解っていながらブロックせざるをえない。  しかし《タルモゴイフ》を捨てて4点のライフと1ターンを手に入れた甲斐はあった。江守のトップデッキは《ヴェールのリリアナ》。  難敵《最後のトロール、スラーン》をゲームから退場させることに成功する。  田中も負けていない、江守の土地が倒れているこのタイミングで《血編み髪のエルフ》を引き寄せて、続唱でめくれた《稲妻》は本体、そして《血編み髪のエルフ》も本体へと攻撃。忠誠値が1のリリアナなどいつでも殺せると目向きもしない。  マナさえあれば紙のように薄っぺらいタフネス2だが、アンタップ状態の土地が《燃え柳の木立ち》が1枚のみで江守はこの3点は断じて通せない。  《稲妻》が《血編み髪のエルフ》に飛ぶ。  なるべく本体ダメージへの損失を防いではいるものの、一度開いたライフ差はどんどんと大きな差へと開いていく。  細かいところで確実に稼いだ点数差は田中が20。いや、その前後。  対して、江守がわずかに8。いや、そのあたり。  そのあたりを行ったり来たり。 ライフのメモ  そしてここから先は《罰する火》弾幕の張り合いとなるわけで、3ターン後にはライフというリソースを背景に全力で本体に《罰する火》を叩き込んだ田中が江守のライフをいち早く0へと追いやった。 田中 2-0 江守 『実は明日、予定があるんですけど・・・』  ミラーマッチで勝利を収め、トップ8をほぼ射止めた田中だが、どうしても外せない用事が翌日にあって、このままトップ8に残っても明日の決勝ラウンドは参加できないとのことらしい。  観戦者としては非常に残念ではあるが、独自調整のデッキを持ち込み、連続してプレミアイベントの決勝まで残ったというのは《出産の殻》デッキのパイオニアとして充分に知らしめる成果ではないだろうか。  田中の次のイベント、次のデッキから目が離せない。
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RESULTS

対戦結果 順位
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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