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Deck Tech: 白黒トークン by 永見 陽一 (スタンダード)

Deck Tech: 白黒トークン by 永見 陽一 (スタンダード)

by 中村 修平


 ビートダウンからコントロールまで現スタンダード環境で白が果たしている役割は非常に大きい。

 それはクリーチャー主体の環境で《審判の日/Day of Judgment》が非常に有効であるとか、《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》を始めとする装備品を活用するのに白の小型クリーチャーが最適であるという理由であったりするのだが、イニストラードでフィーチャーされている1/1飛行のスピリット・トークン関連の有用なカードが多いというのも要因のひとつだ。

 《宿命の旅人/Doomed Traveler》、《深夜の出没/Midnight Haunting》、《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》。
 これらのカードをトーナメント会場で見ないことはまず、ない。

 いやトークンデッキというアーキタイプの主軸となっているカード達だ。

 ここからどういう味付けを加えていくか。
 大体のパターンとしては、トークン生成能力で白と双璧をなす緑との組み合わせ。
 小、中、大と各種動物トークンを取り揃えている上に、横に並べる戦略と相性の良いマナ加速クリーチャーは緑の独壇場。

 加えて自軍のクリーチャー全てに+1/+1カウンターをばら撒く《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》にプレインズウォーカーを組み合わせてやればそれだけでデッキができてしまう。

 マナクリーチャーを入れるかどうかで若干のスタンスの違いはあるものの、今の環境でトークンデッキと言えばこの白緑を思い浮かべるのが大方の意見だろう。


 だが永見 陽一が持ち込み、3勝1敗を記録したデッキはその固定概念に一石を投じるものになるかもしれない。
 白をメインに据えつつも、2色目はなんと黒なのだ。

永見 陽一
The Finals 2011 / スタンダード
7 《平地/Plains(SOM)》
3 《沼/Swamp(M11)》
4 《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel(ISD)》
4 《森林の墓地/Woodland Cemetery(ISD)》
4 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove(M12)》
3 《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》

-土地(25)-

3 《スカースダグの高僧/Skirsdag High Priest(ISD)》
4 《刃の接合者/Blade Splicer》
4 《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》
1 《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》

-クリーチャー(12)-
4 《無形の美徳/Intangible Virtue(ISD)》
3 《破滅の刃/Doom Blade(M12)》
4 《深夜の出没/Midnight Haunting(ISD)》
4 《忠実な軍勢の祭殿/Shrine of Loyal Legions(NPH)》
2 《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》
2 《迫撃鞘/Mortarpod(MBS)》
2 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
2 《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》

-呪文(23)-
2《外科的摘出/Surgical Extraction(NPH)》
2 《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》
1 《破滅の刃/Doom Blade(M12)》
1 《喉首狙い/Go for the Throat(MBS)》
1 《帰化/Naturalize(M11)》
2 《存在の破棄/Revoke Existence(SOM)》
3 《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》
2 《審判の日/Day of Judgment(M12)》
1 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine(MBS)》

-サイドボード(15)-


 2色目が黒になったとはいえ全く緑が入っていない訳ではない。

 最近の緑といえばお約束ともいえるプレインズウォーカー、《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》に加えて、《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》を運用するために緑を散らしている構成になってはいる。
 しかし、マナベースを見ていただければ解るように、1ターン目に緑マナが全く望めない構成で、必然的に中速コントロール型となっている。

 ということで本記事では、「中速型の白緑トークンコントロールとの対比」という形でデッキを紹介していくことにしよう。

 参考にするサンプルレシピはこちらの記事の森田雅彦の白緑トークン

森田 雅彦
世界選手権2011 / スタンダード
9 《平地/Plains》
2 《森/Forest》
4 《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》
4 《剃刀境の茂み/Razorverge Thicket》
4 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove(M12)》
2 《幽霊街/Ghost Quarter》

-土地(25)-

2 《宿命の旅人/Doomed Traveler》
4 《刃の接合者/Blade Splicer》

-クリーチャー(6)-
4 《無形の美徳/Intangible Virtue》
4 《忠実な軍勢の祭殿/Shrine of Loyal Legions》
4 《深夜の出没/Midnight Haunting》
3 《忘却の輪/Oblivion Ring》
4 《審判の日/Day of Judgment》
3 《迫撃鞘/Mortarpod》
3 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
4 《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》

-呪文(29)-
3 《はらわた撃ち/Gut Shot》
2 《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》
3 《帰化/Naturalize(M12)》
4 《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》
2 《内にいる獣/Beast Within》
1 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》

-サイドボード(15)-

 《刃の接合者/Blade Splicer》《深夜の出没/Midnight Haunting》、それに《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》といった白の要素については森田の記事と重複するためあまり深くは述べないが、これら序盤から中盤にかけての高コストパフォーマンスカードが今の白の屋台骨を支えている。

 《無形の美徳/Intangible Virtue》はトークンデッキにとって青白人間デッキの《清浄の名誉/Honor of the Pure》、いやそれ以上のカードで、警戒付与によりトークンが攻守ともに使えるのは大きい。

 プレインズウォーカーについては割愛の上、更に割愛させてもらおう。
 見た通りトークンを延々と生み出せる。以上。

 これらのカードで押しきれるならそれでよし、それで無理なら、頃合いまで溜まった《忠実な軍勢の祭殿/Shrine of Loyal Legions》を。

 対戦相手のエンドステップ起動による事実上の速攻でゲームを決めてしまう、というのがコントロール型トークンデッキの特徴である。

 白の相方を緑から黒にスイッチしたことによる明確な利点は、メインに投入されている《破滅の刃/Doom Blade》のような、軽くて即効性のあるインスタントカードを入れられるようになったことだ。


 どんな形になるにせよ、白緑トークンデッキはこの点で苦労する。

 何体出せようとも、基本1/1や2/2というサイズでは、カードとしての単体性能は他のどのようなデッキの同マナ圏カードに見劣りしてしまうし、装備品が幅を効かせている環境では尚更。

 白には《忘却の輪/Oblivion Ring》という万能除去があるにはあるのだが、3マナというのは2枚同時に唱えるにはかなり重いし、メインフェイズにのみという縛りはかなり厳しい。

 世界選手権準優勝デッキ(参考)のように《はらわた撃ち/Gut Shot》や《四肢切断/Dismember》といったアプローチの仕方も、そもそも押されてしまうゲーム展開でライフ損失を前提としたカードを入れることにはかなり抵抗がある。

 これらの問題への解決策としての《破滅の刃/Doom Blade》は理想的である。


 もう一つ面白いのは《スカースダグの高僧/Skirsdag High Priest》。

 5/5飛行持ちというのは、いくらクリーチャーの高スペック化が著しい現代マジックでも充分以上に強大。
 トークンデッキの弱点である、「戦線を止めるための何か」にしてはお釣りがくる。

 陰惨達成条件の厳しさは、数をばら撒くトークンデッキではカバーが容易であるし、そもそもチャンプブロックはトークンデッキの十八番。《スカースダグの高僧/Skirsdag High Priest》で対戦相手の手が止まってくれれば言うことない。

 《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》も、最近見ないといえば見ないカードだが、出れば盤面が止まるどころか逆転までできてしまう逸材。
 マナ域が違うので厳密には対比できないが、1枚でゲームをひっくり返すという仕事は《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》ではできない。

 そういえばこれもトークンが出てくるカードでもある。
 まさに1枚差しカード。お洒落。


 リストで見る限り、60枚というデッキの枠に収める段階で、取捨選択の的を絞りきれてない印象。だがその荒削りさも含めて面白いデッキリストだと思う。

 例えば白黒の2色バージョンなどではどうだろうか。

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