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【観戦記事】 準々決勝:森 勝洋(東京) vs. 松原 一郎(東京)

【観戦記事】 準々決勝:森 勝洋(東京) vs. 松原 一郎(東京)

By 伊藤 敦

「8位だから全部後手かー」

 そう独りごちる森。確かにスイスラウンド終了後のシングルエリミネーションでは、スイスの順位が高い方が先攻後攻の決定権を得る。その意味では森の言葉は真実そのものだ。

 だが何より、「全部」という言葉からは確固たる意思を感じる。少なくとも決勝までは行く。そんな強い意思を。

 何せグランプリ・京都2013以来久しぶりとはいえ、森にとってはグランプリトップ8など幾度も立った通過点とも考えられるからだ。

 この段階でプロツアーの参加権利の獲得は確定している以上、あとはトロフィーを掴むだけ。そんな森の気迫が感じ取れる。


 対して、松原にとってはそうではない。

 昨年プロツアー予選を突破しプロツアー『ニクスへの旅』に出場して以降、精力的に競技マジックを続け、ようやく掴み取った成果がこれなのだ。

 グランプリトップ8。

 松原の所属するチームが、ずっと掲げていた目標。それ自体はグランプリ・台北2014で同じチームの瀧村 和幸が一足先に成し遂げているけれども、国内グランプリで、しかも松原が成し遂げたというのは、彼らにとって大きな意味を持つ。

 何より、この初めての舞台。緊張しないはずがない。


 「まだ準々決勝」と、「待ちに待った準々決勝」。その差が、何を導くのか。

 松原のチームメイトたちが見守る中で、森と松原、2人の主人公が激突した。


森 勝洋 vs. 松原 一郎

ゲーム1

 《貴族の教主/Noble Hierarch》でマナ加速して展開する松原に対し、森も《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol》を挟みつつ、《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》でマナ域を引き上げる。そして松原が《黄昏の守護者、秘加理/Hikari, Twilight Guardian》を送り出すと、森も《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater》《頭蓋囲い/Cranial Plating》と立て続けに展開。

 さらにブロッカーとして立った《空狩人の散兵/Skyhunter Skirmisher》を《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater》でタップしつつ、《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol》に《頭蓋囲い/Cranial Plating》と《帆凧/Kitesail》をまとわせて一挙9点を与えると、松原は毎ターン飛行のブロッカーを確保し続ける必要があるという窮地に追い込まれてしまう。

 飛行のブロッカー2体と《貴族の教主/Noble Hierarch》だけを立ててエンドした松原に対し、《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater》でエンド前タップ、メインタップで2体のブロッカーを排除しようとする森。

 しかし《巨森の蔦/Vines of Vastwood》でその計算を狂わせると、返すターンに松原がキャストしたのは《ペラッカのワーム/Pelakka Wurm》! これによりライフレースが一気に逆転する。


松原 一郎

 対し苦しくなった森はブロッカーを立てて《急報/Raise the Alarm》や《種のばら撒き/Scatter the Seeds》など1枚で複数体のクリーチャーを確保できるカードを引くのを待つが、それらにたどりつく前に松原が《議事会の密集軍/Conclave Phalanx》を連打し、9まで追い詰めたライフを25点まで回復してしまう。

 それでも、引き込んだ《錆びた秘宝/Rusted Relic》をブロッカーに立たせ、反撃の隙をうかがうのだが。

 松原のフルアタックからの《補強/Fortify》が、森を投了に追い込んだ。

森 0-1 松原

ゲーム2

 《太陽の宝球/Sphere of the Suns》から《錆びた秘宝/Rusted Relic》とつなげる森に対し、松原は《水辺の蜘蛛/Aquastrand Spider》を2体連続で展開。だが緊張からか2体目の《水辺の蜘蛛/Aquastrand Spider》を戦闘前にプレイし、「移植」したことで打点を1点損してしまう。

 一方森は《急報/Raise the Alarm》と《ルーンの苦役者/Runed Servitor》で地上のブロッカーを確保したのち、満を持して《帆凧/Kitesail》を投入。《錆びた秘宝/Rusted Relic》にまとわせ、6点クロックで速やかにゲームを決めにいく。


森 勝洋

 松原も《水辺の蜘蛛/Aquastrand Spider》のチャンプブロックで時間を稼ぎつつ地上のクリーチャーを並べ、《議事会の密集軍/Conclave Phalanx》でライフ水準を保とうとするのだが、6/5飛行が止まらない以上、単なる《濃霧/Fog》を繰り返しているに過ぎない。

 それでも、態勢が整ったとみるや地上のクリーチャーでフルアタックを敢行し、ダメージレースに持ち込もうとする松原だったが。

 フラッド気味の森がそれでも何とか確保したチャンプブロック要員と、序盤に与え損ねたわずかなダメージ分に阻まれ、20点を削りきれなかった結果。

 《錆びた秘宝/Rusted Relic》と《帆凧/Kitesail》がゲームをギリギリ差しきった。

森 1-1 松原

ゲーム3

 初動が3ターン目《陰極器/Cathodion》の松原に対し、後手の森は《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》から3ターン目に《錆びた秘宝/Rusted Relic》という最高の回り。

 さらに松原の土地が3枚で詰まっている隙に《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater》を展開、一気に詰め切る腹積もりのようだ。

 そして次の森のドローが、勝負の趨勢を決定づけた。

 《オパールのモックス/Mox Opal》。

 森が組み上げたアーティファクト満載のデッキだからこそ光を放つこの至宝から、一気に《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol》《合金のマイア/Alloy Myr》と展開。

 松原も詰まったままの土地でなんとか食い下がろうとするのだが、マナを伸ばしきった森の圧倒的な展開力を前に、手数が完全に足りていないのであった。

森 2-1 松原


松原「2ゲーム目めっちゃミスった......」

 疲れているのも無理はない。この日2回のドラフトと6回の対戦をこなしている上に、ただでさえ慣れないトップ8の舞台で、放送のための照明や機材に囲まれたフィーチャーテーブルでの対戦ともなれば、誰でも普段通りの力が発揮できるか怪しいものだ。

 だが、元世界王者・森は。その環境にももはや慣れているのだ。

 ミスらしいミスもなく淡々と最善手を選び続けたことからしても、「貫禄の勝利」と評するのがやはりふさわしいだろう。

森 勝洋
グランプリ・千葉2015 決勝ラウンド / 『モダンマスターズ 2015年版』ブースタードラフト
7 《森》
7 《平地》
1 《ダークスティールの城塞》

-土地(15)-

1 《ルーンの苦役者》
2 《合金のマイア》
1 《まばゆい魂喰い》
1 《空狩人の散兵》
1 《金属ガエル》
1 《磁石のゴーレム》

-クリーチャー(7)-
1 《永遠溢れの杯》
1 《オパールのモックス》
2 《太陽の槍》
1 《頭蓋囲い》
1 《選別の高座》
1 《きらめく鷹の偶像》
1 《帆凧》
1 《迫撃鞘》
1 《急報》
1 《太陽の宝球》
1 《拘引》
1 《補強》
2 《錆びた秘宝》
2 《種のばら撒き》
1 《獣性の脅威》

-呪文(18)-
1 《ラクドスの肉儀場》
2 《自然との融和》
1 《死の印》
2 《かき鳴らし鳥》
1 《古の法の神》
1 《来世への旅》
1 《時間の把握》
1 《生育》
1 《ヴェリズ・ヴェルの翼》
1 《炉火のホブゴブリン》
1 《遥か忘れられし御幣》
1 《隔離する活力》
1 《天羅至の掌握》
1 《ヴィグの移植術師》
1 《蝋鬣の獏》
1 《議事会の密集軍》
1 《戦慄の徒食者》

-サイドボード(19)-
松原 一郎
グランプリ・千葉2015 決勝ラウンド / 『モダンマスターズ 2015年版』ブースタードラフト
8 《森》
7 《平地》
1 《セレズニアの聖域》

-土地(16)-

2 《水辺の蜘蛛》
2 《ナーリッドの群れ》
1 《セレズニアのギルド魔道士》
1 《太陽の槍のシカール》
2 《空狩人の散兵》
1 《陰極器》
1 《カヴーの上等王》
1 《コジレックの捕食者》
1 《ロクソドンの教主》
2 《議事会の密集軍》
1 《黄昏の守護者、秘加理》
1 《根の血族の同盟者》
1 《ペラッカのワーム》

-クリーチャー(17)-
2 《巨森の蔦》
1 《帆凧》
1 《力強い跳躍》
1 《急報》
2 《補強》

-呪文(7)-
1 《エルドラージの寺院》
2 《ゴブリンの投火師》
1 《探検の地図》
1 《旅人のガラクタ》
1 《ゴブリンの戦化粧》
1 《力強い跳躍》
1 《垂直落下》
1 《粉々》
1 《太陽の槍のシカール》
1 《かき鳴らし鳥》
1 《部族の炎》
1 《血のオーガ》
1 《知識鱗のコアトル》
1 《大竜巻》
1 《蝋鬣の獏》
2 《炎の覆い》
1 《感染の賦活》
1 《ウラモグの破壊者》

-サイドボード(20)-

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