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【観戦記事】 第6回戦:Jason Chung(ニュージーランド) vs. 鶴原 隆之(大阪)

【観戦記事】 第6回戦:Jason Chung(ニュージーランド) vs. 鶴原 隆之(大阪)

By 矢吹 哲也

 今大会、グランプリ千葉2016の風景は、普段とはやや異なる。「学生の参加費無料」という革新的な試みによって、514名もの学生が参加しているのだ。


フレッシュな面々がそこかしこに見受けられるグランプリ・千葉2016会場。

 そして第6回戦のフィーチャー・マッチの舞台に、ひとりの学生がここまで4勝1敗で上がってきた。レガシーはもちろん、グランプリ本戦も初めてだという鶴原 隆之は、参加費無料のチャンスに大型イベントへの参加を決意した。普段一緒に遊ぶ友人たちとともに本気で取り組んだマジックの大会で勝ちを重ね、フィーチャー・マッチに呼ばれる......彼にとって最高のグランプリ・デビューとなったことだろう。

 だがこの舞台に新顔の鶴原が呼ばれるということは、テーブルを挟んだ対面に大きな壁が立ちはだかるということを意味する。ここで彼と対峙するのは、ニュージーランドが誇る強豪、ジェイソン・チャン/Jason Chung。彼はグランプリ・トップ8入賞3回に加え、プロツアー『タルキール龍紀伝』でもトップ8に入賞しており、その実力は折り紙つきだ。

 初めてのグランプリで、海外の強豪との対決。強烈なプレッシャーの中、それでも鶴原は前を向く。彼の選択した「バーン」デッキは環境上位のデッキの多くと渡り合える力を持っているが、ただひとつ、彼自身も「『むかつきストーム』は切った(対抗策を諦めた)」と言うように、苦手なマッチアップがある。

 対面するジェイソン・チャンが持っているデッキは、「むかつきストーム」だった。


チャン vs 鶴原。鶴原は初めてのグランプリで「巨人殺し」に挑む。

ゲーム展開

 ダイスロールに勝ち先手を得た鶴原が早速《僧院の速槍》での攻撃を始めると、対するチャンは《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》で鶴原の手札を確認し、《陰謀団式療法/Cabal Therapy(JUD)》で《大歓楽の幻霊》を2枚落とす強烈なプレイ。続くターンにはさらに《強迫/Duress(DTK)》を撃ち込み、鶴原のダメージ源が削られていく。

 それでも「待機」の明けた《裂け目の稲妻/Rift Bolt》、《稲妻の連鎖/Chain Lightning(EMA)》と直接火力を撃ち込みながらの攻撃でチャンのライフは早くも残り7点。続けて《発展の代価/Price of Progress(EMA)》も放ち、残り2点。チャンも《暗黒の儀式/Dark Ritual(USG)》、《陰謀団の儀式/Cabal Ritual(TOR)》と動き出したものの、そこを狙って《火炎破/Fireblast》でフィニッシュ。


ダメージ源を大きく削られてもなお余りある火力を見せつけた鶴原。

 第2ゲームはマリガンを喫した鶴原に対し、チャンは1ターン目から土地、《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》2枚を展開。続けて《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》で《暗黒の儀式/Dark Ritual》を増やし、コンボの準備を進める。

 鶴原は《稲妻/Lightning Bolt(M10)》を本体に撃ち込んだのちに《大歓楽の幻霊》を繰り出したが、これを《突然の衰微》で対処したチャンは、コンボを始動させた。

 3枚目の《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》から《暗黒の儀式/Dark Ritual》2枚、《炎の中の過去/Past in Flames(C16)》、《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》、《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《渦まく知識/Brainstorm》、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》、そして――《苦悶の触手/Tendrils of Agony(SCG)》。手の出しようがない鶴原はそのままカードを片付けるしかなかった。


鮮やかなコンボでゲームを取り返すチャン。

 最終ゲーム、再び先手を得た鶴原は1ターン目に《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer(TOR)》を繰り出して決戦の火蓋を切った。チャンは《陰謀団式療法/Cabal Therapy(JUD)》で彼にとって致命的となる《大歓楽の幻霊》を指定したが、鶴原の手札にはその姿が見受けられない。このとき鶴原の手札は《溶岩の撃ち込み》、《稲妻の連鎖/Chain Lightning(EMA)》、《紅蓮破/Pyroblast(5ED)》、残りが土地、とやや火力不足のもので、チャンは《思案》2枚で手札を整えていった。鶴原は火力をチャンへ放ち、残りのライブラリーが有効牌をもたらすことを願う。

 その願いが届いたか、鶴原は《大歓楽の幻霊》をトップ・デッキした。少々驚いた様子のチャンだが、このゲームでも《突然の衰微》が脅威を取り除いた。しかしそれでも緑マナを捻出するために設置した《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》を含め、4点のダメージを受けたチャンの残りライフは6点。手札には《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》がなく、《むかつき》でキー・カードを探しにいく。

 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》、《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《渦まく知識/Brainstorm(CNS)》とめくれて、残り3点。ここでチャンは《むかつき》の効果を終え、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》にすべてをかける。

 だがそこへ鶴原は、《紅蓮破/Pyroblast(5ED)》を静かに差し向けた。

 チャンはひと呼吸置くと右手を差し出し、天を仰いだのだった。

チャン 1-2 鶴原

 試合が終わった頃に、ともに参戦した友人が結果登録用紙を持って鶴原に声をかけた。

 鶴原は「まさかこんなに勝てるとは」と興奮した様子で友人と結果を報告し合う。心より楽しそうなその光景を見て筆者が「またここでお会いできるのを楽しみにしています」と声をかけると、「はい、頑張ります。これをきっかけに、今後も大型イベントへの本格参戦を目指します」と心強い眼差しを向けてくれたのだった。

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