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【観戦記事】 第12回戦:清水 俊樹(山梨) vs. 渡辺 雄也(東京)

【観戦記事】 第12回戦:清水 俊樹(山梨) vs. 渡辺 雄也(東京)

By 矢吹 哲也

 プロ・プレイヤーの目には、普段プレイする機会が少ない「レガシー」というフォーマットはどう映っているのか。

「確かに普段は競技フォーマットとして中心的なスタンダードやリミテッドをプレイするので、レガシーに触れる機会は少ないですね」と、殿堂顕彰者の渡辺 雄也は言う。「このフォーマットはやっぱりやり込んでいるプレイヤーが勝つんじゃないかと思います。前回(グランプリ・京都2015)はプロが勝ちましたけど、それはレガシー・プレイヤーの皆さんが大型イベントの雰囲気に慣れていなかったからじゃないかと。今回は前回を経験した方を中心に、普段からレガシーをプレイしている人が勝ち上がっているように感じますね。実際、今の時点でプロ・プレイヤーはほとんど上にいないんじゃないかな」

 その予想はほぼ当たっている。現時点で、トップ8入賞の目を残しているプロ・プレイヤーはごくわずかだ。初日の全勝者にも「普段からレガシーをプレイしている」と答える者が多く、今大会ではこのフォーマットへの練度が結果に表れている。

 その中で1敗を維持してトップ8入賞への道を歩み続ける渡辺に、第12回戦、この試合でもレガシー・プレイヤーの清水 俊樹が立ちはだかった。

 聞くところによると、両者は知り合いのようだ。ワールド・マジック・カップ2014に向けた練習を行う際、代表メンバーの金川 俊哉の紹介で、清水と渡辺は練習をともにしたのだという。そのときに清水は、「上手いな。いいプレイヤーだ」と渡辺の記憶にしっかりと残った。かつて日本代表の練習相手を務め、渡辺をして「上手い」と言わしめたベテランが、この試合ではグランプリ・トップ8入賞を懸けて真っ向から激突する。


清水 vs. 渡辺

それぞれのデッキ

 清水が選択したのは「グリクシス・デルバー」。はじめは「4色デルバー」を調整していたが、「奇跡」コントロールに対して猛威を振るう《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》を採用するために、《突然の衰微》と《死儀礼のシャーマン》をタッチできるだけ緑マナを残してグリクシスの3色寄りにしたという。《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(EMA)》や《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler(FRF)》といったカードにより攻め手に厚みがあるのが特長だ。

 一方の渡辺は「奇跡」コントロール。《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》を多めに採用して攻撃的な構成にしており、時間切れによる引き分けも回避できるようになっている。

ゲーム展開

 先手の渡辺が「独楽相殺」の揃った手札をキープ。1ターン目に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(EMA)》を設置し、コントロールの完成を目指して動き出す。

 清水は2ターン目に《若き紅蓮術士》を通すと、続けて《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》で渡辺の手札を明らかにした。その内容は《瞬唱の魔道士》、《相殺/Counterbalance(CSP)》、《終末/Terminus(AVR)》、《剣を鍬に/Swords to Plowshares(ICE)》、《溢れかえる岸辺》というもの。

 ターンを迎えた渡辺は《相殺/Counterbalance(CSP)》を通しにかかり、清水は《意志の力/Force of Will(EMA)》で対抗。渡辺は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》のドロー操作でこのターンに引き込んでいだ《意志の力/Force of Will(EMA)》でそれを弾いた。

 それでも、このやり取りを含めて清水の盤面にはエレメンタル・トークンが数を増やし、渡辺のライフは大きく削られていく。《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(EMA)》へ《剣を鍬に/Swords to Plowshares(C16)》を差し向けたが、残る4体のエレメンタル・トークンに加えて、《グルマグのアンコウ》まで追加され、猶予はあまりない。

 渡辺は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》で解答を探すが、ライブラリーの上3枚にも盤面を返す手立てはなし。しかし「フェッチランド」でライブラリーを切り直したのちに再度《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》を起動すると、そこには《渦まく知識/Brainstorm》の姿が。

 《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》のドロー能力でそれを引き込んだ渡辺は、手札の《終末/Terminus(AVR)》をライブラリーの一番上へ戻し、「奇跡」を起こす......あと一歩のところで間に合った。

 清水は2枚目の《グルマグのアンコウ》を繰り出したものの、渡辺の《剣を鍬に/Swords to Plowshares(EMA)》で再度攻め手を失うと、次のゲームへ望みを託すことにした。


「ツイてた」と渡辺。味方した運をしっかりとものにする。

 第2ゲーム、渡辺は再び1ターン目に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》を唱えたが、これは清水の《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》が阻んだ。ターンを迎えた清水は《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(EMA)》の展開に成功し、続くターンに《陰謀団式療法/Cabal Therapy(JUD)》で《瞬唱の魔道士》を狙い撃ち。さらに公開された手札には《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》が2枚見え、清水は《陰謀団式療法/Cabal Therapy(JUD)》を「フラッシュバック」するとそれらも叩き落とした。

 《議会の採決/Council's Judgment(CNS)》で《若き紅蓮術士》を対処した渡辺だが、その後の動きが続かない。《島》が1枚足りず手札に《相殺/Counterbalance(CSP)》が留まり、対する清水は残ったエレメンタル・トークンで攻撃を続けつつ《渦まく知識/Brainstorm》と《思案》で手札を整える。

 ようやく《島》を手に入れた渡辺は《相殺/Counterbalance(CSP)》をプレイ。1枚目は《突然の衰微》を受けたものの、2枚目は盤面に残すことができた。清水が《秘密を掘り下げる者》を唱えると渡辺は《対抗呪文/Counterspell(6ED)》を当てたが、清水は《狼狽の嵐/Flusterstorm(CMD)》を合わせてこれを通した。なかなか「変身」せず小さなクロックを刻むに留まったが、それでも渡辺のライフは着実に減らされていく。


清水の粘り強い攻撃が、渡辺を追い詰める。

 渡辺は《渦まく知識/Brainstorm(CNS)》で《剣を鍬に/Swords to Plowshares(ICE)》と《思案》を手に入れ、《剣を鍬に/Swords to Plowshares(ICE)》で《秘密を掘り下げる者》を除去して《思案》でライブラリーを切り直すと、続くターンに《終末/Terminus(AVR)》をトップ・デッキ。これで盤面は静寂を取り戻した。

 清水は粘り強く攻勢を続け、《真の名の宿敵/True-Name Nemesis(C13)》を戦場へ送り出す。再び《思案》と《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(EMA)》で解答を探す渡辺は《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》を手に入れ、《議会の採決/Council's Judgment(CNS)》を「フラッシュバック」して対処に成功する。

 渡辺の残りライフは3点。《稲妻/Lightning Bolt(M10)》1枚で失われる心許なさだが、盤面の脅威を取り除いた上で《相殺/Counterbalance(CSP)》が睨みを利かせる「奇跡」コントロールへその3点を与えるのは果てしなく困難だ。渡辺は満を持して《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》を戦線へ投入すると、またたく間に膨れ上がるクロックで清水を圧殺したのだった。

清水 0-2 渡辺

 試合後、渡辺はレガシーの魅力について「普段とは比較にならないくらい強力なドロー呪文や干渉手段が多々あって、土地の置き方やライブラリー操作の仕方など、ちょっとした差異で勝敗が決することもあり、難しいながらもプレイしていてとても楽しいです」と語った。

 慣れないフォーマットに苦戦するプロ・プレイヤーが多い中、渡辺は1敗を維持して予選ラウンド最後の3回戦へ挑む。果たして彼は、プロの地力を見せつけられるだろうか。

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