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グランプリ・広州2016

観戦記事

第4回戦:Wu, Songwei(中国) vs. 市川ユウキ(神奈川)

By Masashi Koyama

 プロツアー『異界月』の終了とともに、2015-2016シーズンは幕を閉じた。

 シーズンの目標に届いたプレイヤーもそうでないプレイヤーにも等しく終わりは訪れ、1年間の長きに渡る戦いに終止符が打たれた。

 そして、シーズンの締めくくりは同時に新たなシーズンの幕開けでもある。

 プロツアーからわずか3週間後の開催となったこのグランプリに向け、プレイヤーたちは休む間もなく調整を重ね今この広州の地に立っている。

 そして、そんな新たな戦いに臨むべくこの4回戦のフィーチャーマッチエリアに現れたのはグランプリ・台北2016王者の市川ユウキだ。

 惜しくもプラチナ・レベルには到達しなかったものの、今シーズンも市川はゴールド・プロとして新たな目標を目指し戦いを始める。

 対するは中国のウー・ソンウェイ/Wu, Songwei。

 彼によれば、ローテーションのないモダンは中国で人気のあるフォーマットのひとつだそうで、彼もまた調整を重ねたデッキを手にはるばる北京から遠征してきたという。

 市川にとってはこれが初戦。ここから新たに、長いシーズンがキックオフ。


ウー・ソンウェイ(写真左)vs市川ユウキ(写真右)
ゲーム1

 先手市川は《繁殖池》から《貴族の教主》、《荒廃の工作員》......市川が持ち込んだデッキは感染のようだ。

 そして、その動きを見たウーはため息をついて顔をしかめる。

 それもそのはずで、ウーの動きは《金属海の沿岸》から《睡蓮の花》、2ターン目に《五元のプリズム》というもの。つまりウーが操るのは《むかつき》デッキだ。

 このマッチアップは市川が「ベストマッチアップ。絶対に負けない」と言うほどに感染側が有利だという。

 ウーもこの相性差は承知の上で、それでも不利を覆すべく《血清の幻視》でライブラリーを掘り進み、コンボパーツをかき集めに行く。

 だが、相性差を覆すための残り時間はあまりにも少なかった。

 ウーが《五元のプリズム》から《血清の幻視》と動き、フルタップでターンを返した市川の第4ターン。

 市川はフェッチランドを起動し《荒廃の工作員》でアタック。《貴族の教主》の「賛美」が解決され、まず《荒廃の工作員》のパワーに+1の修整が入る。

 そして、《変異原性の成長》でさらに+2。そして墓地を「探査」しての《強大化》で+6。

1+1+2+6=10

 市川が自らの言葉を証明するように、危なげなく1ゲーム目を先取したのだった。

ウー 0-1 市川


市川は眼光鋭く第1ゲームを奪取
ゲーム2

 ウーが1ターン目に《闇滑りの岸》から《血清の幻視》、さらに《睡蓮の花》を待機する好スタート。

 市川は《ペンデルヘイヴン》から《貴族の教主》、手札に《自然の要求》と《払拭》を構える市川は《墨蛾の生息地》で攻撃することなくマナを立ててターンを返す。

 ウーの《呪文滑り》に対し、市川は《自然の要求》でこれを破壊、これで緑マナを立てる必要がなくなった市川は《貴族の教主》の加護を受けた《墨蛾の生息地》で静かにクロックを刻み始める。

 常に《貴族の教主》を立てている市川に対し、ウーは《睡蓮の花》の待機が明けてもアクションを起こすことができず、ただただ残るターンが減少していくのみだ。


ウーは静かにターンを返すことしかできない

 ウーの毒カウンターが6個溜まったところで、市川は一気に勝負をつけるべく《墨蛾の生息地》に《変異原性の成長》を打ち込む。

 ウーはこれを《暗黒》でかわし、続くターンに唱えたのは《大霊堂の戦利品》。

 ここでウーが選択したのは、市川の攻撃から自らを守るためのさらなる《暗黒》で、ひとまず時間を稼ごうとした......のだが、残念ながらこの宣言が逆にウーから時間を奪うことになる。

 《大霊堂の戦利品》を解決し、1枚、また1枚とカードをめくるが《暗黒》は見つからない。

 それどころか、まず《稲妻の嵐》がめくれ、さらにめくれたのは《研究室の偏執狂》!

 なんとデッキ内の勝利手段が全て《大霊堂の戦利品》により追放されてしまう結果に終わり、ウーは「勝ち手段がなくなっちゃったね」と市川と互いに苦笑しながら握手を交わし、市川が幸先の良いスタートを切ることになった。

ウー 0-2 市川

市川Win!
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