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Round 8: 諸藤 拓馬(福岡) vs. 星野 正彰(千葉)

Round 8: 諸藤 拓馬(福岡) vs. 星野 正彰(千葉)

By Takeshi Miyasaka


Round 8

諸藤 「ぼくら 9 連勝中なんですよね」
星野 「お互い前日トライアルからの全勝組で」

 日本マジック界の誇るえびす顔、ニコニコ笑顔が似合う 2005 年日本チャンピオン・諸藤拓馬は、席に着くなりマシンガンのようにトークを始めた。

 そのトークに付き合う星野 正彰も諸藤と同じくらい饒舌なようで、聞けば星野は関西出身千葉在住とかで、なるほど、と思わずうなずいてしまうサラブレッド。トークが下手過ぎていつもイヤな汗をかいている筆者からすればうらやましい限りである。

 諸藤たちの言う 9 連勝とは、前日トライアルで 5 連勝、本日 Bye 明けから 7 回戦まで 4 連勝して迎えた 8 回戦のことを指している。二人ともここまで土つかずできており、デッキの暖まり具合も、十分だろう。

諸藤 「そういえば、今日は 2 種類しか当たってないよ、ケッシグと白緑人間。ラッキーだよね。まあ、ぼくもケッシグなんだけど」

 諸藤 拓馬。日本王者の経験もあるこの男はフリートークの最中に情報を引き出す才能があるのか。単になにも考えていないだけなのか。
 ニコニコシャッフルしながらあっさりと自分のデッキを「ネタバレ」すると、その心意気に応じたのか諸藤の口車に乗せられて(?)星野までもが対戦前にデッキを暴露し始める。

星野 「教えてもらったから言うけど、ぼくもケッシグですよ!」
諸藤 「じゃあ、先攻大事やんなー」
星野 「ダイスロール超重要ですね」

 二人のおかげで《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》ミラーということがゲーム前に明らかとなった全勝対決。前日からの勢いを駆る二人がここで激突するが、10 連勝へ到達できるのは、どちらか一人。


Game 1

諸藤 拓馬
諸藤 拓馬

 大事なダイスロールで先攻を取ったのは諸藤。後攻の星野はテイクマリガン。諸藤の《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》から始まったミラーマッチは、星野も《極楽鳥/Birds of Paradise》で応えて、まずはお互いにマナを伸ばす。

 諸藤は、この《極楽鳥/Birds of Paradise》を《電弧の痕跡/Arc Trail》で星野もろとも焼くと、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を勢いよくレッドゾーンへ放り込む。

諸藤 「あ、間違えた」

 放り込んでから未練がましくアンタップしようとするも「ま、攻撃って言っちゃったし」とそのままターンを終える。どうやら手札にマナクリーチャーがいたのだろう。星野は《不屈の自然/Rampant Growth》から《森/Forest》をサーチして 3 マナへ到達。

 あらためて《極楽鳥/Birds of Paradise》をプレイして《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》で攻撃する諸藤。対する星野は《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》をプレイしてエンド。

 5 枚目の土地として《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》をプレイして、しばし思慮の海へ潜った諸藤は《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》で攻撃して、星野に二つ目の毒カウンターを載せる。星野は《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》で殴ると、またも《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》をプレイしてターンを返す。

星野 「このマッチだと《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》弱いですね」
諸藤 「ただのバニラだけんね」

 1 ターンもじもじしたものの、先に 6 マナへ到達したのは諸藤。《原始のタイタン/Primeval Titan》から《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》を 2 枚サーチしてすべての《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》を戦場へと展開する。星野を毒殺する気マックスである。

 毒殺宣言を突きつけられた星野はといえば、いまだ 4 マナでまごついている。最序盤に諸藤がプレイした《電弧の痕跡/Arc Trail》が地味に効いているようにも見える。
 《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》 1 体で殴りターンを終えるが、諸藤のライフはまだ 16 もある。

 諸藤は《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》をプレイすると、4 体の《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》をレッドゾーンへ送り込み、星野の毒カウンターを 6 つに増やして毒殺リーチ。

 星野は一応ドローを確認すると、カードを片付けた。

諸藤 1-0 星野


星野 「ちょっとこのデッキって頭抜けてますよね」
諸藤 「そうそう、ほかのデッキに比べて強すぎるよ」

 真剣勝負の場であれど、気負わずに軽くトークができる二人の抜けてる感じが、9 連勝をしているプレイヤーたちの強みなのか。普段通りの力を出す秘訣なのか。

 この戦いを制して 10 連勝に到達するのは、このまま諸藤か、それとも星野か。


Game 2

 攻守入れ替わって先攻は星野。先攻の星野はため息をしながら《森/Forest》《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》とプレイし、諸藤は《根縛りの岩山/Rootbound Crag》《森/Forest》から《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》 X=1 で《極楽鳥/Birds of Paradise》を戦場へ。

 星野は《根縛りの岩山/Rootbound Crag》セットから《始源のハイドラ/Primordial Hydra》を X=1 で。この爆発的に成長を続けるハイドラは、ミラーマッチで化け物である、と石井"マンモスじゃねーし"泰介は言っていた。
 除去できなければ、それはすなわち敗北を意味する。

星野 正彰
星野 正彰

 「うひゃー!」といい悲鳴を挙げながらも諸藤、ふたたび X=1 で《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》をプレイして、「パワーあるほうがいいかなー」と《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を戦場へ。成長するハイドラに比べたらかわいいサイズである。

 アップキープを迎えて《始源のハイドラ/Primordial Hydra》は 2/2 へ。星野は《始源のハイドラ/Primordial Hydra》をレッドゾーンへ送り込んで諸藤へ一太刀与えると、《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》をプレイして、こちらは《極楽鳥/Birds of Paradise》へ3点与えてたたき落とす。
 勝負の天秤は、星野の側へと傾いていく。

 「負けそうだなあ」とぼやく諸藤は《酸のスライム/Acidic Slime》を戦場へ追加すると、星野の唯一の赤マナ供給源である《根縛りの岩山/Rootbound Crag》を破壊してターン終了。

諸藤 「これでハイドラをなんとかしましょうー」

 なんとかなるんか?と思わず心の中でツッコミを入れる筆者であった。きっとギャラリーの中にも同じように思った人がいるのではないかと推察するが、それはともかく。アップキープに《始源のハイドラ/Primordial Hydra》は 4/4 へ成長させると、星野は《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》でブロッカーの《酸のスライム/Acidic Slime》を打ち落とし、《始源のハイドラ/Primordial Hydra》で攻撃。
 諸藤のライフは 14 となり、星野は《不屈の自然/Rampant Growth》で土地を 5 枚へ伸ばした。

 一足先に 6 マナに到達した諸藤は《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》をプレイしてターンを終了する。
 アップキープを迎えて《始源のハイドラ/Primordial Hydra》は 8/8 へ成長。諸藤に続いて 6 マナへ到達した星野は《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》を X=5 でプレイし、《酸のスライム/Acidic Slime》で諸藤の《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》を絆魂と接死を持つ 3/3 のワーム・トークンへ分裂させる。
 そして先ほど変身を果たした《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》で 2/2 の狼・トークンを戦場へ追加すると、次の攻撃に備えて悠々とターンを終了する。

諸藤 「トップからの叩きつけ合いに変えましょうか」

 言いながら諸藤は《解放された者、カーン/Karn Liberated》をプレイして《始源のハイドラ/Primordial Hydra》を追放すると、ワーム・トークン 2 体で《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》で攻撃するが、《酸のスライム/Acidic Slime》と狼(接死)にブロックされて忠誠度を減らせず、絆魂ワームは接死で死んでしまう。

諸藤 「あー、接死あったのかー」

 この男はどこまで本気なのか。それともホントに知らなかったのか。ともあれ、星野は接死を持つ狼をこのターンも追加して終了する。《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》の忠誠度は 3 へ。

 続く諸藤のアップキープに《解放された者、カーン/Karn Liberated》は星野の放った《内にいる獣/Beast Within》によってビーストへと姿を変える。ワーム・トークン、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》が《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》へ攻撃し、トークンは狼と相打ちとなるが、忠誠度を下げることには成功する。そして、《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》を追加して星野へターンを返す諸藤。

諸藤 「これは負けたかなあ。先攻には勝てないかー」

 星野は《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》で狼を産み、ついで X=6 の《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》をプレイ、《原始のタイタン/Primeval Titan》が《幽霊街/Ghost Quarter》と《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》を引きつけて戦場へと登場する。

諸藤 「友だちに最後まであきらめるなって言われてるんですけどねー。これはあきらめても文句言われないよね」

 最後のドローを確認すると、諸藤はカードを片付けた。

諸藤 1-1 星野


 楽しそうに話をしながらもゲームは 3 本目。二人の言うとおり、先攻のプレイヤーがそのままそれぞれのゲームを制している。二人の言を借りれば 3 本目は先攻となる諸藤が取ることになりそうだが、はたして。


Game 3

 最終ゲームは諸藤が先攻。ハンドを確認するなりキープを宣言する諸藤とは対照的に、一瞥してテイクマリガンする星野。

 ケッシグミラーの行方は本当にダイスロールだけで決まってしまうのか。
 実際、理想的なハンドでお互いにスタートすれば、一歩早く相手より 6 マナに到達したり、一歩早く相手のマナを縛ることができる分だけ、先攻が有利といえる連綿たる相性差がそこに存在していることは理解している筆者であるが、そこにプレイヤーの技術がまったく介入しないのかと言えば、想像に難くはない。もちろん、ある程度プレイヤーの技術が練習によって平均化されていることを念頭に置いた上での二人のセリフなのだろう。

諸藤 「いやー、先攻強いけんねー。このまま勝ちたいねー」
星野 「そうですよねー。あー、また土地ないわ・・・マリガンです」

 大事なところでダブルマリガンとツイてない星野。後手な上に 2 枚少ないハンデで始めることとなった。諸藤は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》でダッシュするのに対して、星野は《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》でエンドする流れ。ともあれ、諸藤もやや無理なハンドでスタートしたのか後続が続かないようで、諸藤の《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と、星野の《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》がともに殴り始めるという不思議な序盤戦が繰り広げられる。

 もっとも、この殴り合いは 2 周目に入ったところで《古えの遺恨/Ancient Grudge》が《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》を破壊することで終焉を迎える。星野は《極楽鳥/Birds of Paradise》をプレイしてエンドする。

 最初の《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》以降土地をプレイして殴るだけが続く諸藤に対し、星野は X=2 で《始源のハイドラ/Primordial Hydra》をプレイ。すわ 2 ゲーム目の再現か、とギャラリーの熱が一瞬上がったような。

 「負けそー」と言いながらも諸藤は待望の 5 マナへ到達し、《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》をプレイ、戦場へ 3/3 ビーストを追加する。

 星野は《始源のハイドラ/Primordial Hydra》を 4/4 としてターンを終え、諸藤の《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》へはアップキープに《内にいる獣/Beast Within》を打ち込んでビーストへと変身させる。
 しかし、諸藤は手札に握っていた《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》をおかわりし、これもビーストを呼び出してターンを終える。

 諸藤のコントロール下には《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》とビーストが 3 体。一方の星野は《始源のハイドラ/Primordial Hydra》を 8/8 にしてターン終了。

 ようやく 6 マナに到達した諸藤は《原始のタイタン/Primeval Titan》をプレイし、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》と《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》が戦場に追加される。さらに《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》の「-3能力」によって一挙に 6 枚ドロー! もじもじしていて序盤を耐えた甲斐がある贅沢なドローによって一気に手札を充実させてターンエンド。

 星野は自身の《始源のハイドラ/Primordial Hydra》は 16/16 へ成長させると、あらためて諸藤へ確認する。

星野 「まだライフ減ってないですよね」
諸藤 「20 だね。(ビーストとタイタンを数えながら)むしろタフネスも 16 点はあるよ」

 戦場を整理すると、諸藤は土地8枚と《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》、3/3 ビースト×3、《原始のタイタン/Primeval Titan》、《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter(M12)》(忠誠度 1)をプレイしている。
 一方の星野は、土地 3 枚、《極楽鳥/Birds of Paradise》、《始源のハイドラ/Primordial Hydra》(16/16)である。

星野 「あれ、引かれてなければなんとかなるんだけどなあ・・・エンド」
諸藤 「いや、当然引いてますよ!」


 ケッシグミラーは、ダイスロールを制した諸藤が勝利して、10 連勝へ到達!

諸藤 2-1 星野

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