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グランプリ・広島11

読み物

Round 6: 八十岡 翔太(東京) vs. 和田 寛也(東京)

by Tomohiro Kaji  関東に住んでいるならば、どこかで見かけたことがあるかもしれない和田 寛也。 和田 寛也  彼は精力的に休日にはトーナメントに参加しており、自分も面識があるのだが、非常にマジックが大好きなプレイヤーという印象で、先日のグランプリ・上海にも仕事の休みを上手く使って乗り込む元気の持ち主。  彼は今回が初フィーチャーらしく、若干緊張している面持ちでゲームに臨む。  それもそのはず。対戦相手が、今年のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーレースを争っている現役プロプレイヤー、八十岡 翔太なのだ。  週末にトーナメントというイメージはあまりないが、プロポイントのためにオーストラリアまで単身乗り込みしっかりとTop8に残って帰ってくるあたり、さすがプロと言いたい。  そんな彼は、フィーチャー?だからなんだ、と黙々とデッキをシャッフルしている。  なんだか対照的な二人だ。
Game 1
 《教区の勇者》からの《宿命の旅人》2連打で、2ターン目にして3点のダメージを与える和田に、《》、《》と八十岡らしい立ち上がり。  先攻の八十岡は、《転倒の磁石》を戦場に設置して《ボーラスの工作員、テゼレット》を匂わすが、和田は白ウィニーらしく、更に《ギデオンの法の番人》《堂々たる撤廃者》と続ける。  この展開力に普通の青黒ならば数の暴力で圧倒されそうなものだが、落ち着いている八十岡、X=3の《黒の太陽の頂点》で盤面のクリーチャーを一掃する。  和田も、もちろん全体除去があることは織り込み済みで、《宿命の旅人》から生まれたトークンと、生き残った《教区の勇者》で攻め手を休ませることはない。  しかし、冷静に考えて、全体除去を食らってもなお攻撃を続ける1マナ・クリーチャーってどういうこと?  そんなことを考える暇は観客には与えられず、和田のダメージの矛先を変えるためのプレインズウォーカー:《ボーラスの工作員、テゼレット》を呼び出し、八十岡は彼の忠誠度を上げながら《真面目な身代わり》をライブラリーから見つけ出す。  プレインズウォーカーかライフか、攻撃に選択肢を与えられて悩む和田。  さすがにこのまま放置してもアドバンテージを取られるだけと、意を決して攻撃に入るが、彼の下僕であるアーティファクトの《転倒の磁石》が道を塞ぎ、思うようにはいかない。  だが、八十岡も細かいクリーチャーの処理は《黒の太陽の頂点》任せな面があるので、さらに追加される《ムーアランドの憑依地》からのトークンに雲行きが怪しくなってきた。  ライフと忠誠度、手数でもってそれらを同時に攻められる体制へとなってきた和田に対し、トークンをまとめて《漸増爆弾》で捌きつつ、さらなるプレインズウォーカーの《ヴェールのリリアナ》を加える八十岡。 八十岡 翔太  もう維持できないと判断された《ボーラスの工作員、テゼレット》を捨てて、《転倒の磁石》を5/5にするが、和田もこれを《悪鬼の狩人》する。  戦場を見るかぎりでは、八十岡がライフを守らなければならない分、和田が若干有利に見えるが、ここで痛恨の勘違い!残すマナを間違えたために《ムーアランドの憑依地》の起動のチャンスを逃してしまう。  もちろん八十岡はそれを見逃さず、《ヴェールのリリアナ》の除去能力で《悪鬼の狩人》と《教区の勇者》との2択を迫る。  和田は《転倒の磁石》を返しても3ターン稼がれることを考えればと、仕方なく《教区の勇者》を生贄に捧げた。  小さなミスから盤面は大きく様変わりしていき、このタイミングで八十岡が《解放された者、カーン》を引き当てたことでゲームは全くわからなくなってきた!  《ヴェールのリリアナ》の忠誠度を消費してトークンを除去し、《解放された者、カーン》の忠誠度を消費して《悪鬼の狩人》を追放し、《転倒の磁石》を取り戻せす。  和田も負けじとX=2で《月皇ミケウス》を唱え、土地からトークンを生み出しつつのパンプアップでボードはすぐにイーブン。  ダメージと《解放された者、カーン》の忠誠度の釣り合い、手札破壊して得たアドバンテージは土地からの生まれるトークンへ対処することで失うという釣り合い、不思議な均衡が続く。  しかし、最後に和田が引き当てた2枚目の《清浄の名誉》が絶妙なバランスを崩してしまい、一気に八十岡のライフを削りきった。 八十岡 0-1 和田
Game 2
 先攻八十岡の1マリガンで始まった第2ゲーム。  和田の《教区の勇者》スタートに、《堂々たる撤廃者》を八十岡は《マナ漏出》でライフ19。  続く《ミラディンの十字軍》が通ってしまい、勇者は+1/+1カウンターを得てアタック、ライフ17。  八十岡は《真面目な身代わり》を呼んでマナを伸ばすが、《刃砦の英雄》を唱えてアタック、ライフ13。  あれっ?  ここでトラブルが起こってしまった。違和感に気が付けるだろうか。
 目の前のプレイヤーは、当たり前のように4点のライフを減らしているが、《教区の勇者》に乗っているカウンターは2つであるべきで、つまり3/3。  ならば、ここで八十岡が受けるのは3ダメージであり、ライフは14であるべきでは?  一番近くで棋譜を取りながら原稿を書いていた自分が勇者の上に乗ったダイスの数が間違った瞬間に気がつければよかったのだが、ダメージ解決の瞬間、二人が声を出してライフを減らす時まで見逃してしまっていた。  ここで即座にジャッジを呼んだのだが、残念ながら駆けつけてくれるまでに数十秒かかってしまい、正しいプレイをしていると勘違いしていた二人はゲームを先のターンへと進めてしまっていた。  そしてゲームは中断となり、ジャッジの詳しいインタビューの後に出された裁定は、"このままの状態でゲームを続ける"というものだった。本来のルールでは起こらないことがゲームで起こってしまったのだ。  ゲームは公平であるべきで、そのためにルールがある。そして、グランプリで行わるマジックというものは特に競技性の高いもので、ゲーム外の人が関わることは好まれない。  しかし、マジックというものは人がゲームを作るので、勘違いが重なることは避けられない。そして、勘違いでゲームが間違った方向に進めてしまってしまっていることにあなたが気がついたならば?  ゲームからはかなり脱線してしまったが、良い機会だったのでみんなも考えてみてほしい、そして今後可能ならば積極的に手伝ってくれないだろうか。  「プロ」レベルのイベントではゲーム外の人がゲームを止めることはルール上できないが、ジャッジを呼んで状況を説明して彼らにゲームを正しい方向に導いてもらうことはできる。それ以外であれば、ゲーム外からゲームを止めてジャッジを呼んでもいい。  ものの1~2分で起こったことだが、そういった意識を持って観戦してもらえれば今回のトラブルを未然に防ぐことができたかもしれないからだ。  そういう風潮になってもらえればとても嬉しい。何故なら自分も過去、大きな舞台での苦い経験があるからだ。  さて、ゲームに戻ると、八十岡がマナ加速からの《ワームとぐろエンジン》《殴打頭蓋》の絆魂生物で盤面を支配し、あっという間に3ゲーム目に突入。 八十岡 1-1 和田
Game 3
 今度は和田のダブルマリガンとなり、八十岡の《蔑み》で手札が公開されると《天使の運命》のみのクリーチャーが全くないハンド。  しかし、《堂々たる撤廃者》をドローし、そのまま《ミラディンの十字軍》と連続でトップデック!  《マナ漏出》《破滅の刃》《漸増爆弾》と対処するカードは十分なはずが、どうしても《天使の運命》での攻撃を防げない。  最後の望みの《ヴェールのリリアナ》に全てを賭けるが、その願いは叶わなかった。 八十岡 1-2 和田
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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