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Round 11: 岩崎 裕輔(兵庫) vs. 竹林 友(大阪)

Round 11: 岩崎 裕輔(兵庫) vs. 竹林 友(大阪)

By Takeshi Miyasaka


竹林 「最後に当たりたかったなー」
岩崎 「しょーがないよ。もう一敗もあんま残っとらんし」

 一敗ラインから関西勢同士の対決がフィーチャーマッチに選ばれたので観戦記事としてお届けしよう。

 「ロック」こと岩崎 裕輔は、グランプリで準優勝した経歴を持つ関西の中堅プレイヤーだ。そのグランプリ・京都2007は今回と同じくスタンダードであり、決勝を戦った相手は当時アマチュアの星と呼ばれていた渡辺 雄也であった。

 竹林 友は大阪をホームに活動している若手プレイヤーの一人で、来年 2 月にホノルルで開催されるプロツアー「闇の隆盛」の招待権をすでに獲得している。これからの活躍に期待したい一人だ。

 あいにくと関西のマジック事情には疎い筆者であるが、関東のマジックで他県のプレイヤー同士がイベントを通じて仲良くなるのと同じように、岩崎と竹林も隣県同士なれど同じイベントでいっしょにプレイすることが多いようで、デッキをシャッフルしながら互いのデッキ内容についてかなり細かい茶々入れをしていた。プレイオフへの細い通過枠をかけて、友人同士のガチバトルがいま開幕する。


Game 1

岩崎 裕輔
岩崎 裕輔

 ダイスロールの結果、竹林が先攻。それまでかしましく雑談をしていた二人が、ハンドを確認しはじめたらぴたりと話すのを止めて、勝負師の顔へと転じる。

 初日のマッチではあまり感じることがなかった緊張感が、このテーブルからはひしひしと感じられる。プロツアーサンデーのそれに近い緊張感。これがグランプリ二日目か。現在一敗ラインの二人、ここで勝てば入賞ラインへぐっと近づくことができる。

 テイクマリガンした竹林は、《極楽鳥/Birds of Paradise》《不屈の自然/Rampant Growth》という好ダッシュでマナを伸ばし、3 ターン目に 4 マナ確定、5 マナまでありえるロケットスタートをみせた。

 他方の岩崎は、そうはさせじと 2 ターン目に《迫撃鞘/Mortarpod》をプレイすると細菌で《極楽鳥/Birds of Paradise》を焼く。これで竹林のマナは 3 マナへと差し戻される。
 土地をプレイできなかった竹林は、3 マナから X=2 で《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》をプレイし、《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》を戦場へ。《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》も役目を果たせば土地へと変化することができる。

 岩崎は《刃の接合者/Blade Splicer》をプレイすると、3/3 ゴーレム・トークンとともに戦場へ投入。盤面をがっちりと構築していく。竹林は無事 4 マナを確保できたが、とくにアクションせずターンを返す。2、3 ターンに続き 4 ターン目も動く岩崎は、《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》をプレイすると、2/2 狼を製造する。

 マナカーブに沿った岩崎のプレイに「むっちゃきついわー」とぼやく竹林は、岩崎のターン終了時に熟考したのち、自分の《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》を《内にいる獣/Beast Within》で 3/3 ビーストへとサイズアップしつつ、土地をサーチして 5 マナへと到達させる。そして《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》は《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》で対消滅させて、当面の窮地を脱することに成功した。

 岩崎は《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》から《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》をプレイすると狼に装備し、4/4 狼と 3/3 ゴーレムでアタック。竹林は 7 点のダメージをライフで受ける。
 竹林は目前に展開されている脅威に対する回答がない。次のターンには《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》とスピリット 2 体まで戦場へと追加されてしまう。

 竹林はドローを進めるものの、首をひねりながら黙ってカードを片付けた。

岩崎 「まあ、マリガンしとるしなー」
竹林 「最初のハンドキープしてたほうがマシだったかもしれん」

岩崎 1-0 竹林


 岩崎と竹林がサイドボードしている横では、津村 健志と清水 直樹が同じくサイドボードしている様子。奇遇にもこのテーブルでは関西勢対決がお届けされているようだ。

岩崎 「シミチンを関西勢と呼んでいいのかどうか」
竹林 「コガモは迎え入れるんだけどなー」
岩崎 「シミチンは、なんかあるとすぐ鎌倉に引っ込むからな」

 さすが関西勢、ツッコミが厳しい。


Game 2

 お互い納得のハンドでスタートしたセカンドゲーム。

 2 ターン目《不屈の自然/Rampant Growth》、3 ターン目に《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》で 5 マナと順調な立ち上がりを見せる竹林に対して、《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》スタートした岩崎も、3 枚目の土地をプレイすると《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》でアタック、《迫撃鞘/Mortarpod》を追加してターンを終える。

 互いに一方的にアドバンテージを取りたい展開。すなわちクリーチャーは殴り合う展開となる。竹林は《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》でダメージを与え、《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》を戦場へ投入する。

 竹林のエンドに、岩崎は細菌トークンを自身の《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》へ投げて疑似《不屈の自然/Rampant Growth》して土地を伸ばすと、メインで無事 5 マナに到達、《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》をプレイして一気にクリーチャーを 3 体に増やす。これでボード上の不利はなくなった。

 竹林はしばし考えると《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》と《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》でアタック。これを黙ってテイクしてライフを 14 とする岩崎。竹林は《金屑の嵐/Slagstorm》をプレイしてすべてのクリーチャーを焼き払いつつ、自身は《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》によって土地とカードにリソースを転換する。竹林の土地は 7 枚へ。

 岩崎は6枚目の土地をセットすると《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》をもう一度。まっさらになった場はふたたび岩崎優位となる。

 しかし、竹林の戦場には十分なマナが残されていた。

 まずは X=6 の《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》で《原始のタイタン/Primeval Titan》をプレイ。《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》をサーチする。タップ状態の土地は 10 枚。

 《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》をプレイした岩崎は、しばらく考えこんでから《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》とスピリット・トークンをレッドゾーンへ送り込む。

 竹林が《原始のタイタン/Primeval Titan》で《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk》をブロックすると・・・


 岩崎はカードを片付けた。


岩崎 1-1 竹林

 緊張するゲーム展開が続くフィーチャーマッチ、スコアはイーブンとなった。

竹林 「いまのはさすがに弱かったなー」
岩崎 「そうだね。そっちの動きが理想的だったし」
竹林 「そうだな」

 強敵と書いてともと読む。友人同士の真剣勝負は続く。


Game 3

竹林 友
竹林 友

 岩崎は首をひねりながらハンドの内容を吟味し、悩みながらもキープ。
 竹林もため息をつきながらハンドの内容を熟考する。おそらくはハイカロリーか、でなければ色が合わないものの引き当てることができれば十分戦いに挑める強い手札。マナをジャンプアップできれば、あるいは。

 岩崎が《森/Forest》を 2 つ重ねて《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》をプレイすれば、竹林は《森/Forest》《山/Mountain》から X=1 で《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》で《極楽鳥/Birds of Paradise》をサーチして開幕する最終ゲーム。
 《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》で竹林に 2 点ダメージを与え、《迫撃鞘/Mortarpod》で《極楽鳥/Birds of Paradise》を焼いてエンドする。

竹林 「土地 2 枚か」
岩崎 「微妙なハンドだったんよね」
竹林 「1 ターン待って《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》持ってくるか悩んだんだけど」

 《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》プレイしてターンを戻す竹林。《森/Forest》をプレイして《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》でアタックした岩崎は、《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》と《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を戦場へ追加する。

 竹林は《根縛りの岩山/Rootbound Crag》から《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》、《森/Forest》をサーチとようやく本領を発揮し始めた様子。ダメージレースで先攻できている岩崎は、《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》をプレイするとアドバンテージを気にせず《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》を焼くと《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》 2 体をレッドゾーンへ送り込み、竹林のライフを 12 とした。

 しかし、竹林は無事に 6 マナへ到達。《原始のタイタン/Primeval Titan》をプレイして《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》《幽霊街/Ghost Quarter》をサーチして 8 マナへ。

 それまで押せ押せモードだった岩崎にとって状況は一転、《原始のタイタン/Primeval Titan》をどうにかしないと死んでしまう絶望的なボードへとステージが変わってしまった。
 ドローを確認してから熟考する。

 解決方法は一つだった。
 《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》の「+1能力」で接死持ち狼を産み出すと、これに《迫撃鞘/Mortarpod》を装備して狼を《原始のタイタン/Primeval Titan》へ投げて除去する。しかるのちに《迫撃鞘/Mortarpod》を《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》へ装備すると 2 体でアタック。竹林のライフは 8 となる。

岩崎 「厳しいなあ。3 ターン目に土地をおけなかったのが厳しいね」

 《原始のタイタン/Primeval Titan》こそ失ったし、ライフもずいぶんと押されているが、竹林は 8 枚の土地をコントロールしている。まずは 6 マナで《原始のタイタン/Primeval Titan》を。《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》を 2 枚サーチ。ついで《感電破/Galvanic Blast》で《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》を除去して後顧の憂いを経つ。

 苦笑しながらターンを迎える岩崎。《忘却の輪/Oblivion Ring》で《原始のタイタン/Primeval Titan》を追放すると《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》 2 体で攻撃し、《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を追加してエンド。竹林のライフは4となる。

 竹林は 12 枚の土地をコントロールしている。まずは《金屑の嵐/Slagstorm》をプレイしてライフを脅かすクリーチャーを一掃する。対応して《迫撃鞘/Mortarpod》で本体を狙われ竹林のライフはわずか 3。 岩崎は《ヴィリジアンの密使/Viridian Emissary》 2 枚を失う代わりに待望の《平地/Plains》を 2 つ獲得する。きれいになった戦場を駆け抜ける竹林の《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》は、《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》のバックアップを受けて岩崎に 5 点の毒を与える。一挙に竹林もリーチをかける。

 またも土地と《迫撃鞘/Mortarpod》だけに戻ってしまった岩崎、《刃の接合者/Blade Splicer》をプレイして 3/3 ゴーレムを呼び、《迫撃鞘/Mortarpod》を《刃の接合者/Blade Splicer》へ装備する。《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》へ対処しつつ、竹林の残り少ないライフも狙う構えだ。

竹林 「おもしろいカード引いた」
岩崎 「そーいうのやめよ!」

 12 マナを持つ竹林は、X=5 で《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》をプレイすると、《酸のスライム/Acidic Slime》をサーチして《迫撃鞘/Mortarpod》を破壊する!

 一瞬驚いた顔をし、しばし逡巡したのち、あきらめ顔で岩崎は《刃の接合者/Blade Splicer》を竹林へ投げる。竹林のライフは 2 だ。

岩崎 「ほぼ負けやで」

 竹林がライブラリをシャッフルする間、ボードを確認しながら岩崎は思わずもらす。

竹林 「ほぼ勝ちやで」

 この岩崎のつぶやきにシャッフルしながら竹林が答える。

 このターン中に《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》を起動して岩崎を毒殺するには 2 マナ足りない竹林は、《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》をプレイして土地をサーチ。

岩崎 「《迫撃鞘/Mortarpod》しか勝ち手段ないなあ。それ以外負けや」
竹林 「《迫撃鞘/Mortarpod》なら本体で負けやね」

 《迫撃鞘/Mortarpod》を岩崎が引いた場合、これをプレイして投げて 1 点、まだ 3 マナ残っているのでさらにゴーレムへ装備してもう一度投げることができる。とはいえ、岩崎のデッキに《迫撃鞘/Mortarpod》は最大で 3 枚。そう都合良く引けるものでもなかろう。

 ほぼ詰んでいる状況からも細い勝ち筋を探し、その正解へたどり着けるべく正しいプレイングを目指す。残り 4 ラウンドを戦い抜き、栄光の決勝ラウンドへ進出するために。


 ふう、と長い息を吐き。
 岩崎はライブラリからカードを叩きつけた。

 ギャラリーがわっと盛り上がり、岩崎は思わず笑顔がこぼれた。

岩崎 「今日のオレはなんか持ってるね」

岩崎 2-1 竹林

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