マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【戦略記事】 熊谷 陸の2ndドラフトピック ~色変えの妙技~

【戦略記事】 熊谷 陸の2ndドラフトピック ~色変えの妙技~

By Atsushi Ito

draft2_kumagai.jpg

 世界選手権2017でトップ4だったプラチナレベル・プロのケルヴィン・チュウ/Kelvin Chewや、先ほどのドラフトを2-1で切り抜けた瀧村 和幸グランプリ・名古屋2014で準優勝の朴 高志も同卓している2番ポッド。卓の全員が10勝2敗であり、2-0してIDすることができればトップ8進出が可能となるラインだ。

 勝負駆けのドラフト、熊谷 陸ははたしてどのようなドラフティングを見せるのか。



1パック目

1-1: 《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》

他の候補:《凶暴な踏みつけ/Savage Stomp》《不吉な旗艦/Fell Flagship》《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》《火炎砲発射/Firecannon Blast》《風と共に/One With the Wind》

 レアありアンコモンありでしかも色はバラバラと、初手からかなりピックの好みが分かれそうなパック。だが熊谷は以前聞いたときにも「白がやりたい」と言っていただけに、迷いなくトップコモンの《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》をピックする。

 他に白の強力なカードがなく、《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》さえピックして今後白のカードを押さえてしまえば競合が生まれにくいことを考えると、リスクはあるが十分リターンの可能性もあるピックと言えるだろう。

1-2: 《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》

他の候補:《火炎砲発射/Firecannon Blast》

1-3: 《オテペクの猟匠/Otepec Huntmaster》

他の候補:《ティシャーナの道探し/Tishana's Wayfinder》《身勝手な粗暴者/Headstrong Brute》

 いまいちパッとしないパックだが、《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》が2枚取れていることもあり、ここは赤白恐竜を見据えて赤に渡りを付ける。

1-4: 《猛竜の群れ/Thrash of Raptors》

他の候補:《輝くエアロサウルス/Shining Aerosaur》《巣荒らし/Nest Robber》

1-5: 《確実な一撃/Sure Strike》

他の候補:《風雲艦隊の紅蓮術士/Storm Fleet Pyromancer》《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》《イクサーリの守り手/Ixalli's Keeper》《巧射艦隊の拷問者/Deadeye Tormentor》

1-6: 《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》

他の候補:《凶兆艦隊の貯め込み屋/Dire Fleet Hoarder》《群棲する猛竜/Ranging Raptors》

 だが4~6手目は白のカードがほとんど流れて来ず、空模様は暗雲。6手目で緑の強力カードが一度に2枚流れてきたことで、緑へのスライドを見据える。

1-7: 《プテロドンの騎士/Pterodon Knight》
1-8: 《継ぎ当ての翼/Cobbled Wings》
1-9: 《新たな地平/New Horizons》
1-10: 《棘尾ケラトプス/Spike-Tailed Ceratops》
1-11: 《ジャングルの探査者/Jungle Delver》
1-12: 《金色の歩哨/Gilded Sentinel》
1-13: 《古代ブロントドン/Ancient Brontodon》
1-14: 《新緑の再誕/Verdant Rebirth》

 《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》が2枚取れたは良いものの、白の流れは淀んでいる。赤と緑に渡りを付けたが、いずれも《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull》に匹敵するような核となるカードは取れていない、という状況で2パック目を迎える。



2パック目

2-1: 《焼熱の太陽の化身/Burning Sun's Avatar》

 色変えするためのカードパワーが欲しいこの状況では、喉から手が出るほど欲しい1枚

2-2: 《怒り狂う長剣歯/Raging Swordtooth》

他の候補:《プテロドンの騎士/Pterodon Knight》《噛み付く帆背びれ/Snapping Sailback》

 ここがターニングポイントだろう。赤は確定にせよ、まだ赤白/赤緑のいずれも可能性がある状況だが、1パック目後半のカードの流れから緑が狙い目と判断した熊谷は《怒り狂う長剣歯/Raging Swordtooth》から赤緑へと切り込む。

2-3: 《稲妻砲手/Lightning-Rig Crew》
2-4: 《オテペクの猟匠/Otepec Huntmaster》
2-5: 《ティロナーリの騎士/Tilonalli's Knight》
2-6: 《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》
2-7: 《貪欲な短剣歯/Ravenous Daggertooth》
2-8: 《イクサーリの守り手/Ixalli's Keeper》
2-9: 《恐竜との融和/Commune with Dinosaurs》
2-10: 《座礁/Run Aground》
2-11: 《激情の猛竜/Frenzied Raptor》
2-12: 《恐竜との融和/Commune with Dinosaurs》
2-13: 《航海士の喪失/Navigator's Ruin》
2-14: 《目隠し霧/Blinding Fog》

 そしてそれは正解だった。白のカードは一切流れてこない中、赤と緑のカードはぐるぐると回ってくる。



3パック目

3-1: 《貪る死肉あさり/Deathgorge Scavenger》

 3パック目のレアも噛み合い、万々歳といったところ。

3-2: 《猛竜の群れ/Thrash of Raptors》
3-3: 《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》
3-4: 《確実な一撃/Sure Strike》
3-5: 《押し潰す梢/Crushing Canopy》
3-6: 《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》
3-7: 《皇帝の先兵/Emperor's Vanguard》(!)
3-8: 《川守りの恩恵/River Heralds' Boon》
3-9: 《新たな地平/New Horizons》
3-10: 《太陽の化身、ギシャス/Gishath, Sun's Avatar》(!!)
3-11: 《深根の水域/Deeproot Waters》
3-12: 《貪欲な短剣歯/Ravenous Daggertooth》
3-13: 《かき回すゴブリン/Rummaging Goblin》
3-14: 《若返りの儀式/Ritual of Rejuvenation》

 楽しそうなレアも確保し、1パック目の初手と2手目が吹き飛んだ割には、かなり強力なデッキに仕上がった。




熊谷「色変えについては、白は1パック目の時点でかなりやばそうな気がしたので......2パック目も2手目までで何もありませんでしたしね」

 この環境のドラフトで渡りを付けるには、一見何でもないようなピック、たとえば今回で言う1-6の《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》《群棲する猛竜/Ranging Raptors》《凶兆艦隊の貯め込み屋/Dire Fleet Hoarder》の3択のような地点から、「この後、今取っている色が1枚も流れてこなかったらどうしよう」というように1手先を見据えて動く必要がある。

 白の混み具合を察し、早々に緑に逃げ込む可能性を察知した上にきっちりとスライドを成功させた熊谷はやはりさすがと言うべきだろう。

 このあと、残念ながら熊谷は第13回戦でケルヴィン・チュウに敗れて3敗となってしまったが、トップ8滑り込みの可能性にかける。




熊谷 陸
グランプリ・香港2017 2ndドラフト / 『イクサラン』ブースタードラフト (2017年10月29日)
9 《森》
7 《山》

-土地(16)-

2 《オテペクの猟匠》
1 《イクサーリの守り手》
1 《マーフォークの枝渡り》
1 《ティロナーリの騎士》
2 《貪欲な短剣歯》
1 《貪る死肉あさり》
1 《稲妻砲手》
2 《猛竜の群れ》
1 《皇帝の先兵》
1 《怒り狂う長剣歯》
1 《棘尾ケラトプス》
1 《焼熱の太陽の化身》
1 《巨大な戦慄大口》
1 《太陽の化身、ギシャス》

-クリーチャー(17)-
2 《恐竜との融和》
2 《確実な一撃》
2 《新たな地平》
1 《継ぎ当ての翼》

-呪文(7)-
1 《ジャングルの探査者》
1 《川守りの恩恵》
1 《新緑の再誕》
1 《野茂み歩き》
2 《縄張り持ちの槌頭》
1 《目隠し霧》
1 《押し潰す梢》
1 《深根の水域》
1 《焦熱の連続砲撃》
1 《激情の猛竜》
1 《航海士の喪失》
1 《若返りの儀式》
1 《かき回すゴブリン》
1 《金色の歩哨》
1 《プテロドンの騎士》
1 《座礁》
1 《古代ブロントドン》

-サイドボード(18)-

前の記事: 【観戦記事】 第11回戦:瀧村 和幸(東京) vs. Felix Tse(カナダ) | 次の記事: 【戦略記事】 瀧村 和幸の決勝ドラフトピック ~掟破りのダブル聖域探究者~
グランプリ・香港2017 一覧に戻る