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グランプリ・香港2015

戦略記事

インタビュー:松本郁弥に学ぶシールド練習法

By Masashi Koyama

 グランプリ・静岡2015グランプリ・千葉2015、そしてこのグランプリ・香港2015と直近で参加した3回のリミテッドグランプリの初日シールドラウンドで26勝1敗(不戦勝含む)と凄まじいまでの成績を残しているプレイヤーがいる。

 それが松本郁弥(石川)だ。

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 プロプレイヤーたちですら次々と脱落を余儀なくされるこのシールドという過酷なフォーマットで、彼はいかにして安定した好成績を残し続けるに至ったのだろうか。

 その秘訣を探るべく彼にインタビューをお願いしてみた。


――『マジック・オリジン』のシールド環境はどのような印象ですか?

 テンポデッキを組む人が多くなりがちかなと思います。ただ、上位卓になればなるほど中速以上の強いアンコモンやレアをしっかりと持っているので、大事なのは5マナ域が充実していることだと思います。

 意外とリセット呪文が多く、レアであれば《衰滅》や《チャンドラの灯の目覚め》、アンコモンには《眼腐りの虐殺》、コモンの《チャンドラの憤怒》ですら刺さることが多いので、テンポデッキよりは、ボム(強力なレア)を使ったり、中速でなおかつ押し込まれないデッキが組みたいですね。

――普段どのようにシールドを練習されているのでしょう?

 グランプリ・静岡2015の時は極端だったのですが、ブースターボックスを5箱剥いて、ひたすらシールドの練習をしました。
 いつもは2~3人で家に集まってシールドの練習をしています。3人いると必ず1つはボムの入ったデッキになるのですが、そのデッキに勝つにはどうすればいいか、ということで何度も何度も他のデッキを組み直しています。
 ベストなデッキを作る練習ももちろん良いのですが、弱いカードプールの時にどのようにするか、ということに重点を置いていますね。
 どんな環境や弱いプールでも逃げ道を作れるよう考えています。

――5ボックスはすごいですね

 今回はドラフトを重点的に練習したので1.5箱くらいですけどね。

 5箱剥いたと言いましたが、実際に購入したのは1箱であとはPPTQ(プロツアー予備予選)などの賞品なんですね。練習して、上達して上位入賞して、その賞品でまた練習して......と良い循環が作れれば最高で、シールドは正直やり得だと思っています(笑)

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――一緒に練習している方というのはどのような方たちなんでしょうか

 地元の友達ですね。お店ではなく家で、同じくらいの実力の人を揃えて練習しています。
 北陸にはタイトルを持っているようなプロ・プレイヤーがいないのでボトムアップで環境をよくしないとと思っています。

――ボトムアップですか

 北陸にはWPNのアドバンスプラスレベルのお店が2つあるのですが、ドラフトが週に2〜3回立つようになり新規のプレイヤーが増えてきていて、良い傾向だと思います。

 そんな中で学生の子たちにシールドを教えたりしています。北陸にはプロ・プレイヤーがいないと言いましたが、昔からのプレイヤーたちは多くいて基本的なことができている人は多いと思っていて、プレイングの指摘などもしています。そういった子たちが成長していけば自然と練習相手も増えていくと思うので。

――ありがとうございました。


 いかがだっただろうか。

 個人的に印象に残ったのはその練習量もさることながら「逃げ道を見つけておく」という視点だ。大会で弱いパックを引いてしまった際に半ば諦めてしまうような心境になる人もいるだろうが、そういった事態にもしっかり対処できる練習をしているからこそ、安定した好成績を残せているのだろう。

 また同時に新たなプレイヤーたちの育成に力を注いでいる点にも注目したい。松本たち自身はもちろん、彼らが育てたプレイヤーが成長し、環境が整っていくことで、きっと近い将来北陸からプロ・プレイヤーが現れることだろう。

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