マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【観戦記事】 第12回戦:岩本 竜樹(北海道) vs. 中村 修平(大阪)

【観戦記事】 第12回戦:岩本 竜樹(北海道) vs. 中村 修平(大阪)

By Tetsuya Yabuki

岩本 竜樹(ジャンクリアニメイト) vs. 中村 修平(緑黒コントロール)

 息が詰まる感覚。勝利への執心と高速回転する思考がない混ぜになったような焦燥感が、こちらにまで伝わってくる。ゲームが始まる前は穏やかに流れていたこの場の空気が、固く張り詰め、滞留し、フィーチャー・テーブルを包んでいる。殿堂顕彰者・中村 修平と、今大会がグランプリ初出場となる岩本 竜樹が共に9勝1敗1分で迎えるこの一戦は、海の底で息を止め、耐え忍ぶような展開を見せた。

 試合前、慣れない英語の書類に苦戦する岩本を助け、「どういう書類なんですか?」との質問にも快く答える中村。やや緊張した面持ちの岩本がいくつか話を投げかけ、ゆったりとデッキシャッフルが進む。マリガンチェックを始めようかというところで、この試合の時間が動き出した。

R12_nakamura_iwamoto.jpg
試合

 中村がマリガンを選択。

 6枚スタートの中村が《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》で岩本の手札を公開すると、そこには《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》が2枚見えた。そのリアニメイト呪文が岩本の墓地の《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》を呼び起こす。

 除去を駆使して《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》と《冒涜の悪魔/Desecration Demon(RTR)》の攻撃を通す中村だが、《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》が《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》から現れる《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》の支援を受け、じわじわとライフ・レースを有利に進めていく。

 繰り返し《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》を釣り上げる岩本。中村は《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》への解答を見出せない。

 ようやく《漁る軟泥/Scavenging Ooze(M14)》が駆けつけた頃には、中村のライフは残り2点。とはいえ《漁る軟泥/Scavenging Ooze(M14)》は岩本の墓地を餌に中村にライフをもたらし、《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》のドレインをもう1回耐えられるようになった。が、しかし――岩本が手札から《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》を繰り出すと、《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》が「明滅」し、中村のライフを吸いきった。

岩本 1-0 中村


中村 修平

 2ゲーム目も中村が《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》でゲーム開始。岩本の手札は《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》、《静穏の天使/Angel of Serenity(RTR)》、《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter(RTR)》、《忌まわしい回収/Grisly Salvage(RTR)》2枚、《化膿/Putrefy(DGM)》、《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》と濃い内容だが、土地がない。中村は《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》を抜き去る。

 そのターンの終了時に岩本が《忌まわしい回収/Grisly Salvage(RTR)》を唱えると、なんとか《森林の墓地/Woodland Cemetery(ISD)》を引き当てるものの、これでは白マナが出ない。岩本が軽く悲鳴を上げる。

 一方の中村は《地下世界の人脈/Underworld Connections(RTR)》から《冒涜の悪魔/Desecration Demon(RTR)》とスムーズな動きを続ける。2枚目の《忌まわしい回収/Grisly Salvage(RTR)》で岩本は白マナ源を手に入れるが、今度は《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》が見えてこない。土地も止まった岩本は《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》と《冒涜の悪魔/Desecration Demon(RTR)》を交換し、《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter(RTR)》でなんとか盤面を持たせる。

 耐え忍ぶ岩本に念願の《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》が舞い込むと、彼は早速《静穏の天使/Angel of Serenity(RTR)》を釣り上げた。そこへ続く《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》が、一気に凶悪な盤面を作り上げる。


岩本 竜樹

 中村も負けじと《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》と《ボーラスの信奉者/Disciple of Bolas(M13)》でライフ、ハンド共にアドバンテージを稼ぎ出し、岩本の《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》も《化膿/Putrefy(DGM)》で対処した。続けて《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》、《冒涜の悪魔/Desecration Demon(RTR)》と次々に盤面を強化する。

 《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》を《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》フラッシュバックで戦場に戻す岩本。その返しに中村は《見えざる者、ヴラスカ/Vraska the Unseen(RTR)》を着地させ、《静穏の天使/Angel of Serenity(RTR)》を退場させる。それでも岩本は《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》を重ね、先ほど墓地に行ったばかりの《静穏の天使/Angel of Serenity(RTR)が戦場へ舞い戻った。

 両者から繰り出される《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》。

 互いのクリーチャーに撃ち込まれる数多の除去。

 ターンを迎えるたびに盤面は移り変わり、複雑化し、もつれ込む。

 試合時間が迫り、両者の動きが加速する――

 やがて岩本のライフを支えるのが《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》だけになり、中村の盤面にようやく《漁る軟泥/Scavenging Ooze(M14)》が現れると、岩本も頷くようにカードを片付けた。

岩本 1-1 中村

 あまりに長引いた試合に、大きく息を吐く両者。時計は刻一刻と、両者の時間を削っていく。勝負は引き分けの様相を見せ始めていた。

「1ゲーム目がすべてだったということで。なんとかできたんじゃないかな」

 試合後、中村はそう振り返った。

......第3ゲームは、中村痛恨のダブルマリガン。

 順調な動きを見せる岩本は4ターン目《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》フラッシュバックで《静穏の天使/Angel of Serenity(RTR)》を戦場へ。《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》でしのぐ中村だが、《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》を加えた岩本の空中戦力を止めることはできなかった。

岩本 2-1 中村

 強烈なプレッシャーから開放され、今一度大きく息を吐く岩本。

「とにかく、《漁る軟泥/Scavenging Ooze(M14)》をあまり引かれなくて、運が良かったです」

 そう言うと、彼は再び深呼吸を始めるのだった。

前の記事: 【観戦記事】 第11回戦:Kuo, Tzu-Ching(台湾) vs. Park, Jun Young(韓国) | 次の記事: 【観戦記事】 第13回戦:塚原 一翔(愛知) vs. 山本 賢太郎(埼玉)
グランプリ・北九州2013 一覧に戻る