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グランプリ・北九州2013

観戦記事

第15回戦:Park, Jun Young(韓国) vs. 工藤 耕一(東京)

By Tetsuya Yabuki

Park, Jun Young(黒緑コントロール) vs. 工藤 耕一(グルール・ミッドレンジ)

 フィーチャー・テーブル4卓がすべて埋まり、そこに座る8人のプレイヤーたちはさらなる闘志をみなぎらせる。スイスラウンド15回戦を闘い抜いた彼らの戦意はひとつも欠けることなく、トップ8目前の最後の試合に臨んでいた。

 8人の置かれた状況は皆同じ。「勝てばトップ8」。

 激戦必至のフィーチャー・マッチからここでお届けするのは、「持っている男」の一戦である。

 マジックの歴史上、相性差を覆すゲームは多々あった。丁寧に積み重ねた戦略で、お互いの歯車の噛み合いで、そして「引き」で......不利だと思われたプレイヤーが勝利を奪う姿は、挙げればキリがないほど見られる。そういったマッチは記録や記憶に残ることも多い――、そう、「何かが起こりそうだ」というときは、「その何かは起こる」のだ。

試合

工藤 耕一

 第1ゲームは嵐のように過ぎ去った。

 工藤が《東屋のエルフ》で口火を切ると、Parkの《漁る軟泥》と工藤の《絡み根の霊》が盤面を牽制し合った後、工藤が《雷口のヘルカイト》を2連打。瞬く間にParkのライフが落ち込み、態勢を整える暇を与えなかった。


Park, Jun Young

 2ゲーム目は一転してParkの優勢で進んだ。

 《漁る軟泥》でスタートしたParkは、工藤の繰り出した《ドムリ・ラーデ》を《突然の衰微》で即対処。その後も《冒涜の悪魔》、《ヴェールのリリアナ》と順調に盤面を固める。

 《ヴェールのリリアナ》は《火打ち蹄の猪》で墓地に送った工藤だが、Parkは《スラーグ牙》を続かせて盤面の優位を保つ。さらに《もぎとり》が工藤の盤面を一掃し、《冒涜の悪魔》が攻撃を加えた。

 その後さらに追加される《冒涜の悪魔》に工藤は顔をしかめる。《自由なる者ルーリク・サー》と《雷口のヘルカイト》で守勢に回るしかない。

 すでにライフは心許なくなっていた工藤だが、1回寝かされて+1/+1カウンターを載せた方の《冒涜の悪魔》をダブルブロックで落とした。しかしParkはもう1体を《ボーラスの信奉者》の生け贄に捧げ、ライフとハンドを一気に稼ぐ。

 その差を縮めるのは容易ではなく、数ターン後工藤はかすかに息を漏らすと、カードを片付けた。

Park 1-1 工藤

R15_park_kudo.jpg

 運命の第3ゲーム。開幕から《火打ち蹄の猪》を2体続けて送り込む工藤は、その返しにParkの《生命散らしのゾンビ》によって手札を公開した。彼の手札は《地獄乗り》、《紅蓮の達人チャンドラ》、《絡み根の霊》2枚。

 工藤の土地は3枚。もう1枚土地が引ければ、強力な4マナ域が待ち構えている。

 工藤がゆっくりとトップをめくると、小さく「やった」と漏らした。ギャラリーからもざわめきが届く。《》を引き込んだ工藤は《紅蓮の達人チャンドラ》を呼び出し、ブロッカーを排除すると攻撃を続けた。

 工藤の引きはさらに冴え渡った。次のターンも土地を引いた彼が《紅蓮の達人チャンドラ》の[0]能力でトップをめくると――

 ざわめきがはっきりとした歓声に変わり、工藤の軍勢がParkを圧倒した。

Park 1-2 工藤

 工藤 耕一、トップ8進出決定!

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