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【戦略記事】 デッキテク:行弘 賢の「Super Mythics」

【戦略記事】 デッキテク:行弘 賢の「Super Mythics」

By 伊藤 敦

(※1日目に取材した内容を掲載しております。)

 プロツアー『カラデシュ』では、プロプレイヤーの手によるスタンダードの有力デッキが次々と姿を現した。

 《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》を活用した赤白「機体」ビートダウンや、《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》や《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》を高速召喚する《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》コンボ、《金属製の巨像/Metalwork Colossus》を4ターン目に複数体並べるコンボに、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》をフィニッシャーに据えたコントロールなど。

 さまざまな『カラデシュ』産のアーティファクトが、その強さを見せつける結果となった。

 そして、このグランプリ・クアラルンプール2016は、そんなプロツアーのわずか一週間後に開催された大会となる。

 ということは、プロツアーに参加したプレイヤーもそうでないプレイヤーも、少ない時間を効率的に使うため、プロツアーで活躍したデッキをベースに細部をプロツアーの結果に合わせて調整した、というプレイヤーが多くを占めていることだろう。

 だが、そんな中で。

 この一週間の間に新作デッキを作り上げ、必勝を期してグランプリに持ち込んだ男がいた。

 行弘 賢(東京)。

 行弘といえばデッキビルダーとして知られ、3か月ほど前に昨シーズン最後のプロツアー『異界月』でも自身がコンセプトをデザインした赤緑「昂揚」デッキでトップ8に入賞し、ゴールド・レベルへと返り咲いたことが記憶に新しい。

 プロツアー後のスタンダード環境に、はたしてプロプレイヤーはどんな光明を見出したのか。

 早速今回のデッキについて、行弘にインタビューさせてもらった。

deck_yukuhiro.jpg

――このデッキができた経緯を教えてください。

プロツアー『カラデシュ』の結果を眺めていたときに、『《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》が使われてないな』と思ったことがデッキ製作のきっかけです。特に、《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》というカード自体はどの能力もコントロール向きなんですが、ビートダウンでばかり使われている印象があり、コントロールでうまく使えるデッキが組めれば強力なデッキになりそう、ということで《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》3枚から構築がスタートしました」

――黒緑青というカラーリングになったのはどういった理由からでしょうか。

「《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》と一緒に《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer》も使いたかったんですよね。それとプレインズウォーカーを守るための除去も使いたいというのと、あとはコントロールとなると《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》は無類の強さを発揮するということで、結局余った除去を食らいやすいので《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer》はサイドボードに移りましたが、そういうわけで黒緑青というカラーリングに落ち着きました」

――デッキ構築にあたって一番難しかったところは何でしたか。

マナベースですね。基本的には黒ベースのデッキですが、《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》の{G}{G}と《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》の{U}{U}もあり、《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》が使えるとはいえマナベースの調整にはかなり時間をかけました。マナベースが出来上がらなかったらこのコンセプトは諦めるつもりでしたが、呪文の選択をマナベースに合わせるなどしてどうにか納得できる形になったので、今回持ち込むことにしました」

――このデッキのイチオシのポイントを教えてください。

「強力な神話レアがたくさん入っているので、豪快なカードパワーが魅力です。特に《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》はプレインズウォーカーのいわゆる『奥義』が簡単に使えるので楽しいというのがありますね。それからこのデッキは実は《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》がキーカードで、マナベースの安定を図りつつフィニッシャーの枚数を絞ることで、コントロールとはいっても手札が重いカードばかりになったりすることがほとんどなく、見た目以上によく回るデッキとなっていて、相手に合わせたゲームメイクをしやすいのも良いです。ヤソ(八十岡 翔太)がプロツアーで優勝したことでこれからコントロールが増えると予想されるところ、プレインズウォーカーがコントロール対決で強いのも追い風ですね。同じく今後流行りそうな青白フラッシュのようなデッキにも《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》が強いのでうまく立ち回れます。あとはサイドボード後の戦略がメインと全然違うので、そういったギミックも強みです」

――サイドボード後の戦略とは?

「まずほとんどのマッチで《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer》が4枚入ってきます。このデッキを相手にしたらさすがに相手は除去をサイドアウトするので、そこを《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer》や《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》といった単体で勝てるクリーチャーで裏をかいていけます。サイド後はコントロールからミッドレンジにシフトするイメージですね。それからサイドには《豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury》も搭載しているのですが、能力が遅いデッキ相手に非常に強く、黒のミッドレンジやコントロールを使っている人には、ぜひ採用を検討してみてほしいカードです」

――《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》が入っていないのが意外でした。

「《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》はコントロール相手に弱いんですよね。最近は《即時却下/Summary Dismissal》も積まれていますし、それにコントロール側の場に何もなかったら相手がカードを1枚追加で引くだけ、ということにもなりかねないので。自分と同型のデッキが増えない限りは、あまり《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》が強い環境ではないかなと思います」

――ありがとうございました。


 行弘のデッキはこのグランプリで他にも3名ほどにシェアされている。

 これでもかと搭載された神話レアのカードパワーに加えて、サイドボード戦略も含めて当たって初見で対応することはなかなか難しそうなこの「Super Mythics」は、はたしてクアラルンプールの地で台風の目となるのか?戦いぶりに注目だ。

行弘 賢 - 「Super Mythics」
グランプリ・クアラルンプール2016 / スタンダード (2016年10月22~23日)
4 《沼》
3 《森》
1 《島》
4 《花盛りの湿地》
2 《風切る泥沼》
4 《窪み渓谷》
1 《詰まった河口》
3 《植物の聖域》
4 《進化する未開地》

-土地(26)-

1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
2 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(3)-
4 《死の重み》
3 《ウルヴェンワルド横断》
4 《闇の掌握》
2 《否認》
2 《精神背信》
3 《本質の摘出》
3 《苦い真理》
2 《殺害》
1 《破滅の道》
1 《天才の片鱗》
3 《最後の望み、リリアナ》
3 《生命の力、ニッサ》

-呪文(31)-
4 《残忍な剥ぎ取り》
1 《歯牙収集家》
2 《豪華の王、ゴンティ》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《儀礼的拒否》
2 《否認》
1 《精神背信》
1 《餌食》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-サイドボード(15)-

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