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Round 9: 大森 健一朗(兵庫) vs. 田村 亮(三重)

Round 9: 大森 健一朗(兵庫) vs. 田村 亮(三重)

By Yusuke Yoshikawa


 グランプリ・プロツアーの歴史を重ねてきた、神戸という街。
 初日全勝を懸けて戦うのは、直近のグランプリ・神戸2011でトップ4に入賞した戦歴を持つ、地元・兵庫の大森 健一朗だ。構築・限定問わず結果を残し続けるのは、実力のなによりの証だろう。
 対するは三重の田村 亮。彼もまた、グランプリで名を見ることが多いプレイヤーだ。

 最後の一歩を駆け抜けて、2日目の朝を迎えるのはどちらか。

Round 9


Game 1

 ダイスロールで勝った大森が先手を宣言。大森がすぐに、田村が少考してそれぞれキープして、全勝への挑戦が始まった。

 田村の《内陸の隠遁者/Hinterland Hermit(DKA)》からゲームが始まり、そのターンの終了時に大森が《待ち伏せのバイパー/Ambush Viper(ISD)》で応える。
 これを立たせて待つが、《内陸の災い魔/Hinterland Scourge(DKA)》へと変身させた田村は《炉の小悪魔/Forge Devil(DKA)》でこれを排除、攻撃にかかる。

 続く大森の《電位式巨大戦車/Galvanic Juggernaut(ISD)》には即座に《裏切りの血/Traitorous Blood(ISD)》を浴びせ、9点の打撃を与えるとともに、大きな《電位式巨大戦車/Galvanic Juggernaut(ISD)》をタップ状態にさせる。

 大森は《ケッシグの出家蜘蛛/Kessig Recluse(DKA)》。
「死んだら起きますんよね...」
 田村はやわらかな口調で確認するようにつぶやく。
「ライフは?」
「ライフ?8ですね」
 確認の後、田村は総攻撃。《内陸の災い魔/Hinterland Scourge(DKA)》と《ケッシグの出家蜘蛛/Kessig Recluse(DKA)》が予定通りにぶつかったところで、田村は《茨群れの頭目/Briarpack Alpha(DKA)》でブロックされなかった《炉の小悪魔/Forge Devil(DKA)》を+3/+3してダメージを優先させる構え。

 大森がブロッカーを呼んだところで、《マルコフの大将軍/Markov Warlord(DKA)》。
 田村は微笑みを絶やすことなく、押し切ってみせた。

大森 0-1 田村


Game 2

大森 健一朗

大森 健一朗

 再びの先手・大森が《錯乱した助手/Deranged Assistant(ISD)》、田村が《軽蔑された村人/Scorned Villager(DKA)》と、マナ加速でゲームのギアを一段上げる立ち上がり。

 大森は増えたマナを利して《ケッシグの出家蜘蛛/Kessig Recluse(DKA)》《ホロウヘンジのゴミあさり/Hollowhenge Scavenger(ISD)》と並べていく。この過程で、《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》が墓地に。
 対して田村には特にアクションがなく、変身した《月傷の狼男/Moonscarred Werewolf(DKA)》がただ待つのみ。

 ターンを返す意思表示に、大森は少し首をかしげ、自分のドローを経てもう少し考えてから《ケッシグの出家蜘蛛/Kessig Recluse(DKA)》《ホロウヘンジのゴミあさり/Hollowhenge Scavenger(ISD)》で攻撃に向かう。
 ここに田村の《茨群れの頭目/Briarpack Alpha(DKA)》が迎え撃ち、自身を強化して《ホロウヘンジのゴミあさり/Hollowhenge Scavenger(ISD)》を撃退する。

 《エルドワルの切り裂き魔/Erdwal Ripper(DKA)》を加えての攻撃に、《錯乱した助手/Deranged Assistant(ISD)》でブロックして相討ち。
 戦場には《ケッシグの出家蜘蛛/Kessig Recluse(DKA)》のみと、戦力を失った格好の大森だが、《茨群れの頭目/Briarpack Alpha(DKA)》に《スキフサングの詠唱/Chant of the Skifsang(DKA)》で攻撃を減速させる。

 そしてキャストされた《ソンバーワルドのドライアド/Somberwald Dryad(DKA)》に、少し困った顔の田村。
 いまはまだ、2/2でしかないが...

 大森は次いで《狼狩りの矢筒/Wolfhunter's Quiver(DKA)》、これを《ケッシグの出家蜘蛛/Kessig Recluse(DKA)》に構えさせ、《月傷の狼男/Moonscarred Werewolf(DKA)》を撃退。
 ゲームがどんどん収束点に向けて減速していく。

 はたしてその時が訪れた。
 大森が意を決して土地7枚を傾ける。その手が、《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》に伸びる。対象はもちろん、《ソンバーワルドのドライアド/Somberwald Dryad(DKA)》。

「10個ですか...」
「10個ですね」

 事実を確認するやり取りを経て、田村は気持ちを次のゲームに切り替えた。

大森 1-1 田村


Game 3

田村 亮

田村 亮

「ちょっとすみません、考えさせてください」
 うーん、と少し唸ったのち、田村はそう断ってまた考えると、マリガンの決断を下した。それを見て、大森も同様にマリガンを宣言する。
 ライブラリトップを見て苦笑いしてみせる田村に、見向きもせずにシャッフルをする大森。互いに6枚をキープして、長い1日の最終ゲームが始まった。

 田村の《狼に噛まれた囚人/Wolfbitten Captive(DKA)》がゲームの急展開を告げる。大森は《猛火の松明/Blazing Torch(ZEN)》で応えるが、田村が攻撃してパンプアップ、呪文を唱えなかったことでこれが《爪の群れの殺人者/Krallenhorde Killer(DKA)》に変身する。

 よもや、と思われたが、田村は3枚目の土地を置けない。
 これにより潜在的なサイズは2/2へと縮小してしまい、大森の《甲冑のスカーブ/Armored Skaab(ISD)》を前に停止を迫られる。
 仕方なしの攻撃を冷静に受け止めると、少し考えて《猛火の松明/Blazing Torch(ISD)》でこれを除去。

 先ほどのゲームを決めた《ソンバーワルドのドライアド/Somberwald Dryad(DKA)》が、今度は田村の手から現れる。
 この回避能力はまたも勝負を決めるのか、しかし大森も《暗茂みの狼/Darkthicket Wolf(ISD)》で応える。

 続くターンの田村の《若き狼/Young Wolf(DKA)》に、大森は少し考えて《骨を灰に/Bone to Ash(DKA)》。戦力差を少しでも埋めるべく、田村は自分に1ダメージ与えるだけの《炉の小悪魔/Forge Devil(DKA)》をブロッカーに出すしかない。

 大森は《スキフサングの詠唱/Chant of the Skifsang(DKA)》で《ソンバーワルドのドライアド/Somberwald Dryad(DKA)》の攻撃を無効化し、自らはコツコツと攻撃を続行する。

 田村は4枚目の土地をまだ引けない。
 先ほどまでの笑みも変わらないが、どちらかというと苦笑いか。
 そうして笑いながら出したのは、またも仕事をしない2枚目の《炉の小悪魔/Forge Devil(DKA)》。

 しかし青緑の大森に対し、チャンプブロックは早まることなく、田村はライフ8の状態でも《甲冑のスカーブ/Armored Skaab(ISD)》《暗茂みの狼/Darkthicket Wolf(ISD)》を通す。意を決したように、大森も《暗茂みの狼/Darkthicket Wolf(ISD)》をパンプアップして、田村はライフ3。
 続く一手は《電位式巨大戦車/Galvanic Juggernaut(ISD)》。

 田村は4枚目の土地、《森/Forest(ROE)》を引いて出したところで、それまでの笑みを消して解決策を模索する。

「ハンドは?」
 田村が不意に質問する。
「2枚」
「(その2枚)ずーっと持ってるなあ...」
 《扇動する集団/Instigator Gang(ISD)》を出してターン終了とした。

 大森がいくばくかの暗算をして総攻撃。
 《ソンバーワルドのドライアド/Somberwald Dryad(DKA)》が《暗茂みの狼/Darkthicket Wolf(ISD)》、《炉の小悪魔/Forge Devil(DKA)》が《電位式巨大戦車/Galvanic Juggernaut(ISD)》をチャンプブロックして、田村のライフは2となる。
 大森は戦闘後に《ホロウヘンジのゴミあさり/Hollowhenge Scavenger(ISD)》を追加し、「陰鬱」の恩恵を得てライフを17と引き上げ、これで大差に。

 ようやく引いた2枚目の《山/Mountain(ROE)》、しかし時既に遅し。田村は諦めたようにターンを返す。
 大森が、《扇動する集団/Instigator Gang(ISD)》から変身した《野生の血の群れ/Wildblood Pack(ISD)》を《閉所恐怖症/Claustrophobia(ISD)》して、とどめとなる総攻撃をする。

 ところが、そこに田村の《しがみつく霧/Clinging Mists(DKA)》が提示される。

 「窮地」能力が説明され、そのターンの戦闘ダメージが軽減されるとともに、大森の攻撃クリーチャーがタップ状態に封じられる。

 これでは1ターンの猶予を得たに過ぎない。
 かに見えた。

 そこに現れたるは《地獄乗り/Hellrider(DKA)》、《炉の小悪魔/Forge Devil(DKA)》を引き連れて一気に突撃。
 その能力が誘発し、さらに《野生の血の群れ/Wildblood Pack(ISD)》の効果を得て、大森のライフを一瞬にして5まで削り落とす。

「一応、ライフが5になるように考えていたんですよ」
 まさに自らの窮地を演出してみせた田村。

 あれほど戦場を支配していた大森の軍隊が起き上がらない、致命的な1ターン。

 大森は、何度も《しがみつく霧/Clinging Mists(DKA)》を確認し、勝ち筋を探し、最後にはなんとか自分に認めさせるように戦場を見回したが、そこに求める答えは落ちていないのだった。

大森 1-2 田村


 まだ悔しさを隠せない大森が去ってから、9連勝を祝福した知人の言葉に、田村が答える。
「あれ(=《しがみつく霧/Clinging Mists(DKA)》)で4ゲーム取ってるから」

 その笑顔の裏には、大いなる狙いが秘められていた。
 このプレイヤー、明日も油断ならない。

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