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Round 12: 今井 彰人(東京) vs. 中島 主税(東京)

Round 12: 今井 彰人(東京) vs. 中島 主税(東京)

By Yusuke Yoshikawa


Round 12

 経験は人を変える、という。

 今井 彰人(東京)はさきのプロツアー・闇の隆盛で、プロツアー初挑戦を果たした選手だ。成績は「スタンダードは3-2だったんですが、ドラフトでポンしました」とのことだが、その経験が活かされたか、いまだ2敗でこのリミテッドグランプリを戦っている。

 経験、という点では、中島 主税(東京)にまさるプレイヤーを、日本で見つけることも難しいだろう。
 多くのプレイヤーに慕われる彼は、昨年のプロツアー・フィラデルフィアで、念願のプロツアーサンデー進出を果たした。
 長い経験と誠実な取り組みが実を結ぶことを、中島は身を持って証明している。

 双方ともに、ここまで2敗。トップ8へ望みをつなぐために、その経験が活かされる時だ。


Game 1

中島 主税

中島 主税

 ダイスロールに勝利した今井が力強くキープ、中島がマリガンを選択。
 《山/Mountain(ROE)》《沼/Swamp(ROE)》から《血に狂った新生子/Bloodcrazed Neonate(ISD)》の登場を告げる、丁寧な今井のキャスト宣言により、ゲームの幕が上がった。

 中島の《忠実な聖戦士/Loyal Cathar(DKA)》に対し、今井はわずかに考えてこれに《不死の火/Fires of Undeath(DKA)》を浴びせ、ブロック不可の《不浄の聖戦士/Unhallowed Cathar(DKA)》に変えた上で攻撃、というアグレッシブなゲーム運び。

 その《不浄の聖戦士/Unhallowed Cathar(DKA)》で攻撃しつつ、中島は《礼拝堂の霊/Chapel Geist(ISD)》で固めに入るが、ここに《交差路の吸血鬼/Crossway Vampire(ISD)》で、またも《血に狂った新生子/Bloodcrazed Neonate(ISD)》の攻撃が通る。
 次のターンの攻撃に、中島の《礼拝堂の霊/Chapel Geist(ISD)》は《交差路の吸血鬼/Crossway Vampire(ISD)》を受け止めたので、《血に狂った新生子/Bloodcrazed Neonate(ISD)》の+1/+1カウンターはとうとう3つとなる。

 しかしそう我が物顔にもさせられない、とばかりに、これに《スキフサングの詠唱/Chant of the Skifsang(DKA)》。ダメージの蓄積を止め、大きくなったサイズも、攻撃強制のため意味をなくさせる。
 今井の追加戦力は《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf(DKA)》。コツコツとダメージを重ね続ける。

 次いで《肉切り屋のグール/Abattoir Ghoul(ISD)》が現れ、《不浄の聖戦士/Unhallowed Cathar(DKA)》は足を止めざるを得なくなるが、本丸はもちろん別にある。

 《空翔ける雪花石の天使/Angel of Flight Alabaster(ISD)》を送り込む中島の手つきは、力強く。
 しかし今井の攻撃部隊に《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf(DKA)》がいるため、おいそれとブロックに参加できない。
 今井はさらなる打点を求めて《ガイアー岬の災い魔/Scourge of Geier Reach(ISD)》を追加。

 《空翔ける雪花石の天使/Angel of Flight Alabaster(ISD)》の能力が強制であることをジャッジに確認され、中島は《礼拝堂の霊/Chapel Geist(ISD)》を拾う。

 カードカウント的には逆転のチャンスも見えるか。
 しかし、思いのほか大きな存在感を放っているのは《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf(DKA)》。

 小さな狼に大きく戦場を支配され、ブロッカーを用意できない中島は、頷くとカードを片付けた。

今井 1-0 中島


「先手いただきます」
 シャッフルに入る前に、中島はそう告げていた。
 この環境ではそれだけ、価値のあることだということか。


Game 2

 中島がキープ、後攻の今井がマリガンで6枚という、先ほどとはちょうど逆となる構図。

 《アヴァシン教の僧侶/Avacynian Priest(ISD)》と《死の重み/Dead Weight(ISD)》、《礼拝堂の霊/Chapel Geist(ISD)》と《硫黄の流弾/Brimstone Volley(ISD)》が交換となる、小型優秀クリーチャーが中心の中島と、除去デッキである今井がそれぞれ好対照の立ち上がりとなった。

 中島は、構築デッキでの活躍も記憶に新しい《ドラグスコルの隊長/Drogskol Captain(DKA)》。これにも《不死の火/Fires of Undeath(DKA)》が飛ぶが、しっかりと《救助の手/Saving Grasp(DKA)》が差し伸べられ、再登場。

 大きな仕事をしそうなこのクリーチャーを前に、今井は素直な思いを言葉にする。
「土地がほしいです!」
 その気持ちにデッキが応えたか、ドローは《沼/Swamp(ROE)》。《肉切り屋のグール/Abattoir Ghoul(ISD)》がキャストされる。
 一方の中島は、追加のクリーチャーを出せないながらも、淡々と《ドラグスコルの隊長/Drogskol Captain(DKA)》の小さなクロックを刻んでいく。

 しかし今井も《マルコフに選ばれし者/Chosen of Markov(DKA)》《交差路の吸血鬼/Crossway Vampire(ISD)》で追随。
 中島は《静かな旅立ち/Silent Departure(ISD)》を使い回してテンポを阻害しにかかるのだが、いかんせんクロックが小さく、得た時間を活かしきれないドローが続く。
 さらに使いきったところで《ガイアー岬の災い魔/Scourge of Geier Reach(ISD)》、ダメージレースではこの数字は今井にとって力強い。

 中島の唯一の援軍であるのは《叫び霊/Shriekgeist(DKA)》だが、戦闘ダメージによるライブラリー削り効果で2枚目の《不死の火/Fires of Undeath(DKA)》が落ちて、わずかに中島の表情が曇る。目の前には、ちょうど6枚目が並んだ今井の土地。一方で許容量を超えて押し寄せる自身の土地。

 物量差に押し切られて、中島は悔しそうにカードを片付けるのだった。

今井 2-0 中島


 丁寧なプレイングで、直近の経験が活きた形となった今井。
 プロツアーも踏まえ、闇の隆盛が加わってからのドラフトの変化を聞いた。

今井 彰人

今井 彰人

「イニストラードのみのときは、とにかく軽く速いデッキ、という印象だったのですが」
 そう前置きすると、今井はプレイングと同じく、確かめるように言った。
「いまはもう一押し、相手の残り5点を削りきれる大型クリーチャー、本体火力、ブロック回避などが必要になったと思います」
 今回の試合で言えば《ガイアー岬の災い魔/Scourge of Geier Reach(ISD)》、《硫黄の流弾/Brimstone Volley(ISD)》、《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf(DKA)》といったところだろうか。
 「押す」に加えて「押し切る」ことの重要性が増したということは、参考にできそうだ。


 一方、ドローに恵まれず、デッキの真価を発揮できないまま終わってしまった格好の中島。
 今井が去ってからは、悔しさを隠そうとしなかった。
「この環境になってから2-1できなかったことなんて、ほとんどなかったんだけどなあ...」
 ということは、今回のような不可避の事故の確率を考えれば、平均2勝以上の勝率を叩き出してきたことになる。
 その真髄は何なのか。
「やっぱり白ですね。軽い飛行で殴る戦略は変わらず強いです」
 小型・回避クリーチャーで先手をとってそのまま押し切る。シンプルながら確固たる戦略が今でも変わらず生きているということだろう。
 その中で、いかに安定感を増す構築ができるか、というところが鍵になりそうだ。

 少し経験値を増やして、彼らは第2ドラフトに向かう。まだまだ闇の隆盛のドラフトは始まったばかり。

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