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グランプリ・神戸2014

観戦記事

第4回戦:羽田 庸人(愛知) vs. 津村 健志(東京)

By 小山 和志

 3バイ(不戦勝)が明け、いよいよ強豪たちがこのグランプリ・神戸に姿を見せ始める。ここからは、これまでの戦績や肩書に関係なく、2,200人以上のプレイヤーが一斉に顔をそろえ、初日突破、そしてさらなる高みを目指してしのぎを削っていくこととなる。

 このラウンドでフィーチャーするのは、その3バイが明けたばかりの殿堂プレイヤー、津村健志だ。同じく殿堂プレイヤーである中村修平によるインタビュー記事にもある通り、Magic Onlineでモダンをやり込んでいるという彼にとって、このグランプリ・神戸は待望のイベントだったのではないだろうか。果たして、津村はこのラウンドでどんなデッキで、どんなパフォーマンスを見せるのか。

 対するは愛知の羽田 庸人だ。やはり使い慣れたデッキを...ということでプロツアー予選にも複数回使用している《出産の殻》デッキをこのグランプリに持ち込んでいる。果たして、殿堂プレイヤーから貴重な1勝をもぎとることはできるか。

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ゲーム1

 津村がダイスロールで先手を取ると、両者ともに7枚でスタートする。津村のファーストアクションは《秘密を掘り下げる者》で、これが《ギタクシア派の調査》をめくり最速で変身すると、一気に3点のクロックを叩き出していく。《ギタクシア派の調査》で羽田の手札を覗き見ると、そこには《出産の殻》、《修復の天使》、《復活の声》という豪華な顔ぶれが並ぶ。津村はその手札を確認すると、ひとまず《稲妻》で《極楽鳥》を焼き落としターンエンド。

 羽田は2点のライフを払いながらの《復活の声》で戦線を構築しようとするが、津村は続くターンに《血清の幻視》、《渋面の溶岩使い》と唱え、さらに《蒸気の絡みつき》で《復活の声》をバウンスと、テンポで押して羽田のライフを削っていく。

 羽田は津村の攻勢を押しとどめるべく、《台所の嫌がらせ屋》をキャストして2点回復すると、ターンエンドに津村がプレイヤーを対象に《渋面の溶岩使い》の能力を起動したのに対応して、《修復の天使》で《台所の嫌がらせ屋》を明滅させライフを9まで引き戻すと同時に、津村のクロック源である《昆虫の逸脱者》をストップしてみせる。

 一度は攻勢が止まったと思われた津村だが、羽田の《復活の声》キャストに対応して《瞬唱の魔道士》で《蒸気の絡みつき》を使い回し、《修復の天使》を手札に戻す。再度《修復の天使》をキャストするだけのマナが無い羽田は《昆虫の逸脱者》が攻撃してくるのを受け入れざるを得ない。これで羽田のライフは残り5だ。

 そして、羽田のターン終了時に再度《渋面の溶岩使い》の能力を差し向ける。これに対応して《修復の天使》で《台所の嫌がらせ屋》...というところで、津村が《マナ漏出》を見せると、羽田は《修復の天使》ごと自分のカードを片付けたのだった。

羽田 0-1 津村

殿堂顕彰者、津村健志

 二人はサイドボードを粛々と、一言も発することなく交換作業を進めている。ここはまだ初日の折り返し地点にすら届いていない4合目。初日突破も見えないこの段階で、対戦相手と談笑する余裕はどんなプレイヤーにも無いのかもしれない。だが津村がカットの後にポロリと自分のカードを落とし、ジャッジを呼ぶと、津村がはにかみながら「すみません」と一言。重々しい空気が少しだけふっと緩んだ。

ゲーム2

 先後入れ替わった形の2ゲーム目。今度はお互いにマリガンからのスタート。羽田が《霧深い雨林》から《》、《貴族の教主》と繋げ、後手の津村は《秘密を掘り下げる者》で対抗する。

 羽田はライフ3点を払って《復活の声》。地上の守りはひとまず、といったところか。一方津村は《秘密を掘り下げる者》は変身せず、さらに2枚目の土地を置けない。《渋面の溶岩使い》をキャストするのみでターンを終える。

 その津村を尻目に順調に土地を伸ばす羽田は《未練ある魂》をキャストし、空と地上の両方から津村を攻め立てる。なんとか津村は《大祖始の遺産》でフラッシュバックこそ防ぐものの、後手後手に回ってしまっている。

 羽田は最後の手札を使い切り、《漁る軟泥》、《召喚の調べ》から《オルゾフの司教》で津村の戦線を壊滅させる。続くターンに《若き紅蓮術士》しか追加できない津村は羽田の総攻撃に対し、《漁る軟泥》のブロックへとそれを差し向ける。能力を起動した《漁る軟泥》を《蒸気の絡みつき》で手札へ返し、単なるチャンプブロックは避けたが、残りライフがたったの4点まで押されている上に、《復活の声》の能力で生み出されたトークンが重くのしかかる。

 結局、続くターンもなんとか生き残ったものの、羽田の軍勢を対処しきれない津村はカードを畳まざるを得なかった。

羽田 1-1 津村

羽田 庸人

ゲーム3

 お互いマリガンは無し。津村は《秘密を掘り下げる者》スタートとはいかず、2ターン目に土地を2枚立ててターンを返すのみ。羽田は《貴族の教主》から《出産の殻》とグッドスタートだが、この《出産の殻》は《マナ漏出》で阻まれる。《血清の幻視》を使った後、さらに2マナを立ててターンを返す津村。

 羽田は《マナ漏出》をケアしたのか《極楽鳥》を召喚するのみでターンを返す。津村は少し悩むと、《神々の憤怒》で羽田のマナクリーチャーたちを一掃するが、羽田は津村の土地が1つしか立っていないのを確認すると、この隙にと《修復の天使》を戦場へと舞い立たせ、空から3点ずつライフを攻め始める。

 津村は《若き紅蓮術士》を送り込むが、これは《叫び大口》想起で処理され、1体もトークンを生み出すことなく墓地へと送られる。続くターンにさらなる《若き紅蓮術士》を送り出すと、これは生き残ることを許される。

 羽田が《未練ある魂》をキャストしたところで、津村は《稲妻》から《瞬唱の魔道士》、《稲妻》フラッシュバックで《修復の天使》を焼き落とすことに成功すると同時に、《若き紅蓮術士》がトークンを次々生み出し始める。

 ここで《若き紅蓮術士》によって生み出されたトークンとともに津村が総攻撃を仕掛けると、羽田の戦線は飛行トークン2体を残すのみとなるが、ここで簡単に引き下がるわけにはいかないと、続くターンに《漁る軟泥》を引き込み、ライフ回復とサイズで盤面を支え始める。

 だが、先ほど津村がキャストしていた《秘密を掘り下げる者》が《稲妻》をめくって《昆虫の逸脱者》へと変身を遂げると、一気に盤面が動き始める。

 羽田が《復活の声》をキャストし、津村に向けて一気に攻撃を仕掛けると、津村はトークンのブロックと《稲妻》の合わせ技で《漁る軟泥》を処理し、返すターンに《電解》で羽田の航空戦線を壊滅させる。

 《復活の声》トークンを《若き紅蓮術士》トークン3体まとめてのブロックで処理し、《蒸気の絡みつき》で《復活の声》を羽田の手札に戻すと、総攻撃。そして返す刀で繰り出したのは《血染めの月》!

 これで行動不能に陥った羽田は、津村が《瞬唱の魔道士》を手札から提示すると、自身にリカバリーするだけの時間が残されていないことを悟ったのだった。

羽田 1-2 津村
津村健志Win!

 津村の選択したデッキは青赤《秘密を掘り下げる者》デッキのようだ。「あんまり当たりたくなかった」という《出産の殻》デッキを倒し、順調な滑り出しを見せた彼が今後見せる快進撃に期待したい。

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