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【戦略記事】 Deck Tech: 後藤祐征のタルモバーン親和

【戦略記事】 Deck Tech: 後藤祐征のタルモバーン親和

by 中村 修平

 このデッキは面白い。

 筆者も初めは、このグランプリでどこのテーブルにでもいる、いわゆる親和デッキだと思っていた。

 しかし勝ちを積み重ねる毎にどうもそうではないらしい。

 親和が親和として成り立っているアーティファクト・クリーチャー、《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》や《刻まれた勇者/Etched Champion(SOM)》を全く見ないのだ。

 代わりに見るのが《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》《感電破/Galvanic Blast(SOM)》《爆片破/Shrapnel Blast(MRD)》に《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact(M15)》といったカード。

 どれも親和の定番といえるパーツなのだが、通常、親和ではデッキ内のアーティファクト比率を高めないと機能しないため、これらのカードは「必要ではあるが、デッキの廻りを阻害する不純物」なのでなるべく枚数を抑える傾向にあるはずなのに...

 もしかして主と従が逆転している?
 極めつけがメインボードに《タルモゴイフ/Tarmogoyf(MMA)》!?

 デッキリストを見て納得した。
 これはもはや親和ではなく、別の何かと言うべきだ。

 ということでこのデッキを何と呼べばよいのか。

 英語版カバレージライターのジョシュ・ベネットもこのデッキを気に入っていてインタビューを取りたいというので、それに同行する形で、デザイナー兼使用者の後藤祐征に聞いてみることにした。

gotou_deck1.jpg
デッキビルダー・後藤祐征の最新作
プロツアー・パリ2011でトップ8入賞、グランプリ・マニラ2010チャンピオンの中田直樹も最大の信頼を置く
ジョシュ

 第12ラウンド終了時で現在1敗ですね、あとトップ8まで2つかな? ちょっと緊張してる?

後藤

 はい、とても緊張してますね。というか朝から緊張しっぱなしです。

中村

 デッキについてですが、たしか初日終了時点でちょっと話した時に、このデッキは「タルモバーン」だと仰ってましたが。

後藤

 そうです。
 親和というよりは本体狙いのデッキで、殴るのは1回だけ、残りは火力で、って試合がほとんどです。

ジョシュ

 ということは、例えば対戦相手も親和と勘違いしてくれて、勝手にライフを減らしてくれたケースが多かった?

後藤

 よく土地をアンタップ・インして2点払ってくれてます。

 一度なんて対戦相手がフェッチランドで1点、ショックインで2点、《四肢切断/Dismember(NPH)》で4点もらってくれて、《爆片破/Shrapnel Blast(MRD)》×2、《感電破/Galvanic Blast(SOM)》っていう(削りきった)ゲームもありましたよ。


(ちなみに戦場は《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel(DST)》《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》《マナの合流点/Mana Confluence(JOU)》)
ジョシュ

 ちなみにこれも火力だよね?(《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact(M15)》を指しながら)

後藤

 それは青い《ボール・ライトニング/Ball Lightning(5ED)》です。


 これを聞いてジョシュ大喜び。

みんな大好き《ボール・ライトニング/Ball Lightning(5ED)》

 後藤によると、さすがに皆このカードはケアしてくるので、「出したそのターン分の仕事しかしない」と割り切って使っているらしい。

 そこで少し気になったことが...

ジョシュ

 このデッキを見ていると典型的な親和カードのほとんどが抜けていて、ただ《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》だけが残っているようだけど、この《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》はこのデッキだと何点くらいのダメージ期待値なの?

後藤

 中村さんが初日のフィーチャーマッチでボソっと言ったように(聞かれてた!)、だいたい《骨断ちの矛槍/Bonesplitter(MMA)》です。
 大きい時で5点くらいなので、2〜5点ということで...

ジョシュ

 最後に土地について、14枚とちょっと少なすぎるように見えるのだけど、このグランプリでどれくらいの頻度でマリガンした?

後藤

 練習時と比べてグランプリではマリガンが重なってて、だいたい今のところ7割くらいでマリガンしてますね。

 調整段階では《思考囲い/Thoughtseize(THS)》の部分が《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》だったのですが、《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》にしても廻ったのとカードパワーを優先して、この構成になりました。

 それにデッキ全体が最高で2マナまでと軽いので、それほど苦にはならないのもこのデッキの長所だと思います。


 ここでジョシュのインタビューは終了、個人的に聞きたかったデッキの調整過程についても聞いてみた。

gotou_deck2.jpg
後藤

 デッキ的には特にこれだっていうのはなくて、色々使ってみた結果やっぱり親和がメインでは強くて。それだったら「サイドボード後をやろうぜ」って風になったんですよね。


 なるほど、たしかにデッキ自体が親和のサイドボード後と言われるとしっくりくる。

後藤

 それと周囲が「風景の変容」を使っていたというのが大きいですね。

 相手がコンボデッキだからスピード重視で組まないといけないから、その中で火力で焼くという方針が決まり、《電解/Electrolyze(GPT)》に1/1が泣かされることが多いから、そうならないように1/1が並ばないデッキ、というように組んでいったらこうした形になりました。

「アーティファクト破壊カードでなるべく死なない親和デッキ」というコンセプトからスタートして、かなり良いデッキに仕上がったと思います。


 当然上位4種のデッキに対しての対策を取った上で、神戸で猛威を振るっている「風景の変容」にも勝てるように作ってある。勝つべくして勝ったということか。

 残るはあと3ラウンド、2勝1敗以上でトップ8。ぜひ決勝で見てみたい。

後藤 祐征 / 「タルモバーン親和」
グランプリ・神戸2014
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《ダークスティールの城塞》
4 《空僻地》
2 《マナの合流点》

-土地(14)-

4 《メムナイト》
4 《羽ばたき飛行機械》
4 《タルモゴイフ》
4 《大霊堂のスカージ》

-クリーチャー(16)-
4 《オパールのモックス》
4 《彩色の星》
4 《感電破》
4 《バネ葉の太鼓》
2 《思考囲い》
4 《頭蓋囲い》
4 《アーティファクトの魂込め》
4 《爆片破》

-呪文(30)-
2 《摩耗+損耗》
2 《流刑への道》
2 《陽光の呪文爆弾》
1 《思考囲い》
2 《古えの遺恨》
2 《呪文滑り》
2 《鞭打ち炎》
2 《エイヴンの思考検閲者》

-サイドボード(15)-

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