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【観戦記事】 第10回戦:安田 真幸(大阪) vs. 長島 誠(東京)

【観戦記事】 第10回戦:安田 真幸(大阪) vs. 長島 誠(東京)

By 矢吹 哲也

 グランプリ・京都、2日目の天候は雨。

 静かに降る春の雨のせいか、グランプリ本戦に残るプレイヤーの数が減ったせいか、それともここフィーチャー・マッチ・エリアに張り詰める緊張感のせいか、2日目初戦となる第10回戦の空気は清澄だ。

 まだ2日目は始まったばかりだが、「トップ8入賞」を目指す上位陣にとっては負けられない戦いが続く。今回取り挙げる試合に臨む両者は現在1敗同士であり、近年のグランプリではこのラインでも事実上の「バブル・マッチ」になり得るのだ。

 安田 真幸はプロツアーやスーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップ(SSSC)本戦にも出場経験のあるプレイヤー。しかしレガシーで行われている今大会においては、彼の実績の中でも、2011年の日本レガシー選手権に優勝していることがとりわけ目を引くだろう。「奇跡」デッキを持ち込み今大会に挑む彼は、再びレガシーの雄としてその名を掲げる瞬間を心待ちにしている。

 一方の長島 誠も日本選手権2007での4位入賞をはじめ、長いキャリアの中でマジックに習熟した古豪だ。白を加えた「全知」デッキを手に今大会初日を1敗で抜けた彼は、その戦績にグランプリ・トップ8入賞、延いてはグランプリ優勝の一文を加えることができるだろうか。


長島 誠 vs. 安田 真幸

それぞれのデッキ

 試合後にデッキの選択理由を尋ねると、両者は揃って「動きの安定性」を挙げた。他のフォーマットでは禁止や制限を受けるほどの強力なドロー呪文が存分に使えるレガシーでは、青を含むデッキの安定感は他では見られない特徴的な要素だ。安田はデッキの選択を直前まで迷っていたというが、今回は「デルバー」系のデッキが多いと睨み、それに対応できる形に仕上げてきた。

 また、両者は最近のセット『運命再編』で追加された《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》の強さにも同意する。3マナという重さは気になるところだが、その制圧力は《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を上回り、実際にこの試合においても活躍を見せたのだ。

両者のデッキ・タイプは異なるが、この試合の鍵となるカードは共通している。

ゲーム展開

 先攻は長島。《Tundra(LEA)》から《定業/Preordain(M11)》、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》と流れるような1ターン目。公開された安田の手札は土地と《Force of Will(ALL)》、《瞬唱の魔道士》、《渦まく知識/Brainstorm(CMD)》というもの。互いに《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》を撃ち合い手札を整える両者は、土地を並べながらじっくりと腰を据え、動き出す機会を伺う。

 長島が再度放った《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》が、鍵となる《実物提示教育/Show and Tell(USG)》を彼にもたらした。手札にはすでに《全知/Omniscience(M13)》があり、勝負の決め手は揃った形だ。

 あとは、いつ動くか。

 長島のターンの終わりに《瞬唱の魔道士》で《渦まく知識/Brainstorm(CMD)》を「フラッシュバック」する安田。迎えたターンは土地を置いてエンド。長島はアンタップとドローを行うと《実物提示教育/Show and Tell(USG)》を放つ。

 安田はこれに《Force of Will(ALL)》で応えたが、長島も《Force of Will(ALL)》。《実物提示教育/Show and Tell(USG)》は解決され、長島の戦場に《全知/Omniscience(M13)》が置かれる。間をおかず《直観/Intuition(TMP)》が長島の手札から繰り出されると、公開された3枚の《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》が安田の投了を促した。


じっくりと手札を整え、一気に勝負を決める、静と動の長島。

「先手で」と、安田の宣言で始まる2ゲーム目。長島はマリガンを選択し、6枚の手札でスタートする。安田の初手《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》が通り、一方の長島の初動《思案/Ponder(LRW)》には《紅蓮破/Pyroblast(ICE)》が差し向けられた。

 これに長島は《狼狽の嵐/Flusterstorm(CMD)》を当ててなんとか《思案/Ponder(LRW)》を通す。安田の《不毛の大地/Wasteland》がマリガン後の長島のマナ源を奪うが、長島は土地をしっかりと引き込み、《時を越えた探索/Dig Through Time(KTK)》を放つ。1ゲーム目と同様に《Force of Will(ALL)》の撃ち合いが再び起こり、これに勝った長島は有効な手札を2枚増やした。そこへ安田は2枚目の《不毛の大地/Wasteland(TMP)》。続く《思案/Ponder(LRW)》も《紅蓮破/Pyroblast(ICE)》で打ち消す安田だが、それでも長島は土地を置き2枚目の《思案/Ponder(LRW)》。

破壊と復帰。主導権の奪い合い。

 激しいアドバンテージの取り合いの末に、ゲームは《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》を巡るものになった。先に《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》を繰り出したのは安田。そのターンに《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》も繰り出し、トークンを生み出す。返しの長島のターンに《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》が唱えられ、戦場で向かい合うと、思わず笑いがこみ上げる両者。さらに安田の《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》で長島の手札が公開され、そこには《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》がもう2枚。

 2枚目の《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》を出し、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》でこちらも盤面を作る長島。だがしかし、序盤の土地破壊とドロー呪文、そして《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》により機先を制していた安田の攻勢が止まらない。《僧院の導師/Monastery Mentor(FRF)》とその弟子たち、それから《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》で攻撃を続けた安田が、最後まで押し込む形になったのだった。


安田は序盤に得たアドバンテージを最後まで渡さない。

 第3ゲームは長島の《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》からスタート。安田の初手は土地と《相殺/Counterbalance(CSP)》2枚、《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist(ALA)》。長島は《思案/Ponder(LRW)》を立て続けに3枚唱え、手札を充実させていく。

 安田の戦場に《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist(ALA)》が降り立ち、動きを狭められた長島。安田の《相殺/Counterbalance(CSP)》は《紅蓮破/Pyroblast(ICE)》で打ち消すものの、長島の《実物提示教育/Show and Tell(USG)》もまた安田の《Force of Will(ALL)》を受ける。

 それでも長島は続くターンに2枚目の《実物提示教育/Show and Tell(USG)》。これが通り、《全知/Omniscience(M13)》を戦場に出すことに成功。《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist(ALA)》によりドロー呪文の連打で決め手を探すことはできないが――すでに準備を整えてあれば問題ない。次のターンを迎えた長島は、手札から最強のエルドラージ、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》を唱えた。しばし動きを止め、ライフと盤面を見直す安田。大きく息を吐くと、笑顔で右手を差し出したのだった。

長島 2-1 安田

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