By Sugiki, Takafumi

　日本初のレガシーフォーマットで行われた、グランプリ・京都2015もついにトップ８シングルエリミネーションを残すのみとなった。ここでは《全知》同型対決となった、八十岡と原根の一戦をお送りする。

　独創的なデッキ構築と素早いプレイングで世界中にファンを持つ八十岡、先週のプロツアー『タルキール龍紀伝』で念願の個人戦プロツアートップ８という戦績を残し、殿堂入りに大きく近づいた。その勢いをそのままにこのグランプリ・京都でもトップ８の座を射止めた。

　対する原根は、様々なトレーディングカードゲームの強豪プレイヤーとして知られ、本人曰く「憧れ」であったマジックの競技プレイを始めたのが半年とちょっと前。グランプリ・静岡2015では最終第15回戦で惜しくもバブルマッチ負けし、トップ８に残れなかったが、見事このグランプリ・京都でトップ８入りを果たしたライジングスターである。

　このトップ８からはお互いのデッキリストが公開されて対戦が行われる。互いに相手にデッキを渡し、確認を行ってからスイスラウンドの上位である原根が後手を選択し、ゲームが始まった。

ゲーム１

　先手の八十岡、後手の原根とも《思案》で手札を整える立ち上がり。原根は２ターン目、《ギタクシア派の調査》をライフ２点で唱え、相手の手札と自分の手札の充実度合いを見比べる。

　公開された八十岡の手札は、《呪文貫き》、《時を越えた探索》、《時を越えた探索》、《Force of Will》、《全知》、《汚染された三角州》。軽いドロー呪文がないため、八十岡側から《時を越えた探索》が飛んでくるのはまだまだ先のようだ。

　原根は３ターン目に《渦まく知識》をプレイしライブラリーに２枚を戻した後、《沸騰する小湖》で《Underground Sea》をフェッチし、手札の充実度を高めていく。対する八十岡は、淡々と土地を並べていくだけだ。

　八十岡のターン終了時、原根は《時を越えた探索》をプレイし、手札の差を確実なものにしようとする。対する八十岡はここで《Force of Will》をむやみに使うと、原根が次のターンにコンボを決めにくる可能性があるため、やむなく許可する。さらに原根は《思案》で３枚のうちベストのカードを手札に加えた上で、《汚染された三角州》で《Underground Sea》をフェッチしてから《定業》。原根の手札は全て有効牌で埋まることとなった。

　八十岡は《裏切り者の都》をプレイするのみでターンを返す。対する原根はメインに《時を越えた探索》、対する八十岡も３枚並んだフェッチランドを全て生け贄に捧げ、墓地を充実させ《時を越えた探索》で対抗する。

　この《時を越えた探索》を巡ってのカウンター合戦は、２人が１枚ずつ《Force of Will》を消費した後、原根の《狼狽の嵐》がストームとあわせて八十岡の《時を越えた探索》を打ち消し、原根の《時を越えた探索》のみが解決された。

　ターンの回ってきた八十岡は、ここで仕掛けられれば良かったのだが、何もせずにターンを終了。

　原根は《ギタクシア派の調査》で八十岡の手札を再度確認する。公開されたのは、《Force of Will》、《時を越えた探索》、《時を越えた探索》、《全知》、《汚染された三角州》。少考の後、原根は《実物提示教育》をプレイ。これが解決され、双方ともに戦場に出したのは当然、《全知》。

　二人ともが全知全能のプレイヤーに。

• まずは原根が《時を越えた探索》で仕掛ける。
• 八十岡が《Force of Will》。
• 原根が《Force of Will》。
• それらがスタックに積まれた上から八十岡が《時を越えた探索》。
• さらに対応して原根が《狡猾な願い》。
• その上に八十岡が２枚目の《時を越えた探索》。
• またも原根が対応して２枚目の《狡猾な願い》。

　２枚目の《狡猾な願い》が解決され、《火想者の予見》が原根の手札に加えられる。そして、八十岡の２枚目の《時を越えた探索》の上からそれをプレイし、《渦まく知識》、《衝動》、《狡猾な願い》を手札に加える。

　《衝動》、《渦まく知識》とプレイして手札を整えたうえで、《狡猾な願い》で《狼狽の嵐》を手札に加え、スタックに置かれている八十岡の《時を越えた探索》２つに「ストーム」で発生したコピーを均等に割り振る。

　これで、解決されるのが原根の《時を越えた探索》だけとなり、八十岡はその解決を待たずして投了した。

八十岡 0-1 原根

　八十岡は《実物提示教育》を全てサイドアウトし、《若き紅蓮術士》と《裂け目の突破》をフィニッシャーに据えた変形サイドボードを見せる。

ゲーム２

原根 健太

　再び八十岡の先攻、原根の１ターン目の《定業》を八十岡が即座に《呪文貫き》する立ち上がり。２ターン目は互いに《ギタクシア派の調査》で手札を確認し合う。

原根：《全知》《全知》《実物提示教育》《思案》《沸騰する小湖》《島》

八十岡：《全知》《狡猾な願い》《渦まく知識》《ギタクシア派の調査》《ギタクシア派の調査》

　八十岡は３ターン目、《ギタクシア派の調査》、《渦まく知識》、フェッチランドを挟んでの《Volcanic Island》から《定業》（占術は２枚とも下）、《定業》（占術は２枚とも下）と手札の充実を図る。

　数ターンの静寂の後、八十岡が《時を越えた探索》で《若き紅蓮術士》を手札に加え、仕掛けにかかる。《若き紅蓮術士》をプレイし、対する原根はマナを支払っての《Force of Will》。対して八十岡も《Force of Will》で抵抗するが、その上から原根が２枚目の《Force of Will》で抑え、八十岡の仕掛けは成功しなかった。

　再度仕掛けたのも八十岡。《時を越えた探索》を通し、《外科的摘出》と《思案》を手札に加えて２枚目の《若き紅蓮術士》をプレイ。それに対し、原根は《Force of Will》をプレイ。

　それに対応して、八十岡は原根の墓地の《Force of Will》を対象に《外科的摘出》をプレイする。さらに原根は対象とされた《Force of Will》を追放して《時を越えた探索》、八十岡もその上から《時を越えた探索》をプレイし、これが通る。《呪文貫き》と《Force of Will》を手札に加え、《呪文貫き》で原根の《時を越えた探索》を打ち消す。

　《若き紅蓮術士》は通らなかったものの、八十岡が《時を越えた探索》でアドバンテージを稼いだ分、ポイントを挙げた格好だ。

　対しての原根もここで大きく仕掛ける。《衝動》、《時を越えた探索》をプレイしてから、《実物提示教育》をプレイ。お互いに戦場に出すのは、またも《全知》だ。そして原根が《全知》で《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えた。

　これで原根が追加ターンを得て、ライフが15を切っている八十岡を攻撃して終わりを迎えるかと思ったが、そうは簡単にはいかなかった。

　八十岡は《紅蓮破》を原根の《全知》に対して唱える。そして、原根の追加ターンの《引き裂かれし永劫、エムラクール》での攻撃によって起こる「滅殺６」で６枚ある土地を生け贄に捧げた後に、《狡猾な願い》経由の《裂け目の突破》をプレイし、手札から《引き裂かれし永劫、エムラクール》を戦場に。

　《引き裂かれし永劫、エムラクール》同士が相討ちとなり、八十岡の戦場には《全知》のみ、対する原根の戦場には土地がたくさんと、なんとも奇妙な戦場が出来上がる。

　ここで八十岡の手札は《Force of Will》が３枚。この３枚が切れる前に《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《若き紅蓮術士》といったフィニッシャーを引ければ、八十岡が１本を取り返すこととなる。

　しかし原根の手札から10マナを支払っての《全知》、《狡猾な願い》といった有効牌が次々とプレイされ、八十岡は２枚目の《全知》を戦場に出してはいたものの、《Force of Will》を全て使い切ってしまう。

　そして、原根は《定業》から、《狡猾な願い》で《拭い捨て》を手札に加え、《紅蓮破》と合わせて懸案だった八十岡の《全知》を２枚とも処理することに成功する。

　さらに、次のターン原根のトップは《全知》。これで一気に形成が原根に傾くかと思われたが、八十岡も《紅蓮破》をトップデッキしておりそれを許さない。

　次に有効牌をトップデッキしたのは八十岡。《時を越えた探索》で《思案》と《時を越えた探索》を手札に加え、《思案》をプレイ。見えた３枚が《若き紅蓮術士》、《狼狽の嵐》、《汚染された三角州》で、シャッフルせずにドロー。

　ターンが帰ってきた原根は《実物提示教育》をプレイ、またも両者が《全知》を戦場へ。原根は《全知》で《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱える！

　八十岡は《時を越えた探索》で解決策を探しに行くもそこには何も無く、原根が追加ターンに攻撃を宣言したところで、八十岡が投了。この長いマッチは原根に軍配が上がった。

八十岡 0-2 原根