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グランプリ・京都2016

観戦記事

第10回戦:チーム 萩原/増野/有田 vs. チーム 本多/背/河内

by 宮川 貴浩

 第10回戦では、期待の実力派プレイヤーたちを紹介したい。両チームの各プレイヤーが、大変快く話を聞かせてくれた。

 萩原/増野/有田チームの萩原は、プロツアーに2回の出場経験がある。真ん中の卓に座る増野も、グランプリでベスト8に入っている実力者だ。そして、有田はワールド・マジック・カップ2016の日本代表に決定している。

 本多/背/河内は、石川県の「ファミコンランド小松店」で日々切磋琢磨しているとのこと。本多はゲームデーで驚異の6連続優勝を達成し、背はグランプリトップ8の経験者。河内は、The Limits07で準優勝を果たしている。

 両チームともに印象的だったのは、メンバーのにこやかな笑顔とそのチームワークのよさ。どちらもチームシールドには欠かせない要素だ。どちらのチームの総合力が上か、すべての卓から目が離せない。

r10_team_arita_vs_team_honda.jpg
両チームの雰囲気のよさがうかがえる1枚。これまでも幾度となくメンバー同士が互いの窮地を救ってきたのだろう。
A卓 ゲーム1

 青赤と赤緑という対照的なデッキ同士の対戦となったA卓。

 本多はいきなり《氷の中の存在》というインパクトあるスタート。青赤デッキのキーとなる《気紛れな霊》も早々に登場し、戦力に心配はなさそうだ。

 対する萩原も《吠え群れの狼》、《銀毛の援護者》とアーキタイプの核となる狼クリーチャーを順調に並べる。

 本多の《逸脱した研究者》を《流電砲撃》で即座に除去すると、萩原が《ウルリッチの同族》からつなげたのは、《爪の群れのウルリッチ》。

 彼に率いられた狼たちが突撃すると、本多の《氷の中の存在》が《目覚めた恐怖》に変身する前に、勝負が決した。

萩原 1-0 本多

 チームで最初にゲームを取った萩原は、「相手青赤だからあとで余裕あったら教えて」と青赤デッキを使うチームメイトの有田に声をかけた。チーム 萩原/増野/有田は特にチームワークのよさが目立っていた。

B卓 ゲーム1

「現出をよくばったデッキです」と語ってくれた背が使用するのは、珍しい4色デッキ。《不憫なグリフ》が2枚に《膨らんだ意識曲げ》、さらには《爪の群れのウルリッチ》まで投入されている。

 一方の増野のデッキは、《夜深の死体あさり》や《鉄覆いの処刑者》などの墓地回収を駆使して粘り強く戦える構成になっている。

 長期戦になるのは間違いない。背と増野、どちらのシナジーが上をいくかに注目したい。

 《邪悪の使者》から《不憫なグリフ》を回収して上々の滑り出しを見せる背。増野はこれに《神聖な協力》で対応するが、自身のエンドに背の《群れの守護獣》がトークンを引き連れて打点を跳ね上げてくると、これには苦しそうな表情。たまらず《ガヴォニーの不浄なるもの》を《執念》でアンタップさせながらブロックに回し、ライフを確保する。

 増野が《憑依された死体》で場をもたせると、その後は除去の応酬が続き、戦場には互いにトークンだけが残る状況となった。

 ここで増野が《夜深の死体あさり》で《鉄覆いの処刑者》を回収し、さらに《鉄覆いの処刑者》で《エムラクールの加護》を回収と、これぞアドバンテージという動きを見せれば、背も負けじとやはり《夜深の死体あさり》から《邪悪の使者》を手札に戻す。

 ここで、背の《邪悪の使者》がめくった4枚の中には......《膨らんだ意識曲げ》と《爪の群れのウルリッチ》が。ハンド1枚の増野に対し、チームメイトとも相談して悩んだ末に背が選択したのは、《膨らんだ意識曲げ》。これには、増野も「なんやそりゃ~」と苦笑い。

r10_team_honda.jpg

 チームワークでは本多/背/河内チームも負けていない。

 各々きびきびとプレイしながら、要所要所ではきっちりと意思の疎通を図っていた。

 さらには《甚だしい大口》まで登場すると、さしもの増野もついに粘り切れなくなった。

増野 0-1 背

C卓 ゲーム1

 赤白デッキの河内は、安定の《スレイベンの検査官》でスタート。青赤デッキの有田は、《苛虐な魔道士》がファーストアクションとなった。

 有田は《引きずり込み》で時間を稼ぎつつ《苛虐な魔道士》の打点を上げ、青赤らしい試合運びを見せる。対する河内も、《猛々しい狼》、《悪鬼を縛る者》とデッキの方向性通りクリーチャーを横に並べていった。

 その後も河内が《鼓舞する隊長》、《巡礼者の守護霊》と展開すれば有田も《狂気の預言者》、《招かれざる霊》、《熱錬金術師》と互いに一歩も譲らない。

 しかし、クリーチャー同士の殴り合いであれば、分があるのは赤白デッキの河内。戦闘を繰り返すうちに徐々にクリーチャーの数に差がついていき、地上をブロックできない有田の《ぼろぼろの憑依者》の前に河内が《不動の聖戦士》、《首折れ路の乗り手》まで追加すると、目論見通りに先に相手のライフを削り切ったのは河内だった。

有田 0-1 河内

A卓 ゲーム2

 《熱錬金術師》、《巧妙なスカーブ》、《気紛れな霊》と抜群のスタートダッシュを決める本多に対し、萩原は《爪の群れのウルリッチ》こそあるものの、残りは土地と呪文で重めの手札。

 萩原は《敏捷な巣紡ぎ》などを戦場に送り出して態勢を整えようとするが、本多は《厄介な船沈め》を現出させると、《金縛り》でブロッカーを排除し、速やかにゲームを取り戻した。

萩原 1-1 本多

C卓 ゲーム2

 有田は再び《苛虐な魔道士》のスタートから、《悟った狂人》というアクション。後手番となった河内は、《猛々しい狼》など3体の狼クリーチャーをテンポよく並べる。

 ここで、有田は勝負に出た。「行っていいよね?」と隣の増野に確認したのち、《粗暴な協力》を増呪して、一気に河内のブロッカーの数を減らす。

 こうなると、俄然有田のペースだ。有田は《気紛れな霊》、《招かれざる霊》を戦場に送り込むと、《目録》、《錬金術師の挨拶》と立て続けに唱えて《苛虐な魔道士》と《気紛れな霊》のパワーを上げ、一挙15点を叩き込んだ。

有田 1-1 河内

B卓 ゲーム2

 背のファーストアクションは、マナ基盤の安定にもつながり、現出の種に最適な《原初のドルイド》。増野は《単体騎手》、《無私の霊魂》と展開するが、背の除去からの《悪意の器》が苦しい。

 手札破壊で失ったアドバンテージを増野が墓地回収で取り返し、背が後続を送り出して、盤面はさあこれからという状況になったが、ここで先にA卓、C卓の決着がつき、チームの勝敗が決した。

 B卓の試合が最後まで見られなかったのは残念だが、A、C両卓の3ゲーム目は見ごたえのあるものとなったので、ぜひ以下でその結末を見届けてほしい。

A卓 ゲーム3

 3ゲーム目は互いにマリガンでのスタートとなったが、本多が《熱錬金術師》、《霧歩き》、萩原が《ケッシグの鍛冶場主》、《ウルヴェンワルドに囚われしもの》と、どちらも展開には問題がない。

 《氷の中の存在》、《ぼろぼろの憑依者》と戦力を追加する本多に対して、萩原は本多の《灰と化す》でコントロールするクリーチャーが《ウルヴェンワルドの忌まわしきもの》だけとなってしまった。

 ここで萩原のもとに駆けつけたのは、《鏡翼のドラゴン》。クリーチャーの質では萩原が圧倒的になったが、この時点で萩原のライフは3。すでに十分本多の射程圏内である。

 このときの状況を、試合後本多に聞くことができた。

 本環境の練習があまりできていなかったという萩原は、ライフにまだ余裕があったものの、コンバットトリックなどで即死することを警戒し、《ウルヴェンワルドの忌まわしきもの》を《熱錬金術師》でブロックしたのだという。

 相手のクリーチャーに火力を撃ち込みつつ、《熱錬金術師》で2点を飛ばして萩原のライフは残り1。そして返しのターンで、《霧歩き》が残りの1点をぴったりと削り切った。

見た目以上のダメージを叩き出すこのカード。複数並んだ日には、シャレにならない。

 冷静な試合運びで、本多がチームに白星をもたらした。

萩原 1-2 本多

C卓 ゲーム3

 後手の有田は、《》が2枚の初期手札に悩み、チームメイトと相談してマリガンをすべきか慎重に検討する。このうち1枚が《》なら、ディスカードしつつマッドネスで《錬金術師の挨拶》が撃てるのだが......。

 結局有田はこの手札をキープ。気になる河内の動きは、《信条の香炉》、《首折れ路の乗り手》とそこまで速いわけではない。

 しかし、次のターンで土地を引けなかったのが痛かった。河内の《首折れ路の乗り手》が《首折り》に変身してしまい、《信条の香炉》を装備しつつ6/4警戒トランプルで殴ってくる。

 有田は次のターンで待望の《》を引けたものの、《錬金術師の挨拶》が《恩寵借用》でかわされてしまうと、そのまま《首折り》に殴り切られてしまった。

r10_team_arita.jpg

 抜群のチームワークを見せる萩原/増野/有田チーム。

 1ターン土地が来るのが遅く敗北してしまったが、チームメイト全員で相談した末の判断には後悔していないようだった。

有田 1-2 河内

チーム 本多/背/河内 Win!
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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