EVENT COVERAGE

グランプリ・京都2016

観戦記事

決勝:チーム 行弘/北原/山本 vs. チーム 松本/市川/瀧村

By Masashi Koyama

 トーナメントマジックの試合は、孤独だ。

 ひとたび試合が始まれば、そこには頼る仲間も、アドバイスをくれる友人も、叱咤激励してくれる味方もいない。その中でプレイヤーたちは重圧と戦い、時に勝利の歓喜を、時に敗北の無念を味わいながら、長く険しいトーナメントを戦い抜いていく。

 だが、このチームリミテッドで行われているグランプリ・京都2016は違う。

 隣に座っているのは他のプレイヤーでなく、チームメイト。受けるプレッシャー、勝利の美酒、敗北の苦渋。その全てを分かちあい、感情を共有できる仲間たちだ。

 だからグランプリを通じて779チームに779通りの絆が生まれ、779通りのストーリーがあり、この決勝までに777通りの終わりがあった。

 そして、今ここに残る2チーム、勝ち上がってきたのは事前に優勝候補と目された6人だ。

「タイトル1つ持っとこ?」

 チーム「Kenkenbaaaa」=行弘賢/北原寛章/山本賢太郎の中心である行弘は仲間にこう声をかけた。


写真左から北原/行弘/山本

 彼にとって北原と山本はこれまで3度のグランプリをともにしてきた盟友であり、最高のチームメイトだ。そして、彼らの中でグランプリ王者に輝いた経験があるのは行弘だけだ。

 だからこそ仲間に「タイトルを獲ってほしい」という願いと「タイトルを獲らせたい」という想いは誰よりも強かったはずで、北原と山本は行弘のその気持ちを痛いほど理解していることだろう。だから、彼らにとって決勝の舞台は仲間に捧げる最高の舞台。

 チーム「The Sun」=松本友樹/市川ユウキ/瀧村和幸。その名の通り、3人それぞれが眩いばかりの実績を持つ優勝候補の筆頭が決勝の舞台まで勝ち上がってきた。


写真左から松本/市川/瀧村

「太陽に集った故」

 彼らはチーム結成の由来を聞かれそう答えた。それは全員がこれ以上なく信頼に値するできる仲間だということ。彼らにとって、3人はお互いがお互いを照らす道標。これから始まるのは自らのチームメイトが最強だということを証明する戦い。

fn_team_yamamoto_vs_team_ichikawa.jpg

「ともに勝とう!」

 今、交錯するのは6人の思い――

(本対戦の6人のデッキリストは、こちらからご覧いただけます。

A卓 行弘-松本 ゲーム1

 行弘が《ケッシグをうろつくもの》からこれを《しなやかな捕食者》へと変身させ、松本が《捨て身の歩哨》で守る序盤。

 松本は《しなやかな捕食者》を止めることができず、クリーチャーたちが次々と餌食になっていく厳しい展開。

 ブロッカーとして《孤独な狩人》を召喚するが。これが《捕食》され行弘の攻撃が止まらない。

 そのまま行弘が押し切り、まずは1ゲーム目を手中に収める。

行弘 1-0 松本


行弘 賢

B卓 北原-市川 ゲーム1

 北原が《黴墓のゴミあさり》で守りを固め《嘆き細工》という立ち上がり。

 これは《流電砲撃》で除去されるが、北原は市川のクリーチャーをつぶさに除去で処理し、《自然もどき》で攻撃を重ねていく。

 市川はスピリット・トークンと《夜明けのグリフ》《信仰持ちの聖騎士》で北原のライフを7まで落とし込む。

 だが、除去の豊富な北原は《悪意の調合》で市川の《信仰持ちの聖騎士》を葬ると、「昂揚」を達成した《黴墓のゴミあさり》と《自然もどき》で一挙9点!


北原 寛章

 これでライフが6まで減少した市川。ライフを詰めざるを得ない状況でスピリット・トークンで攻撃しブロッカーを立てるが、これが《殺害》され、北原がまずはゲームを先取。

北原 1-0 市川

C卓 山本-瀧村 ゲーム1

 瀧村の《腐臭ネズミ》《ガヴォニーの不浄なるもの》に対し、山本は《不屈の聖戦士》に《聖戦士の盾》を装備し対抗する立ち上がり。

 《不屈の聖戦士》が《ガヴォニーの不浄なるもの》をブロックしたところで、山本は《敵意借用》でこれを葬る。

 瀧村は《不動の聖戦士》を《生命の危機》で除去するが、山本は《聖戦士の相棒》とスピリット・トークンで攻撃を継続する。


山本 賢太郎

 その後も山本は適宜瀧村のブロッカーを排除していくが、クリーチャーが豊富な瀧村の軍団を全て無力化することができない。

 次第に瀧村は盤面を固めて《スレイベンの異血種》で攻撃を開始し、攻守が入れ替わっていく。

 山本は《支配の天使》で瀧村のブロッカーをタップし、スピリット・トークンに《悪意ある動機》をエンチャントし瀧村の残りのライフを削りに行くが、これが《絞首》されてしまい、逆に返しのアタックで山本のライフは0を割るのだった。

山本 0-1 瀧村

 全テーブル1ゲーム目が終わった段階でまずは「Kenkenbaaaa」が念願のタイトルへ向けて一歩リード。

 だが、ここから「The Sun」が巻き返しを見せる。

A卓 行弘-松本 ゲーム2

 行弘が《ネベルガストの伝令》から《群れの守護獣》で松本のブロッカー《原初のドルイド》を乗り越えていく立ち上がり。

 後がない松本は《ネベルガストの伝令》を《孤独な狩人》と《捕食》で処理し、《爪の群れのウルリッチ》を召喚!

 この獰猛な伝説の狼男が暴れ始め行弘のクリーチャーを次々と喰らい尽くしていく。

 受けに回った行弘は《厄介な船沈め》などブロッカーを立てるが、《揺るぎない頭目、ウルリッチ》の前には全てが無力だった。

行弘 1-1 松本


松本 友樹

B卓 北原-市川 ゲーム2

 《黴墓のゴミあさり》《枝細工の魔女》で地上を固める北原に対し、市川は《夜明けのグリフ》2体を並べ空から止まらない4点クロックで北原のライフを順調に削っていく。

 《夜明けのグリフ》に対し北原は解答となる《敏捷な巣紡ぎ》を召喚しグリフの片割れをブロックするが、市川の手からはこれを一方的に討ち取れるコンバットトリックの《放たれた怒り》が。

 これで市川の航空戦力に対抗する術を失った北原。

 ダメージレースで先行されている中での4点クロックはあまりに大きく、市川が星をタイへ引き戻した。

北原 1-1 市川


市川 ユウキ

 1ゲーム目を落とした松本と市川が揃って星を取り返す。その頃、山本-瀧村戦は――

C卓 山本-瀧村 ゲーム2

 山本が《不屈の聖戦士》、瀧村が《スレイベンのガーゴイル》という立ち上がり。

 瀧村はさらに2体の《白髪交じりの釣り人》で守りを固め、白赤という攻めっ気の強い山本の攻撃に対し備えを整える。

 山本は攻撃クリーチャーを瀧村の召喚するブロッカーと相討っていくが、瀧村の固い守りを崩すには至らない。さらに瀧村は《夜深の死体あさり》で守りを固めてアドバンテージを得ていく。


瀧村 和幸

 山本は《不気味なアンコウ》を《騎乗追撃》で退け攻撃を続行するが、瀧村はしっかり《夜深の死体あさり》と《白髪交じりの釣り人》を立て、《沈黙の観察者》で山本のライフをコツコツ削っていく。

 山本は《ヴィルディン群れの除けもの》を召喚しサイズを上げて押し切ろうとするが、《白髪交じりの釣り人》を《不気味なアンコウ》に変身させて攻撃、山本の《支配の天使》と相討ったところで、2体目の《夜深の死体あさり》で《スレイベンのガーゴイル》を回収しながら一気に攻勢に出る。

 山本は瀧村の軍勢を突破することが叶わず、The Sunが王手をかける。

山本 0-2 瀧村

 これでゲームを落とせなくなった「Kenkenbaaaa」。チームを引っ張ってきた行弘はありったけの気合を入れ、負けられない戦いに挑む。

A卓 行弘-松本 ゲーム3

 行弘が《ぼろぼろの憑依者》《ネベルガストの伝令》《招かれざる霊》で回避能力持ちのクリーチャーを並べ、そのまま松本を一気に攻め立てる!

 比較的ゆったりした立ち上がりの松本はこの行弘の猛攻撃を全身で受けることになり、「速すぎるー」とこぼし盤面を片付け、Kenkenbaaaaが1勝をもぎ取った。

行弘 2-1 松本

 この結果、グランプリ・京都2016の全てがB卓、北原-市川戦の最終戦に懸かることとなった。

 6人の――

fn_team_yamamoto.jpg fn_team_ichikawa.jpg

 そして散っていった2,331人の思いがここに結集する。

B卓 北原-市川 ゲーム3

 北原がマリガンし、6枚の手札に土地は1枚。キープか否か。行弘と山本は北原に声をかける。

「行こう」

 最高の仲間の言葉を聞いた北原はキープを決断し占術を行うと、トップは《》!そして《発生の器》を起動し待望の黒マナ源である《》を手に入れ、《嘆きのグール》召喚までこぎつける。

 だが、7枚をキープした市川の初動は《怒り刃の吸血鬼》。そして《吠え群れの狼》《夜明けのグリフ》という《嘆きのグール》を乗り越える戦力を矢継ぎ早に用意し、北原のライフを12まで削り取り、後続として《信仰持ちの聖騎士》を用意する。

 土地が詰まり、2枚目の《》が無く手札のスペルを満足にプレイできない北原はブロッカーとして《嘆き細工》を用意するが、ここで市川は《》1枚を残し、1ゲーム目で出番のなかった爆弾レアを投下する。

 勝勢を感じ勢いづいた市川のフルアタックに、北原は《怒り刃の吸血鬼》に《嘆きのグール》、《吠え群れの狼》に《嘆き細工》とブロックを割り振る。

 市川は残した《》から勝利を決定づける1枚を放つ――

北原 1-2 市川

 北原は「すんまへん」と仲間に声をかけ、その先に待っていたのは......


「The Sun」歓喜の抱擁

 最強を証明し、文字通り松本/市川/瀧村が「太陽」となった瞬間だった。

「Kenkenbaaaa」 1-2 「The Sun」

gpkyo16_champion.jpg
おめでとう、チーム「The Sun」! グランプリ・京都2016チャンピオンは君たちだ!
  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索