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「ジョニー・マジック」と呼ばれた男――ジョン・フィンケル インタビュー 後編

by Masashi Koyama

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 前編に引き続き、ジョン・フィンケルのインタビューをお届けする。

ジョン・フィンケル インタビュー後編――マジックの昔と今

――今日、この会場にカイ・ブッディ/Kai Buddeはいません。あなたがマジックを最もプレイしていた2000年代前半から、プレイヤーは入れ替わり、新たなプレイヤーたちが次々と台頭し、プロシーンも異なったものになっています。現在、ご自身であなたはマジックシーンのどのような立ち位置にいると思われていますか?

フィンケル「若い頃、私は今より優れたプレイヤーであっただろう。今、私は良いプレイヤーではあるが、ベストのプレイヤーでは絶対にない。先ほど言ったように、私より優れたプレイヤーは数多くいる。ただ、まだ私は(そういったプレイヤーと)戦えるラインにはいるだろう。運が良ければ彼らにも勝つことがあるだろう。22歳の頃ほど優れてはいないが、それでもまだ良いプレイヤーだと思う。良い、というのは(プロシーンで)戦うのには十分であるということだ」

――先ほど(インタビュー前編で)「マジックのコツ」はないか?と質問したのは、あなたはマジックの最前線でずっとトップレベルを維持されているからです。なぜあなたはこんなにも長い間勝利を重ねることができるのでしょうか?

フィンケル「良い質問だね。まず、誰も完璧にマジックをプレイすることなんてできない。私だって他のプレイヤーと同じようにミスを重ねてきた。ただ、若い頃はとてもたくさんマジックをしていたから、人よりミスの数が少なかっただけだと思う。現在であれば私より上手いプレイヤーはたくさんいる」

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――2000年代前半のような頃と比べて、現代のマジックは何が変わったのでしょうか?

フィンケル「思うに、最大の違いはマジックの人口が増えたことだ。大きなトーナメントもたくさん開かれている。リミテッドで言えば、明確に昔よりバランスがとれている。構築に関して言えば、明らかに情報の伝播速度が上がった。ウェブサイトで勝っているデッキを発見することは容易い。それに、カードのデザインも変化した。今、多くの構築デッキで使用されているカードの中でベストなものはレアや神話レアであることが多い。昔はコモンやアンコモンにもあったものだけれど。それにクリーチャーの質が格段に上がっている。より強力で、普遍的になった。マジックは日々変化している......例えば{U}{U}だった《対抗呪文》は1マナ増えて{1}{U}{U}の《取り消し》になっているし、クリーチャーであればかつては3マナ3/3だったものが、今は2マナで3/3、場合によっては1マナでパワーが3のクリーチャーが存在することすらある。毎ターン強力なカードをプレイするゲームになったから、一度劣勢になればそこから逆転するのは昔より難しいゲームになったと思う」

――ありがとうございました。日本のグランプリを楽しんでください!

フィンケル「ありがとう」


 インタビューの後、「あなたにインタビューできて光栄です」と謝意を伝えると、フィンケルははにかみながら握手のため手を差し伸べてくれた。

 お辞儀をしてその手を取ると、筆者に目線を合わせるべくフィンケルは190cmを越えようかという長身を折りたたんだ。

 フィンケルが語ったようにマジックや、それを取り囲む環境は日々変化している。マジックが歴史を重ね、いつしか「伝説」と呼ばれるようになってもなお、フィンケルに驕りや慢心はなく、最前線に赴いている。

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 この先、フィンケルがどこまでこの激しい競争の世界に身を投じるのかは分からない。将来また彼が日本に来て、日本のイベントに参加し、私たちの前に姿を現してくれることを切に願う。少なくとも、筆者はきっとその時が来ると信じている。マジックに愛され、そしてマジックを愛しているからこそ、フィンケルは「ジョニー・マジック」と呼ばれているのだから。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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