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グランプリ・名古屋2014

観戦記事

第14回戦:大滝 貴規(東京) vs. Sim, Chapman(シンガポール)

By Masashi Koyama

 長い長いグランプリの戦いも13回戦を終え、ようやく終わりが見えてきた。だが、トップ8の希望が残されているプレイヤーたちが見据えているのは、この大イベントの最終ラウンドではなく、決勝プレイオフというさらなる戦いだ。

 その名誉の椅子を勝ち取るべく、負けられない戦いを続けている中からシム・チャップマン/Sim, Chapman(シンガポール)と大滝 貴規(東京)の戦いをフィーチャーする。

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 シムは先のプロツアー『神々の軍勢』で一世を風靡したデッキ、「ブルームーン」を調整したチームの一員である。昨年彼のチームメイトである行弘賢が優勝したグランプリ・シンガポールのファイナリストであり、グランプリ王者というタイトルに対する思いは並々ならぬものがあるはずだ。はたして、取り逃がしたタイトルをこの名古屋の地で手に入れることができるか。


シム・チャップマン/Sim, Chapman

ゲーム1

 《》《平地》と並べた大滝の《深海の催眠術師》に対し、シムが《ミノタウルスの頭蓋断ち》で攻撃、相打ちしたところからゲームがスタート。大滝の次なる手は、レアの《メレティスのダクソス》。返すシムは《骨の神託者》。これに2つの+1/+1カウンターが載り、大滝に先制パンチを浴びせる。大滝も負けじと《メレティスのダクソス》に《希望の幻霊》を纏わせ、攻撃へ向かう。

 シムは《ネシアンのデモロク》をキャストし、地上のサイズで圧倒する。大滝は引き続き《メレティスのダクソス》でアタックすると、シムのライブラリートップからめくれたのは《墓荒らし蜘蛛》。これでライフを原点まで引き戻し、ダメージレースでは大きくリードする。さらに《前兆語り》と《旅する哲人》を追加し、シムの巨大な怪物たちから自らを守る盾とする。

 だが、シムは《パーフォロスの試練》を《骨の神託者》にキャストすると、先に載っていた2つの+1/+1カウンターと合わせて即座に能力が誘発する。《メレティスのダクソス》が墓地に送られ、その上シムが追加したのは《クルフィックスの狩猟者》。圧倒的な場を構築する。

 ダメ押しとばかりに《ナイレアの弓》まで追加したシムの態勢は万全だ。大滝はそれを見ると、カードを引いて「ネクストゲーム」と投了を宣言した。

Simの強力レアが大滝を攻め立てる!

 強力レアが乱舞するデッキでシムが第1ゲームを制す。大滝は「強すぎる...」と苦笑いし意気消沈気味だが、ここは負けが許されない2敗ライン。2ゲーム連取するしかトップ8への道はない。

ゲーム2


大滝 貴規

 先手の大滝がダブルマリガン。シムはそれを見て「ゴメンナサイ」と一言。まだゲームが決まったわけではないのだが、この言葉に自信の程が見て取れる。そして、シムは大滝を圧倒する。ファーストアクションはシムの《クラグマの解体者》でまず2点。さらに先ほどのゲームでも現れた《クルフィックスの狩猟者》を召喚。ダブルマリガンの大滝に対し、アドバンテージでもライフでも先行していく。

 大滝の戦場には《》が1枚しかないのだが、手札には《無効化》と《解消》と色が噛み合わないままシムの猛攻にさらされる。

 大滝は《ニクス生まれの盾の仲間》に《希望の幻霊》をエンチャントし、チャンプブロックで延命を図るのだが、シムは《ネシアンのデモロク》、《サテュロスの散策者》と手の緩む気配が全く無い。

 結局、対抗策も2枚目の《》も引けない大滝は「ありません」と対戦相手の勝利を称えることしかできなかった。

大滝 0-2 シム

 シムのデッキがあまりにも強力だったので、試合後にデッキについて聞いてみたが「まあまあ」と意外な答えが返ってきた。彼によれば軽い部分のクリーチャーが不足しており5マナ圏が多いため、満点をつけられるほどではないようだ。普通ならば、強力なレアが何枚も入っている時点で浮かれてしまいそうなものだが、舞い上がらず現実を見据えていられるのは、クオ・ツーチン/Kuo, Tzu Chingやリー・シー・ティエン/Lee, Shi Tianといった強豪プレイヤーたちと日々切磋琢磨している証であろう。

 そんな練習の日々を糧に、果たしてシムはこのまま念願のグランプリタイトルの座まで駆け抜けることができるのだろうか。

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