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【観戦記事】 決勝戦: Rahman A. Aryabhima(インドネシア) vs. 小北 雄史(大阪)

【観戦記事】 決勝戦: Rahman A. Aryabhima(インドネシア) vs. 小北 雄史(大阪)

by Atsushi Ito

 ここまで本当に、長くて遠い道のりだった。

 参加者1689人。かつてないほどに難解なスタンダード環境。

 多くのプレイヤーが志半ばにして倒れていった。

 メタゲームの迷宮に迷い込んでしまった者、ラクドスミッドレンジの評価を(過大にせよ過小にせよ)誤った者。

 幾度となく繰り返された選択と決断の果てに、最後の最後で足を踏み外してしまった者。

 このトップ8に入ってからもそうだ。

 環境の複雑さとゲームの複雑さ。二重の複雑さに絡め取られて、一人、また一人と、頂を拝む前に去っていった。

 だが、誰もが待ち望んだ「その時」が近づくにつれて、複雑さはいつしか消えて。

 シンプルな回答だけが残る。

 すなわち、小北の人間リアニコンボと、アリャビマのラクドスビート。

 どちらがより早いのか。

 今やそれに尽きる。

 結局は、速度を見誤った者から脱落していったというだけのことなのだろう。

 《スラーグ牙/Thragtusk》も《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》も置き去りにして、小北とアリャビマは。

 この2人は、最速の高みへと昇ろうとしているのだ。


グランプリ・名古屋2012決勝戦
Rahman A. Aryabhima vs. 小北 雄史

 Time is now.

 グランプリ・名古屋の、決勝戦だ。

ゲーム1

 スイスラウンド2位のアリャビマが先手。コンボデッキ相手にこのアドバンテージは大きい。そのアドバンテージを生かすかのように、アリャビマのアクションは《戦墓のグール》からの《ラクドスの哄笑者》。一方、対する小北は2ターン目《慢性的な水害》で最速パターンを目指す腹づもりのようだ。

 他方で、開始2ターンこそ順調なスタートを切ったアリャビマだったが、4点のアタック後にプレイされたのは、直接クロックにならない《血の芸術家》。しかも、3枚目の土地がない。

 この隙に乗じるかのように小北、《慢性的な水害》で3枚を削りつつ、《根囲い》からの《信仰無き物あさり》と、一挙に墓地を肥やす。

 返すターンにもアリャビマはまだ3枚目が引けない。小北のライフを10まで削るが、ここで小北も《高原の狩りの達人》で防御を固める。

f_aryabhima.jpg

 ここで引けないと......というところでようやく、2/2同士が全て相打ちになって《血の芸術家》で4点ドレインの後、3枚目の土地を力強く置いたアリャビマ。《ゲラルフの伝書使》が戦場に送り出されると、既にライフ6となった小北に残された猶予は少ない。

 まずは《慢性的な水害》付きの土地からマナを出す。

 この3枚で《堀葬の儀式》が落ちれば......《士気溢れる徴集兵》、違う。《栄光の目覚めの天使》、違う......

 めくれた!

 にわかに活気づいた小北。即フラッシュバックし、《栄光の目覚めの天使》によって人間たちの競演が始まる。

 戻ってきたのは、《高原の狩りの達人》が2体と、《黄金夜の指揮官》《士気溢れる徴集兵》《イゼットの静電術師》《ベラドンナの行商人》。慎重に「戦場に出たとき」能力をスタックを積み、《血の芸術家》のコントロールを奪ってから他の全てを解決して・・・

「《黄金夜の指揮官》が合計7回誘発します」

 そして速攻を持っている《イゼットの静電術師》《士気溢れる徴集兵》《血の芸術家》によるアタック。

 7+10+7は・・・

「え?ちょうど?」「はい、ちょうどです」

 アリャビマもびっくりの一撃24点!

 それはわずか5ターン目の出来事であった。

小北 1-0 Aryabhima

ゲーム2

 再び先手となったアリャビマが《墓所這い》《悪名の騎士》のロケットスタート。小北も2ターン目に《信仰無き物あさり》で《栄光の目覚めの天使》を墓地に送り込んでコンボの準備を整えるが、後手番で《慢性的な水害》無しではさすがにコンボ成立は厳しそうだ。しかも返すターン、さらにアリャビマは《戦墓のグール》を追加する。

 仕方なく小北は《イゼットの魔除け》を構えたままターンを終える。

 の、だが。

 この局面でアリャビマの手札からは、おそらく小北が一番見たくなかったであろう《ファルケンラスの貴種》が。

 何を引いても逆転できないと悟った小北、後手4ターン目を待たずして投了。

小北 1-1 Aryabhima

 あまりに早い。早すぎる。

 いつの間にか我々はモダンをやっていたのかと勘違いしそうになるほどのスピーディな2ゲームだった。

 決勝戦にふさわしいこの高まり。2人の速度はどこまで行くのだろうか。

ゲーム3

 しかしここで両者ダブルマリガン。さすがに手札が5枚では4キルや5キルは期待できないか。

 いや、ビートダウンを侮るなかれ。後手のアリャビマは2ゲーム目同様《墓所這い》から《悪名の騎士》とつないでいく。

 一方、《根囲い》で1枚も土地がめくれなかった小北。サイドカードの《大聖堂の聖別者》をプレイし、少しでもコンボ成立のための時間を稼ぎにいく。

 さらに《悪名の騎士》の単体アタックには《イゼットの魔除け》をお見舞いするが、この時点で小北のリソースは場の土地わずか3枚と、手札の《ベラドンナの行商人》のみ。

 戦闘後にアリャビマが3枚目の土地をタップインで置きつつ2体目の《墓所這い》をプレイしてターンを返すと、小北に残された時間はいよいよ少なそうだ。

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 しかしここで小北がトップデッキしたのは、墓地活用デッキでは毎ターン3ドローに等しい、100点満点の《慢性的な水害》!

 しかしアリャビマも《ファルケンラスの貴種》を出し3体アタック。《大聖堂の聖別者》がブロックにまわって6点をもらい、小北は12。

 墓地には《堀葬の儀式》も《栄光の目覚めの天使》もある。あと1枚、何でもいいから土地を引けば・・・

 祈るように引きつけた小北のドローは、ここでも思いに応えるかのごとく《寺院の庭》!

 《堀葬の儀式》がフラッシュバックされ、《イゼットの静電術師》《高原の狩りの達人》に加えて《大聖堂の聖別者》が2枚、天使の御下に舞い戻る。

 ダメ押しにアリャビマのアップキープに《イゼットの静電術師》で《ファルケンラスの貴種》が撃ち落されると、一瞬で全てのアタッカーを失ったアリャビマ。

 最後の最後、紙一重で、速度が小北に及ばなかった。

小北 2-1 Aryabhima

 グランプリ・名古屋2012、優勝は小北 雄史!

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