マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【戦略記事】 たった1つの正解を求めて サンプルシールドデッキ構築

【戦略記事】 たった1つの正解を求めて サンプルシールドデッキ構築

by Masami Kaneko

 シールドデッキ。

 セットによってセオリーが違い、常に環境理解が試されるフォーマットだ。

 今回の『タルキール覇王譚』は氏族ごとに5種類の「楔」の3色をテーマにしており、多くの人から「シールドが難しい。でも面白い。」という話を訊く。来年、日本で開催される「グランプリ・静岡2015」の初日はまさに、この『タルキール覇王譚』のシールドデッキ戦だ。

 せっかくなので、ここではサンプルデッキを用意し、日本の注目選手たちにデッキを組んでもらおう。

 今回のサンプルデッキプールは、以下の通りである。皆さんも、この記事の続きを読む前に、デッキを組んでみてほしい。

サンプルカードプール
『タルキール覇王譚』シールドデッキ
{W}{U}{B}
2 《マルドゥの悪刃》
1 《ジェスカイの学徒》
1 《真珠の達人》
1 《道の探求者》
1 《アブザンの鷹匠》
1 《雪花石の麒麟》
1 《まばゆい塁壁》
1 《賢者眼の侵略者》

1 《消去》
1 《戦場での猛進》
1 《包囲戦法》
1 《春の具象化》
2 《僧院の群れ》
1 《氷河の末裔》
2 《旋風の達人》
1 《隠道の神秘家》
1 《河水環の曲芸士》

2 《テイガムの策謀》
1 《鐘音の一撃》
1 《取り消し》
1 《物静かな熟考》
1 《時を越えた探索》
1 《無情な切り裂き魔》
1 《シディシのペット》
1 《不撓のクルーマ》
1 《朽ちゆくマストドン》
1 《スゥルタイのゴミあさり》
2 《よろめく従者》

1 《殻脱ぎ》
2 《苦々しい天啓》
1 《絞首》
{R}{G}多色/無色
1 《跳躍の達人》
1 《谷を駆ける者》
1 《マルドゥの炎起こし》
1 《マルドゥの戦叫び》
1 《山頂をうろつくもの》

1 《粉砕》
2 《石弾の弾幕》
1 《反逆の行動》
1 《ラッパの一吹き》
1 《族樹の管理人》
1 《荒野の後継者》
1 《高地の獲物》
1 《ティムールの軍馬》
2 《高山の灰色熊》
2 《長毛ロクソドン》

1 《帰化》
1 《凶暴な殴打》
1 《境界の偵察》
1 《鱗の隊長》
1 《象牙牙の城塞》
1 《スゥルタイの占い屋》
1 《龍爪のスーラク》
2 《グドゥルの嫌悪者》
1 《イフリートの武器熟練者》

1 《マルドゥの魔除け》
1 《スゥルタイの隆盛》
1 《冬の炎》
1 《死の激情》

2 《鮮明のレンズ》
1 《贈賄者の財布》
1 《ジェスカイの戦旗》
1 《マルドゥの戦旗》

2 《岩だらけの高地》
1 《陰鬱な僻地》
1 《ジャングルのうろ穴》
1 《遊牧民の前哨地》
1 《汚染された三角州》
1 《砂草原の城塞》
1 《磨かれたやせ地》
1 《急流の崖》
1 《茨森の滝》

覚前輝也の場合 純正スゥルタイ


グランプリ・神戸2014チャンピオン、覚前輝也

 かつての日本選手権トップ8プレイヤーであり、プラチナプロを目指すために『テーロス』よりマジックに復帰した覚前。連続でのプロツアー出場、そして「グランプリ・神戸2014」の優勝と今勢いのあるプレイヤーだ。

 まずはカードを凄い勢いで横に広げ始めた覚前。

 いったん全てを眺めたあと、多色土地の種類を確認していく。

 アブザンのカードをいったん並べてみたが、すぐにスゥルタイに移行した。


かなり広くテーブルを使用している

 組み上がったデッキにはわりと満足したようで、青の濃さなど微調整を重ねるものの、特に他の色をタッチしない、綺麗なスゥルタイを組み上げた。


覚前の構築した純正スゥルタイ
覚前の選択したカード
1 《汚染された三角州》
1 《砂草原の城塞》
1 《陰鬱な僻地》
1 《ジャングルのうろ穴》
1 《茨森の滝》

-土地(5)-

1 《春の具象化》
1 《無情な切り裂き魔》
1 《荒野の後継者》
1 《高地の獲物》
1 《ティムールの軍馬》
2 《僧院の群れ》
1 《隠道の神秘家》
1 《朽ちゆくマストドン》
1 《スゥルタイの占い屋》
2 《グドゥルの嫌悪者》
1 《河水環の曲芸士》
1 《スゥルタイのゴミあさり》
2 《長毛ロクソドン》
2 《よろめく従者》

-クリーチャー(18)-
1 《境界の偵察》
1 《スゥルタイの隆盛》
1 《死の激情》
1 《絞首》
1 《時を越えた探索》

-呪文(5)-

覚前 「まず、赤は使えません。この環境のシールドではよくあることですね。白も悪くはないんですが、すごく使いたいというほどではありません。《よろめく従者/Shambling Attendants(KTK)》2枚を《スゥルタイの隆盛/Sultai Ascendancy(KTK)》なんかで有効利用できる、スゥルタイが第一候補になると思います。」

 赤は使えない。そして、それはよくあること。この一言だけでも、覚前が十分に練習をしてグランプリに挑んでいることがわかる。

 多くの多色土地でタッチしやすい《象牙牙の城塞/Ivorytusk Fortress(KTK)》や《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》といったレアも見えるが、純正スゥルタイのようだ。

覚前 「《象牙牙の城塞/Ivorytusk Fortress(KTK)》はシナジーも無いですし微妙です。《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》はタッチしても良いんですけど、これもデッキに合っているわけではないので。強力なカードとかよりも、コンセプトを極めたデッキのほうがこの環境は強いと思います。」

覚前 「最後まで迷ったのは、《高山の灰色熊/Alpine Grizzly(KTK)》と《凶暴な殴打/Savage Punch(KTK)》のセットですね。ただ、やっぱりこのデッキなら長期戦を見越して、攻撃するのはあくまで飛行、と考えたほうが良いと思いました。」

 実際に今回のグランプリでこのデッキを貰ったら嬉しいか尋ねてみると、

覚前 「嬉しいですね。このデッキ、強いと思いますよ。7-2は普通にできそう。自分の今日のデッキと正直交換したいくらいです(笑)。というか本戦のデッキが弱くて辛い......。」

 少しはにかみながら話してくれる覚前、グランプリ本戦のデッキは弱くて辛いとのことだが、頑張ってほしいところだ。

渡辺雄也の場合 スゥルタイ、タッチ《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》

 続いて登場したのはTeamMINTプロの渡辺雄也。みなさんご存知の今年も日本キャプテン、渡辺の牙城はいつ崩れるのか、アジアのグランプリではトップ8に席が予約されている、とまで言われたあの渡辺雄也だ。


渡辺雄也

 渡辺もまた覚前と同じように、、カードプールをざっくりと見ながら一言「赤はない、よくあること。」と言ってのけた。同じくこの判断はとても早い。

 さらにその後渡辺は、「ぱっと見はスゥルタイだけど......。」と言いながら、白を先に並べ、検証していった。可能性は常に検討する。さすが渡辺、抜かりはない。

 ひと通りの組み合わせを検証したうえで、渡辺は以下のデッキを組み上げた。


渡辺の構築したスゥルタイ、タッチ《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》
渡辺雄也の構築したデッキ
4 《森》
3 《沼》
2 《島》
1 《汚染された三角州》
1 《砂草原の城塞》
2 《岩だらけの高地》
1 《陰鬱な僻地》
1 《ジャングルのうろ穴》
1 《急流の崖》
1 《茨森の滝》

-土地(17)-

1 《無情な切り裂き魔》
1 《荒野の後継者》
1 《高地の獲物》
1 《ティムールの軍馬》
1 《隠道の神秘家》
1 《スゥルタイの占い屋》
1 《龍爪のスーラク》
2 《グドゥルの嫌悪者》
1 《河水環の曲芸士》
1 《スゥルタイのゴミあさり》
2 《長毛ロクソドン》
2 《よろめく従者》

-クリーチャー(15)-
1 《凶暴な殴打》
1 《境界の偵察》
1 《スゥルタイの隆盛》
2 《苦々しい天啓》
1 《死の激情》
1 《絞首》
1 《時を越えた探索》

-呪文(8)-

 覚前のデッキとの大きな違いは、青の濃さだろう。かなり多くの青のカードを採用した覚前に対して、渡辺のデッキは最低限の「スゥルタイ」を構成するカードしか青が採用されていない。逆に覚前がタッチしなかった《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》について尋ねてみると、

渡辺 「これだけ関係してる色+赤マナが出る土地があれば、タッチはほとんどフリータッチ、何の制限もなく出せるカードです。単体で強いカードなので、入れる価値は十分にあります。」

 また、覚前が採用しなかったドロー強化カード《苦々しい天啓/Bitter Revelation(KTK)》については、

渡辺 「シールドは長期戦のアドバンテージデッキになるか、それに勝つデッキを組むかになるんですよ。だから、こういうカードは極力入れたい。もちろん、弱い相手には弱いカードです。サイドボードプランで抜けるパターンも多いですね。この環境は、サイドボードプランも含めて1つのデッキです。これは、メインではこう組むというだけで、まだまだ多くの形が存在する。」

 と理由を話してくれた。「サイドボードプランも含めて1つのデッキ。」渡辺はしきりにこの話をしている。リミテッドといえば1つのデッキができあがる、と考えているプレイヤーは多いが、渡辺はあくまでサイドボードも含めて1つのデッキだと語ったのだ。さらに渡辺はこう重ねる。

渡辺 「この環境、デッキで見たときの強さもそうなんですけど、どんな対戦相手がいて、どれに勝てるデッキを組めるかが重要です。だから、勝ちパターンを多く作れるパックが強い。サイドボード後に全然違うデッキになっていることもザラです。」

 そう力強く語ってくれた。

 また、覚前が採用した《春の具象化/Embodiment of Spring(KTK)》については、

渡辺 「そもそもこれだけ多くのタップ状態で場に出る土地を入れる環境で、こんなことしてる暇はありません。カードじゃない。デッキに入れない。」

 と、はっきりと話してくれた。

 覚前と近いスゥルタイを組んだように見えたが、このデッキに対する渡辺の評価は全く違う。

渡辺 「このパックはグランプリでは欲しくないですね。長期戦を見越したスゥルタイしか組めないのに、デッキに除去が少なすぎる。長期戦をしたうえで、相手の強力なレアに敗ける未来しか見えない。除去がないなら本当はビートダウンしたいんですが、カードプールがそれを許さない。7-2でなんとか初日突破を目指すデッキですね。ホント、良くて7-2のデッキ。」

「強い」、と評していた覚前とは一転、渡辺のコメントは辛口のものだった。勝てない理由についても明確に語ってくれて、なるほど納得できる。


 ここまでの2人は形は違えどスゥルタイだった。このパックはスゥルタイで組むしかないのだろうか?

市川ユウキの場合 5色

 日本を代表するプレイヤーに話を聞く企画で、この男を迎えないわけがない。渡辺雄也をもってして「日本のライジングスター」と評された、BIG MAGICプロの市川ユウキだ。プロツアー2連続トップ8、そしてグランプリ・神戸2014でトップ8と波に乗っている市川、このパックからどのようなデッキを組み上げるのか。


「ライジングスター」市川ユウキ

 市川もひと通りカードを長め、多色土地を確認すると、まずは白のクリーチャーを並べはじめた。

市川 「白の低マナ域良いですね!《マルドゥの悪刃/Mardu Hateblade(KTK)》とか軽いのにすごく強くて、これはいけそうです!」

 しかし、その後白を中心にアブザンのカードを並べると顔が曇る。全くカードが足りないのだ。

市川 「除去も無いしカードが足りないしで心折れてきた。やめよう。」


アブザンを並べ心の折れた市川。

 このあたりの切り替えの早さは流石である。そして市川が並べ直したのは、やはりスゥルタイだった。しかし市川は、このスゥルタイにもすぐに見切りをつける。

市川 「長期戦デッキなのに除去がない、これじゃ勝てないや。どうすんのこのパック。もう無理。」

 最初はテンションの高かった市川も、どんどんテンションが下がっていく。しかし特筆すべきは、渡辺が「しょうがない」と諦めていた「長期戦デッキなのに除去がない」という問題点にすぐに気づき、それでも勝てる構築をしようとしているということだろう。コメントだけ拾うとまるで冗談を言っているようだが、市川の理解は本物だし、まだまだ諦めていない。

市川 「あ! 閃いた! もう割り切って全部入れちゃえば良いんだ! 土地これだけあるんだし! お? おお? これはいける! テンションあがってきた!」

 とても楽しそうにカードを並べ始めた市川。最終的には、「これならいける! 歪に見えるかもしれないけど、このデッキたぶん結構勝つ!」と評するデッキを作成した。


市川の構築した5色
市川の構築したデッキ
4 《平地》
3 《森》
1 《沼》
1 《島》
1 《汚染された三角州》
1 《遊牧民の前哨地》
1 《砂草原の城塞》
2 《岩だらけの高地》
1 《陰鬱な僻地》
1 《ジャングルのうろ穴》
1 《磨かれたやせ地》
1 《茨森の滝》

-土地(18)-

2 《マルドゥの悪刃》
1 《無情な切り裂き魔》
1 《荒野の後継者》
1 《アブザンの鷹匠》
1 《雪花石の麒麟》
1 《まばゆい塁壁》
1 《象牙牙の城塞》
1 《スゥルタイの占い屋》
1 《龍爪のスーラク》
2 《グドゥルの嫌悪者》
1 《スゥルタイのゴミあさり》
2 《長毛ロクソドン》
2 《よろめく従者》

-クリーチャー(17)-
1 《マルドゥの魔除け》
1 《境界の偵察》
1 《苦々しい天啓》
1 《死の激情》
1 《絞首》

-呪文(5)-

 5色で強いカードを詰め込んだだけに見えなくもないが、このデッキが一番勝ちに近いというのが市川の考えだ。

市川 「結局ガチガチのコントロールじゃ勝てないですからね! 少しは攻める気配を見せないと! このデッキならカード全部強いから、攻めにいったらあっという間に勝てますよ!」

 そう語る市川、しかしストレートなビートダウンにはこれまた疑問符を投げかける。

市川 「最初は《鱗の隊長/Chief of the Scale(KTK)》とかも入れたビートダウンを検討してたんですけどね、やっぱりこんな軟弱なカード入れてたら勝てない。強いカードは強い。このデッキが一番強いカードを多く使えると思います。」

「勝ち」を目指す。はっきりとデッキ構築の指針を語ってくれた。中々面白いデッキで、正直回してみたくなるデッキである。

津村健志の場合 スゥルタイ タッチ《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》、《象牙牙の城塞/Ivorytusk Fortress(KTK)》

 最後に、晴れる屋プロ所属、殿堂プレイヤーでもある「コガモ」こと津村に話を訊いてみよう。


津村健志 カメラを向けると大抵このポーズで応えてくれます。

 津村はカードを並べながら、嬉しそうに話はじめた。「うわっ、このパック土地がいっぱいある! これは幸せっすね! 練習でもこんなに土地があるパック引いたことないですよ! なんでもできそう!」

 やはり赤を真っ先に切り捨て、白のカードも少し並べてみるも、やはりスゥルタイにターゲットを絞ったようだ。しかし津村は、《象牙牙の城塞/Ivorytusk Fortress(KTK)》と《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》は抜かない。結局最後までこの2枚のレアについては抜くことを悩むこともなく、デッキを組みきってしまった。


津村健志の構築したスゥルタイ タッチ《象牙牙の城塞/Ivorytusk Fortress(KTK)》《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw(KTK)》
津村の構築したデッキ
3 《島》
2 《森》
1 《沼》
1 《平地》
1 《汚染された三角州》
2 《岩だらけの高地》
1 《遊牧民の前哨地》
1 《砂草原の城塞》
1 《陰鬱な僻地》
1 《ジャングルのうろ穴》
1 《磨かれたやせ地》
1 《急流の崖》
1 《茨森の滝》

-土地(17)-

1 《春の具象化》
1 《無情な切り裂き魔》
1 《荒野の後継者》
1 《象牙牙の城塞》
1 《隠道の神秘家》
1 《スゥルタイの占い屋》
1 《龍爪のスーラク》
2 《グドゥルの嫌悪者》
1 《河水環の曲芸士》
1 《スゥルタイのゴミあさり》
2 《長毛ロクソドン》
2 《よろめく従者》

-クリーチャー(15)-
1 《凶暴な殴打》
1 《スゥルタイの隆盛》
2 《苦々しい天啓》
1 《死の激情》
1 《絞首》
1 《時を越えた探索》

-呪文(7)-

 津村が語るのは、デッキの強さや構成の話より先に楽しさの話だった。

津村「これだけ土地があれば、好きなカード入れても許されるでしょ! 単体で強いカードはタッチするに限りますよ! いや、っていうかこれだけ強いカードとシナジーの塊だと、使いたくてたまらないですね! 楽しそう!ほんとは《マルドゥの魔除け/Mardu Charm(KTK)》も入れようか悩んだんですが......さすがにやりすぎかと思って(笑)。でもどうせならやっておけばよかったかなー!」

 特徴的なのは、覚前・渡辺の両者が採用していた2マナ域、《ティムールの軍馬/Temur Charger(KTK)》《高地の獲物/Highland Game(KTK)》の不採用だろう。「強いカードが正義。ただの熊とか出しても面白くない。」とは津村の弁だ。しかし、津村はこうも語る。

津村 「いや、練習でもこんなに土地引いたこと無かったので、テンション上がって全部詰め込んだデッキにしちゃいました。本当に正解なのか怪しいです。でも楽しいから良いと思います。っていうかこれを本戦でも使いたいなぁ。」

 津村にこのデッキをどう思うか聞いてみたが、

津村 「僕の本戦のデッキと交換してほしいですね。8-1くらいできそう。強いと思いますよ。何より楽しそうですし。」

 終始「楽しそう」という言葉を口にしているのが印象的だったが、最後の言葉でもよくわかる通り、勝つつもりだし、デッキは強い、勝てると判断している。マジックを、楽しみながら、勝つ。津村がバリバリの一線級として活躍していたころのスタンスが、まさにこれだ。思えば当時から、いつも楽しそうに、そして負ければ悔しそうに、そして勝てば嬉しそうにマジックを楽しんでいたのが印象的だった。きっと、一線級だった強い津村もすぐに帰ってくるに違いない。そう思わせるだけの魅力が、今日の津村にはあった。

「正解」、とは?

 それでは、このプールの正解とは何なのか?

 既にお察しの方も居るだろうが、この記事で「たった1つの正解」なんてものは出せない。

 スゥルタイを中心に組み上げた覚前・渡辺・津村だが、実際のところ3人のデッキはかなり動きが違うだろう。一風変わったデッキを構築した市川もまた、勝利のための選択だ。

 だから、ここで参考にするべきは、彼らの考え方だ。それぞれ、どういった考えによってデッキを作ったか。カードの採用・不採用の理由は?

 賛同できることもあるだろう。疑問に思うこともあるだろう。しかし、彼らが皆、一流のプレイヤーであることは疑いようもない。それぞれ考えがあってデッキを構築している。

 だからこそ、彼らはシールドデッキに対して議論を欠かさない。お互いにデッキを回したり、広げて意見を求めたり。グランプリの初日によく見られる光景だ。


 全てが彼らなりの「正解」であり、そしてまた、等しく「間違い」の可能性もあるのだ。

前の記事: 【トピック】 2日目進出を決めた日本人プレイヤー一覧 | 次の記事: 【戦略記事】 初日全勝、佐伯 克久のドラフト
グランプリ・上海2014 一覧に戻る