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グランプリ・上海2017

観戦記事

第4回戦:市川ユウキ(東京) vs. 高尾 翔太(東京)

By 矢吹 哲也

 第4回戦を迎えたグランプリ・上海2017。ここから3不戦勝が明けたトップ・プロたちが加わり、本当の戦いが始まる。フィーチャーマッチエリアで対峙した両者は、互いに「おいしくない相手」を前に顔をしかめた。

 2年前、同じく上海の地で開催されたグランプリ・上海2015で、市川ユウキは自身初のグランプリ戴冠を果たした。その後グランプリ・北京2015では準優勝、グランプリ・台北2016で再び優勝、グランプリ・クアラルンプール2016でもベスト4進出など、アジアでのグランプリで特に目覚ましい活躍を見せている。上海のディフェンディング・チャンピオンとして臨む今大会では、その緒戦に名のある日本人プレイヤーを迎えることになった。

 無論「名のある日本人プレイヤーを迎えることになった」のは高尾 翔太も同じだ。グランプリ序盤からゴールド・レベルの強豪を相手にしなくてはならないこの状況は、確かに「おいしくない」だろう。

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市川 vs 高尾。アジア・グランプリではおなじみの日本人対決が、早くも実現した。

ゲーム展開

 両者ともマリガンを行い、仕切り直し。6枚となった手札をキープしてゲームが始まった。

 すると市川が初手に繰り出したのは《聖なる猫》。高尾は目を見開き言う。

「ん? エネルギーじゃない?」

「俺は降りたんだ。『エネルギーの輪廻』から」と、市川は口元を引き締める。

 高尾は2ターン目《過酷な指導者》から展開を始め、3ターン目には《ボーマットの急使》を加えて、《稲妻の一撃》を《聖なる猫》に放つと攻撃を始めた。

 そして続くターン、高尾は2枚目の《過酷な指導者》と《ボーマットの急使》を戦線に加えると、《聖なる猫》を「不朽」してターンを返す市川に対して4ターン目《熱烈の神ハゾレト》を決める!

 この攻撃で残りライフ11点となった市川は《聖なる猫》を追加し、高尾の攻撃をしのいだ。しかし高尾はここで《反逆の先導者、チャンドラ》を引き込み、これには市川も「うわ」と渋い表情を見せる。

 高尾の苛烈な攻撃に市川の猫・トークンたちは身を挺して彼を守るが、そのすべてを失った市川は続くドローにも光明を見出だせず。「すごい手札になった」とカードを片付けた。

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市川は、高尾の素早い攻勢を前に《復元》3枚に《王神の贈り物》3枚という手札を抱えてしまった。

 第2ゲーム、高尾の1ターン目《損魂魔道士》が戦いの火蓋を切って落とすと、彼は続けて《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、《ピア・ナラー》と連続展開。

 対する市川は2ターン目に《アズカンタの探索》を設置したものの、高尾の攻勢を阻む序盤の守りは「不朽」した《聖なる猫》のみだ。

 高尾は猫・トークンを《ショック》で退場させ、一挙9点ものダメージを与えた。この軍勢への対処を迫られた市川は《賞罰の天使》で《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を追放したものの、高尾の手から放たれた《稲妻の一撃》が市川の残りライフを3点に落とし、全軍攻撃で決着となった。

市川 0-2 高尾

 一方的な展開で瞬く間に決着したこの試合だったが、高尾は自身のサイドボーディングについて市川に尋ね、市川は短い試合を振り返って可能性を模索する。

 両者とも「次」を見据えた感想戦だ。長丁場のグランプリでは、序盤の一戦をいつまでも引きずるわけにはいかない。多くの実績を積み重ねてきた両者は、そのことを熟知している。

 結果記録用紙を手早く記入したふたりは、揃って「次」に向かってフィーチャーマッチエリアをあとにしたのだった。

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