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【戦略記事】 デッキテク:井川 良彦の「ラムナプ・レッド」

【戦略記事】 デッキテク:井川 良彦の「ラムナプ・レッド」

By 矢吹 哲也

 先週行われたプロツアー『イクサラン』では、「ティムール・エネルギー」と「ラムナプ・レッド」が大きな勢力を獲得し、両アーキタイプとも使用者をトップ8に送り出した。それらはスタンダード・ラウンド成績上位のリストにも多々見受けられ、地力の高さを証明している。

 そして、9勝1敗のリストに「ラムナプ・レッド」を載せたプレイヤーが、今大会にも参加していた。

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 シルバーレベル・プロの井川 良彦だ。彼はドラフト・ラウンドが3勝3敗と奮わず惜しくもトップ8入賞を逃したものの、スタンダード・ラウンド9勝1敗で総合順位17位という好成績を収めた。

 それから1週間。彼は再びスタンダードの大型イベントに姿を現した。

 ここでは、「プロツアーで勝ったから今日はダメかな」とオカルトなことを言いながら笑う井川に、プロツアーの激流を渡りきった構築の秘訣を語ってもらう。

デッキ選択の経緯

――このデッキを選択するに至った経緯と理由を教えてください。

井川「やっぱり最初から『ティムール・エネルギー』と『ラムナプ・レッド』が強いのはわかっていて、他のデッキもいろいろと試したんですけどどれもしっくりこなかったというのがひとつです。それから『ティムール・エネルギー』って構築が一番難しくて、3色にするか4色にするかはもちろん採用するカードの選択肢も幅広く、チームで調整しているトップ・プレイヤーには敵わない。『ティムール・エネルギー』では他のプレイヤーに差をつけられてしまうと判断しました。

 その点『ラムナプ・レッド』は選択肢が少ないデッキの中でバリューが高く、調整していても勝率が高かったので、これを選択したという流れですね」

プロツアーの影響

――プロツアーのメタゲームや結果を受けて、デッキを変更した部分はありますか?

井川「今回に向けて、サイドボードの《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》だけ変えて4枚目の《削剥/Abrade(HOU)》にしました。

 プロツアーでは『赤黒アグロ』や『マルドゥ機体』に入っている《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》対策に《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》を採用していたんですが、それらのデッキがあまり勝たなかった。逆に勝ったのが「スゥルタイ・エネルギー」と『王神の贈り物』デッキで、それらに対しては《削剥/Abrade(HOU)》が必須なので、《削剥/Abrade(HOU》に変えたという形です」

――プロツアーの結果を受けて、今後のメタゲームはどのようになると見ていますか?

井川「結局『ティムール・エネルギー』に帰結するんじゃないかなと思っています。『ラムナプ・レッド』と違って『ティムール・エネルギー』はできることが幅広く、環境が進めば進むほど強くなるかと。メタゲームに合わせてチューニングできるので」

――ではその中で『ラムナプ・レッド』の立ち位置は?

井川「立ち位置的には悪くないんですが、どこまでいっても『ティムール・エネルギー』に対して明確に有利を取れないのが難点ですね。でも「ティムール・エネルギー」を倒しにくるデッキすべてに『ラムナプ・レッド』は強いので、環境には最後まで居続けるだろうなと思います」

他の「ラムナプ・レッド」との違い

――プロツアーの構築部門で9勝1敗という成績を残した井川選手の「ラムナプ・レッド」ですが、他の「ラムナプ・レッド」との違いはありますか?

井川「土地の枚数を24枚から25枚に増やしたことですね。これによって、土地が詰まりにくくなり《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》につなげやすくなりました。

 アグロ・デッキで土地を引き過ぎたくはないんですが、それよりも土地が詰まって手札をうまく使い切れなかったり、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》や《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》の出るターンが1ターンでも遅れたりする方が致命的です。多少土地を引いても、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》の能力で捨てたり《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》で火力にしたりできますが、逆に土地が詰まったら何もできないんですよ。そこを意識して土地を増やしたのが、僕の構築の特徴ですかね。プロツアーの成績上位者リストを見ても、土地25枚の『ラムナプ・レッド』は僕だけで、実際にマナ・スクリューを起こして負けることがなくなったので、それが結果に結びついたんだと思っています」

苦手デッキとその対策

――では最後に、苦手なデッキとそれを意識する場合の対策を教えてください。

井川「まだ実際にやったことないのでわからないですけど、『白単吸血鬼』には不利ですよね。《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon(XLN)》頼りになるので、メインから4枚採用することになるのかな。メタゲームによっては《焼けつく双陽/Sweltering Suns(AKH)》をサイドに積むことも考えられます。

 あとはやっぱり、どうやっても五分以上にならないのが『ティムール・エネルギー』ですね。ただし1ゲーム目先手を取れれば、相性差は気にならないです。『ティムール・エネルギー』はこの環境で一番強いデッキかもしれないけれど、『ラムナプ・レッド』は一番安定しているデッキだと思っているので、今後も一定の勢力を維持すると思いますよ」


 来月には「The Finals2017」や「ストアチャンピオンシップ」が控えている。スタンダードをお楽しみの皆さん、「安定」を求めるならこの「ラムナプ・レッド」をおすすめしよう。

井川 良彦 - 「ラムナプ・レッド」
グランプリ・上海2017 / スタンダード (2017年11月11~12日)
15 《山》
4 《ラムナプの遺跡》
4 《陽焼けした砂漠》
2 《屍肉あさりの地》

-土地(25)-

4 《ボーマットの急使》
4 《損魂魔道士》
3 《地揺すりのケンラ》
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
2 《過酷な指導者》
3 《暴れ回るフェロキドン》
4 《熱烈の神ハゾレト》

-クリーチャー(23)-
4 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
2 《削剥》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文(12)-
2 《過酷な指導者》
3 《ピア・ナラー》
1 《暴れ回るフェロキドン》
2 《栄光をもたらすもの》
2 《チャンドラの敗北》
2 《削剥》
1 《霊気圏の収集艇》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》

-サイドボード(15)-

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