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グランプリ・上海2017

観戦記事

準々決勝:岡田 尚也(長野) vs. 渡辺 雄也(東京)

By Masashi Koyama

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 カイ・ブッディ/Kai Buddeを超えるまであと1つ――

 数多の業績を残してきた渡辺雄也はカイ・ブッディ、中村修平に並ぶ「グランプリ優勝回数世界1位タイ」の男だ。

 伝説となったブッディを超えるには、このグランプリであとたった3勝するだけでいい。これまで数え切れないくらいの勝利を重ねてきた渡辺は、「ティムール・エネルギー」を手にこのグランプリ・上海2017の決勝ラウンドへ当然のように進出し、来たるべき準々決勝へ備えている。

 その対戦相手となる岡田尚也は「The Finals 2011」のチャンピオンであり、当時は独創性溢れる「青黒感染」を手に構築王者まで駆け上がった。

 今、その時以来のビッグイベントトップ8に進出した岡田は、誰もが唸るであろうオリジナルの「工匠」デッキを作り上げている。

 フィーチャーマッチエリアに向かう最中、渡辺は緊張気味の岡田に賛辞の声をかける。そして、互いのデッキリスト公開時には岡田のデッキを一人回ししながら「楽しい〜!」とまるで無邪気な子どものように声を上げる。

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 そう、渡辺もまた岡田と同じくマジックが大好きなひとりのプレイヤーなのだ。

「プレイで」

「デッキで」

 スタンスが同じでなくとも共にマジックへの情熱を形に示すふたりが、グランプリ・上海2017準々決勝の舞台でぶつかる――


ゲーム1

 初動は岡田の《霊気急襲者》。これを渡辺が《蓄霊稲妻》から、返すターンに《ならず者の精製屋》という立ち上がり。

 岡田はキーとなる《つむじ風の巨匠》をプレイ。渡辺が《導路の召使い》でを召喚したところで岡田は飛行機械・トークンをひとつ生成すると、《導路の召使い》を《マグマのしぶき》で除去。渡辺は2体目の《ならず者の精製屋》でクロックを引き上げる。

 岡田はトークンで攻撃してから、《発明者のゴーグル》プレイ。《つむじ風の巨匠》に「つけたいな」とお伺いを立てたところで、これに渡辺は《削剥》。

 渡辺は《スカラベの神》、対して岡田はトークン生成からの《金属の叱責》でこれを弾く! そして返すターンで《領事の旗艦、スカイソブリン》で渡辺の《ならず者の精製屋》を1体葬る。だが、返す渡辺の攻撃で岡田の残りライフは5と危険水域だ。

 さらに続くターン《領事の旗艦、スカイソブリン》が搭乗後に《蓄霊稲妻》で捌かれてしまう。このまま巻き返したい岡田は1点のダメージを受け、ライフを4にしながら《スカラベの神》!

 これを除去する術を持たない渡辺は《反逆の先導者、チャンドラ》で、ライフ4の岡田をライフ2という瀬戸際まで追い詰める。

 ターンを受けた岡田はアップキープに盤面を確認し計算すると「勝っていないか......」と渡辺の《ならず者の精製屋》を釣り上げる。

 ここで引き込んだのはブロッカーをどかせる《蓄霊稲妻》!

 これで《スカラベの神》が《反逆の先導者、チャンドラ》を落としたことが決定打となり、岡田が1本目を制したのだった。

岡田 1-0 渡辺


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1ゲーム目を落とし岡田のデッキリストを確認する渡辺雄也

ゲーム2

 渡辺が《霊気との調和》、岡田が《発明者のゴーグル》とともに1ターン目にアクションを起こすスタート。

 3ターン目は互いに《つむじ風の巨匠》をプレイするが、岡田の《つむじ風の巨匠》には《発明者のゴーグル》が装備され、いよいよ《発明者のゴーグル》の本領発揮となるだろうか?

 だが、渡辺は2体目の《つむじ風の巨匠》をプレイし、まずはエネルギーの量で岡田に差をつけていく。

 岡田は《抽出機構》を設置し、こちらもエネルギーを貯める準備を整えていく。

 一歩先を行く渡辺は飛行機械・トークンを生成し、さらに《スカラベの神》!

 ゲームを決めかねない《スカラベの神》を岡田は《反逆の先導者、チャンドラ》の4点と《マグマのしぶき》の合わせ技で対処してみせる。だが、渡辺の手には2体目の《スカラベの神》!

 これが機能し始めてしまえばジリ貧の岡田は《つむじ風の巨匠》を連続でプレイし、《抽出機構》を活かしエネルギー大量生産モードに入り、飛行機械・トークンという異なる軸での勝負に出る。

 この時点でライフは渡辺20、岡田11だ。

 じわりじわりと岡田が《つむじ風の巨匠》によりトークンを生成しているため迂闊に攻められない渡辺は、アップキープに《反逆の先導者、チャンドラ》への攻撃の際死亡していた《つむじ風の巨匠》を釣ると、そのままターンエンド。

 岡田が《つむじ風の巨匠》の能力を一度起動したところで《削剥》で《抽出機構》を破壊。岡田は3つのトークンと2つのエネルギーという状態に。そして返すターン、岡田は《異端の飛行機械職人》で一気にトークンを5体に増やす!

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岡田尚也はトークンの群れで渡辺を攻める

 大量のトークンを前に、渡辺は《スカラベの神》、4/4の《つむじ風の巨匠》、《つむじ風の巨匠》、トークン2体で《反逆の先導者、チャンドラ》に攻撃。この戦闘で岡田のトークンの頭数を減らした渡辺は《つむじ風の巨匠》を追加し、空からの攻撃の防人とする。

 岡田は土地を置き全ての手札を使い切ると《反逆の先導者、チャンドラ》の能力で《発明者のゴーグル》を公開。これをプレイするとトークンへ装備し攻撃。渡辺はエネルギーを1個にしてトークンを生み出し、1体を相討ちに取る。これでライフは11。

 互いの墓地にクリーチャーがない状態で渡辺は《多面相の侍臣》を引き込み、これが《異端の飛行機械職人》のコピーになると、盤面は飛行機会・トークンが入り乱れる展開に。

 この状況で岡田が《反逆の先導者、チャンドラ》で公開したのは《霊気圏の収集艇》だった。この《霊気圏の収集艇》が攻撃に参加し始めると、渡辺のライフは徐々に減少の一途をたどる。

 そして、ゲームの終わりは突然だった。

 岡田が《反逆の先導者、チャンドラ》で公開したのは、『イクサラン』リミテッドの「ボムカード」として幾多のゲームを決定づけた《川の叱責》!

 往年の《激動》を思い起こさせるこのカードが岡田の手からプレイされると、渡辺の築き上げた盤面が更地へ変貌する。

 渡辺は《霊気圏の収集艇》こそ《削剥》で落とし一撃死は免れるものの、ここから岡田に対抗する盤面を再構築することはできないのだった。

岡田 2-0 渡辺

岡田 尚也が準々決勝進出!
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