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グランプリ・静岡2017秋

観戦記事

第9回戦:チーム 今井/武田/高味 vs. チーム 渡辺/中村/八十岡

By Genki Moriyasu

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 2017年9月30日、午後8時。

 558チーム、合計1674人の参加したグランプリ・静岡2017秋1日目もいよいよ最終戦、第9回戦開始のコールがかかる。

 ここまでの戦績が5勝3敗のチームは、明日2日目へ進出できるかどうかのバブル・マッチだ。2敗以上のチームはすでに2日目進出を決めているが、今度は決勝トーナメント進出の可能性が大きく変わる。

 ここでひと息をつけている卓は1つもない。

 もちろんそれは、会場有数の勝率を誇るチーム今井/武田/高味もだ。

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左から、高味、武田、今井

 戦績は7勝1分け。全勝が1チームだけあるので、現地点で会場2位の成績だ。

 彼らが対決するのは1敗のチーム渡辺/中村/八十岡。

 殿堂顕彰者2人を擁する、会場屈指の、いや日本屈指の、いやいや世界屈指のチームだ。

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左から、渡辺、中村肇、八十岡

 現地点でのトータル・マッチ・ポイントはチーム今井/武田/高味が勝っているが、それでも彼らは皆、挑戦者の眼差しでチーム渡辺/中村/八十岡との対決に挑んでいった。

A卓 今井(白黒吸血鬼) vs. 渡辺(青緑恐竜) ゲーム1

 渡辺の展開は《深根の戦士》、《葉を食む鞭尾》。

 そして《噛み付く帆背びれ》までマナも展開も伸びるが、ここまで今井の展開はない。


渡辺

 今井は《葉を食む鞭尾》に《板歩きの刑》こそ当てたものの、戦場に置いたのは5枚の《》のみ。

 手札に無数に溜まる白い呪文を消費することができず、それは渡辺の戦線に介入する手段がないということを意味した。

今井 0-1 渡辺


B卓 武田(青緑マーフォーク) vs. 中村(赤白恐竜) ゲーム1

 非常にスピーディにエンディングを迎えたA卓ゲーム1だが、こちらもほぼ変わらぬ時間で終えている。


武田

 《》《平地》の2枚で足を止めてしまった中村に対し、ほぼ毎ターンマーフォークを展開する武田が攻め立てる。

 《ジャングルの探査者》、《ティシャーナの道探し》、《翡翠の守護者》といった緑のマーフォークを中心に、《見習い形成師》を挟んで、青緑を強調する。

 中村は武田の展開したカードをしっかりと見届け、畳んだ。

武田 1-0 中村


C卓 高味(赤緑恐竜) vs. 八十岡(青黒海賊) ゲーム1

 ゲーム1最後の決着となったのはC卓だ。

 《巧射艦隊の追跡者》、《勇敢な妨害工作員》、《水罠織り》と続けた八十岡。

 高味の初動は《かき回すゴブリン》と非常に緩やかなように見える。続く《葉を食む鞭尾》も《弱者成敗》で打ち倒される。

 しかし5ターン目にプレイした《怒り狂う長剣歯》の「全体1点ダメージ」が八十岡のクリーチャーたちに突き刺さった。


高味

 続けた《巨大な戦慄大口》の攻撃で、八十岡の海賊たちを蹂躙しはじめる。

 さらには《確実な一撃》でブロッカーをまとめて吹き飛ばし、序盤の緩やかな動きの反動のように打点が爆発した。

高味 1-0 八十岡


A卓 今井(白黒吸血鬼) vs. 渡辺(青緑恐竜) ゲーム2

 今井が2ターン目にプレイした《トカートリの儀仗兵》は、戦況の変化を遅いものにした。

 渡辺が出すクリーチャーの探検は封じられたが、今井自身が出した《血潮隊の聖騎士》もトークンを生成しない。


今井

 その中で土地を伸ばしたら強いのは、渡辺であった。

 《噛み付く帆背びれ》から《巨大な戦慄大口》。緑の恐竜デッキとしての勝ちパターンを示した。

 これは今井の《依頼殺人》と《軍団の裁き》で落とされるが、渡辺はより強力・明確なボムカードを守れることとなった。

 《轟く棘背びれ》。

 毎ターン4/4トランプルを生み出す、過去にほとんど類を見ないトークン・メイカーが機能し始めるのを、今井はただ受け入れるしかなかった。

今井 0-2 渡辺


B卓 武田(青緑マーフォーク) vs. 中村(赤白恐竜) ゲーム2

 中村がなす術なくゲームを終えたゲーム1と対照的に、お互い数体ずつのクリーチャーを並べて打開策を待つ膠着状態を迎えていた。

 お互いにほとんどライフが削れていない中で、中村が探検で公開した《稲妻砲手》を、勝ち筋として上に残したほどだ。


中村

 事実、この《稲妻砲手》は少しずつ武田のライフを削っていたのだが、次に訪れた戦場の変化は余りにも顕著だった。

 武田の《川の叱責》。

 中村が並べ切った数多の人間や恐竜たちが、川の激流に巻き込まれて手札に押し返された。

 そこから、武田がマーフォークたちを使役して中村のライフを奪い切るのに時間は要さなかった。

武田 2-0 中村


C卓 高味(赤緑恐竜) vs. 八十岡(青黒海賊) ゲーム2

 八十岡が海賊や《海賊のカットラス》を並べていくことに、高味が示せるアクションは盤面に影響しないため息ひとつだ。

 《火炎砲発射》で《勇敢な妨害工作員》こそ焼き払うものの、恐竜自慢のボディを持つアタッカーもブロッカーも出せないうちに、八十岡の海賊たちが並びきった。

高味 1-1 八十岡


 全ての卓のゲーム2が終わり、残るはC卓、高味対八十岡のゲーム3のみだ。

 高味を心配し、今井と武田が左右をを囲う。3人で相談してゲームを進めるようだ。

 八十岡を信じる中村と渡辺はほとんど口を挟まず、八十岡の一挙手一投足を黙して見つめる。


C卓 高味(赤緑恐竜) vs. 八十岡(青黒海賊) ゲーム3

 初動は高味の《ティロナーリの騎士》だ。

 返す八十岡の2ターン目。《指名手配の獄道者》と《帆凧の掠め盗り》の2択で悩む。

「リスクを取りたくない」とハッキリ口にして、《帆凧の掠め盗り》からプレイする。

 プレイのマナ域には少し遠い《決別の砲撃》しか対象はなかったが、クリーチャーも少ない手札を確認し、《セイレーンの見張り番》、《指名手配の獄道者》を召喚。

 《猛竜の幼生》のバックアップを得た3/3の《ティロナーリの騎士》の攻撃を、この《指名手配の獄道者》でブロック。能動的に《潜水》でタフネスを上げて、討ち落とされるのを回避した。

 そのまま《海賊のカットラス》を握った《セイレーンの見張り番》と《帆凧の掠め盗り》で、5点のクロックを形成する八十岡。

 これに《噛み付く帆背びれ》から《巨大な戦慄大口》で応える高味。

 すれ違いの殴りあいでお互いのライフが減っていったところで、高味のライフは6。

 八十岡が持つ5点のクロックのままであれば、削りきれない。

 やがて、どうあがいても最終ターンとなる節目を八十岡が迎える。

 そして八十岡の攻撃。

 結果は、5点のまま。

 ライフを1残した高味が......耐えた。

 しかし八十岡は降参の意を示さない。

 そのまま第2メイン・フェイズを迎えた。

 《流血の空渡り》を唱える。着地、能力誘発。

 高味のライフ、1から0へ。......高味が、墜ちた。

高味 1-2 八十岡


「誰がこの男を負かせるんだ」


八十岡

 渡辺が、絶大な信頼を示す賛辞を八十岡へ投げる。

 八十岡によって、今日最後のマッチアップの勝利がもたらされたチーム渡辺/中村/八十岡。明日も大会の中心となるチームの1つとなることは、明らかだろう。

 まずはTOP4。狙うは優勝。

チーム 渡辺/中村/八十岡 Win!
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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