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【観戦記事】 第15回戦:Sun, Chuan(中国) vs. 伊藤 大明(神奈川)

【観戦記事】 第15回戦:Sun, Chuan(中国) vs. 伊藤 大明(神奈川)

By Sugiki, Takafumi

 グランプリ・静岡2017春もスイスラウンド最終戦を迎え、前ラウンドまでで2敗の上位に残っているプレイヤーにトップ8のカットラインを通過できる可能性が残されている。

 2敗上位の中から、フィーチャーテーブルに迎え入れられたのは、暫定順位11位のソン・チュアン/Sun, Chuan(中国)と12位の伊藤 大明(神奈川)。ソンはグランプリ・名古屋2016でも13勝2敗と好成績を残しており、今回のグランプリでもトップ8の目を残したまま最終戦を迎えた。一方の伊藤はグランプリ・仙台2010でトップ8に入賞した経験があり、2度目のグランプリトップ8を目指してここまで勝ち残ってきた。

 ここまで登ってきた険しい道も、2敗ラインに残れるか残れないかでプロツアー権利という大きな隔たりの上下への歩みとなる。いずれのプレイヤーが2敗ラインに踏みとどまるのか?

 使用するデッキは、ソンは《霊気池の驚異》型の「4色サヒーリ」、伊藤は黒緑のベースに《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》をタッチしたような、「ジャンド・巻きつき蛇」デッキとなっている。

 ソンが《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KLD)》コンボ、もしくは《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》からの《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》を決めるのか、その前に伊藤が《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》からのビートダウンを完遂するか。このマッチでは、あまり直近のスタンダードでは見られないクリーチャーが止めを刺すこととなった。


ソン・チュアン/Sun, Chuan vs. 伊藤 大明
ゲーム1

 伊藤が《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》X=1、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》X=2と順次攻め手を繰り出す。

 対するソンは3発の《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》を使って、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》、《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》X=1を順次除去していく。

 しかし、土地が止まってしまっているのがソンにとっては辛いところであり、しかも盤面には討ち漏らした《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》X=1が残っている。

 ソンは待望の4枚目の土地を引き、《守護フェリダー/Felidar Guardian(AER)》をプレイ。対する伊藤は《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KLD)》コンボを最も阻害できる盤面を考える。

r15_ito.jpg

 結果、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》をプレイして《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》と《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》を強化。その後《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》のみで攻撃を選択。こうすることで、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》も含めた3マナをオープンにしているため《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》がプレイでき、しかも当然《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》は1点を《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KLD)》に飛ばすことができる。

《サヒーリ・ライ》の天敵、《歩行バリスタ》

 一方のソンは手札に留まっている3枚の《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KLD)》を出すことぐらいしかできない。そして《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》が見えている前では当然コンボを発動することはできず、悲しく[+1]能力を使うのみでターン終了を宣言。伊藤が《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》を手札から見せると、ソンは素早くカードを片付けた。

ソン 0-1 伊藤


ゲーム2

 ソンが《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》、《ならず者の精製屋/Rogue Refiner(AER)》とプレイするも、2枚で土地が止まってしまう。伊藤はソンの土地が止まったことを確認して、すでに展開している《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》とのシナジーがある《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》より、ソンの《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》に《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》をプレイすることを優先。展開を阻害することを徹底する。

 依然として3マナで止まっているソンは《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》をプレイするものの、伊藤の攻め手の阻害にはこのか弱いアーティファクトでは何も役に立たない。

 そして、2ゲーム目はあっけない幕切れを迎える。伊藤が悪魔のように微笑みながらプレイしたのが《現実を砕くもの/Reality Smasher(OGW)》!

 《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》、《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》とともに攻撃に繰り出して、ソンはライフが一気に6まで落ち込む。

「ここまでたどり着いたのに、たどり着いたのに、あと残り一歩が届かないのか......」 ソンの心の声がフィーチャーエリアを包む。やっとの思いで出せる言葉も、力ない「Go」の一言のみ。伊藤にもその落胆は伝わる。しかし、確実に止めを刺し、次に向かうのがテーブルに対峙した者同士の宿命。

 再び《現実を砕くもの/Reality Smasher(OGW)》、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》、《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》を送り込む伊藤を見て、ソンはその健闘を讃え右手を差し出した。

r15_sun.jpg

ソン 0-2 伊藤

 ソンの悔しさが、フィーチャーエリアに染み渡っていく。それは観覧席にも伝わり、少しずつ観客が離れていく。ソンは必ずやこの悔しさをバネに再び日本のグランプリに戻ってきてくれるであろう。そして、伊藤2度目のトップ8入りに向けてあとはタイブレーカーの発表を待つのみ。

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