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【観戦記事】 第4回戦:齋藤 友晴(東京) vs. Justin Cohen(アメリカ)

【観戦記事】 第4回戦:齋藤 友晴(東京) vs. Justin Cohen(アメリカ)

By 伊藤 敦

 マジックには、人生を変える力がある。

 2015年のプロツアー『運命再編』で《精力の護符/Amulet of Vigor》《花盛りの夏/Summer Bloom》コンボを使用し、自身初のプロツアー参加ながら準優勝で2万ドルもの賞金を勝ち取るという、アメリカンドリームを体現したかのようなデビューを果たしたジャスティン・コーエン/Justin Cohenは、それ以後プロとして活動を始め、今シーズンもプロツアー『戦乱のゼンディカー』で33位、プロツアー『イニストラードを覆う影』で19位、チームリミテッドのグランプリ・ワシントンD.C.で優勝と、既に来期のゴールド・レベルを手中に収めており、プラチナ・レベルへの昇格をも目標として見据えている。

 「プロツアー優勝は、あなたにとってどんな意味がありますか?−−職に就かなくてもいい。」というトップ8プロフィールの回答でも知られるコーエンだが、その真意はさておき、少なくともプロツアーでの準優勝がなければコーエンがプロマジックの世界に飛び込むことはなかったと思われる。その意味で、マジックによって運命を再編されたプレイヤーの一人と言えるだろう (その後職に就いたかは定かではないが)。

 一方、マジックに人生を変えられたプレイヤーもいれば、それ以上に「人生をマジックに捧げよう」とまで考えるプレイヤーもいる。

 マジック専門店「晴れる屋」のオーナーとして日本のマジックコミュニティに貢献を続けてきた齋藤 友晴は、今期ついにプロツアーの出場権利が安定するゴールド・レベルに到達し、トッププロへの完全復帰を果たした。それだけでなく、マジック:ザ・ギャザリング世界選手権への出場という新たな領域に手を伸ばそうとしている。

 グランプリマスターレースの最終節となるこのグランプリは、齋藤にとっては一戦一戦が世界選手権の権利がかかった大一番だ。

 次のシーズンを、より充実したものとするために。3つの不戦勝が明け、プロプレイヤーたちにとっての大事な初戦が幕を開けた。

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ゲーム1

 緑黒の齋藤が《首絞め/Noose Constrictor》から《スレイベンの異血種/Thraben Foulbloods》と快調なビートダウン。

 一方これに対しコーエンはエンド前に《過去との取り組み/Grapple with the Past》をプレイ、墓地から拾い上げた《節くれ木のドライアド/Gnarlwood Dryad》をブロッカーに立たせる。

 だが、ここに齋藤の《闇の救済/Dark Salvation》「X=1」が突き刺さる!

 これにより除去+展開をワンアクションで実現した齋藤が、なおも続くターンに《遠沼の猟犬/Hound of the Farbogs》を戦線に追加すると、4ターン目にアクションがなかったコーエンは潔くカードを畳んだ。

齋藤 1-0 コーエン

ゲーム2

 《信者の杖/Cultist's Staff》から《容赦無い泥塊/Inexorable Blob》と再び展開で先行した齋藤に対し、コーエンは《茨橋の巡回兵/Briarbridge Patrol》がファーストアクションとなる。これは装備品で乗り越え、さらに《節くれ木のドライアド/Gnarlwood Dryad》を展開して《茨橋の巡回兵/Briarbridge Patrol》のアタックを相打ちで処理した齋藤は、続けてコーエンが送り出した《絡み爪の人狼/Tangleclaw Werewolf》を見て《マルコフの十字軍/Markov Crusader》でプレッシャーをかけにいく。

 だが、ライフを10まで落としつつも何とか6マナに到達したコーエンが送り出したのは《ウルヴェンワルドの観察者/Ulvenwald Observer》!

 さすがに殴りづらくなった齋藤は《遠沼の猟犬/Hound of the Farbogs》をプレイして戦線を横に伸ばしにいくものの、この隙にコーエンは《絡み爪の人狼/Tangleclaw Werewolf》を《繊維質の絡み屋/Fibrous Entangler》に変身させ、守りを盤石にしていく。

 逆に《嵐乗りの精霊/Stormrider Spirit》《不憫なグリフ/Wretched Gryff》と送り出して空からダメージを刻みにいくコーエン。だが、これは《エムラクールの加護/Boon of Emrakul》《首絞め/Noose Constrictor》と齋藤に引き込まれてすぐに止まり、互いに決め手に欠ける展開となる。

 齋藤の手札には《嘆き細工/Mournwillow》があり、「昂揚」さえ達成していれば一息にコーエンのライフを削り切れるのだが、《嘆きのグール/Wailing Ghoul》をプレイしても3種までしか墓地に落ちず、トップデッキを待つことしかできない。

 コーエン、齋藤、どちらも引いたカードをそのまま場に出すターンが続く。焦れるコーエンが「残り時間は?」とジャッジに聞くと「20分」。3本目を勝ちきるつもりならそろそろ決め手を引きたいところだ。

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 と、その思いがライブラリーに届いたのか。

 エンド前に《過去との取り組み/Grapple with the Past》をプレイしたコーエン、そのライブラリーからめくれたのは......《州民を滅ぼすもの/Decimator of the Provinces》!

 膠着した戦場においてこれ以上の決め手はない、というカードの登場に齋藤も思わず「ワーオ......」と感嘆を漏らす。

 やがて自身のクリーチャー陣のパワー+2の合計値から齋藤のクリーチャー陣のタフネスの合計値を引いても優に20点以上入ることを確認し終えたコーエンがフルアタックすると、それを見た齋藤は「アタックオール?オーケー、gg」とさっさとカードを畳み、勝負は3本目に持ち越された。

齋藤 1-1 コーエン

ゲーム3

 先手で《ケッシグをうろつくもの/Kessig Prowler》からの《首絞め/Noose Constrictor》、さらに《スレイベンの異血種/Thraben Foulbloods》と怒涛の展開を見せる齋藤に対し、コーエンは《巧妙なスカーブ/Ingenious Skaab》が初動となる。

 環境のスピードと齋藤のデッキの緑黒というカラーリングを見越した上での初動後手3ターン目キープが裏目に出てしまった格好だ。

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 この隙を見逃す齋藤ではない。《エムラクールの加護/Boon of Emrakul》で《巧妙なスカーブ/Ingenious Skaab》を除去し、このターン一気に7点を叩き込むと、コーエンのライフは残りわずか7点。

 《悟った狂人/Enlightened Maniac》でブロッカー2体を供給するが、《首絞め/Noose Constrictor》をチャンプブロックせざるを得ず、《スレイベンの異血種/Thraben Foulbloods》を相打ちにとるのみ。

 さらに《憑依された死体/Haunted Dead》を戦線に追加され、齋藤の猛攻が止まらない。

 その上、土地が4枚で止まってしまったコーエンはやむなく《絡み爪の人狼/Tangleclaw Werewolf》を送り出すのだが、これも《首絞め/Noose Constrictor》への解答とはならない。

 結局そのまま齋藤のビートダウンに押し切られてしまったのだった。

齋藤 2-1 コーエン

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