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【戦略記事】 魔の2番ポッド:山本 賢太郎のピック

【戦略記事】 魔の2番ポッド:山本 賢太郎のピック

By 伊藤 敦

 第7回戦のカバレージでも書いたように、このグランプリの上位は屈指の強豪揃いとなっている。

 そして2日目のドラフトはスタンディングの上位から8人ずつドラフトポッドに割り振られていく......ということはつまり、テーブルによっては8人中6人以上がプロなんていう恐ろしいドラフト卓が誕生するのだ。

 それがこの「魔の2番ポッド」......殿堂プレイヤーBen Stark、プロツアーチャンピオンCraig Wescoe、プラチナ・プロ山本 賢太郎、ゴールド・プロHuang Hao-Shan、シルバー・プロ高尾 翔太、チェコのプラチナ・プロPetr Sochurek、プラチナ・プロMichael Majorsという超ハイレベル卓である。

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ベン・スターク/Ben Stark
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クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoe
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ファン・ハオシャン/Huang, Hao-Shan
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高尾 翔太、ペトル・ソチュレク/Petr Sochurek

 ここではそんな「魔の2番ポッド」の中から、ドラフト巧者として知られるプラチナ・プロ、山本 賢太郎のピックの模様をお届けしよう。

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山本 賢太郎

1パック目

(以下、カッコ内は他の候補)

  • 1-1 《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》 (《集団的努力/Collective Effort》/《シガルダ教の僧侶/Sigardian Priest》)
  • 1-2 《夜明けのグリフ/Dawn Gryff》 (《猛々しい狼/Brazen Wolves》/《生命の危機/Certain Death》)
  • 1-3 《流電砲撃/Galvanic Bombardment》 (《信仰持ちの聖騎士/Faithbearer Paladin》/《ヴィルディン群れの除けもの/Vildin-Pack Outcast》/《生命の危機/Certain Death》)
  • 1-4 《猛々しい狼/Brazen Wolves》 (《巡礼者の守護霊/Guardian of Pilgrims》/《気紛れな霊/Mercurial Geists》/《生命の危機/Certain Death》)
  • 1-5 《不動の聖戦士/Steadfast Cathar》 (《不憫なグリフ/Wretched Gryff》)
  • 1-6 《夜明けのグリフ/Dawn Gryff》 (《ぼろぼろの憑依者/Tattered Haunter》/《墓ネズミ/Graf Rats》)
  • 1-7 《月皇の外套/Lunarch Mantle》 (《遥かなる旅路/Long Road Home》)
  • 1-8 《ファルケンラスの肉裂き/Falkenrath Reaver》
  • 1-9 《信者の杖/Cultist's Staff》
  • 1-10 《ファルケンラスの肉裂き/Falkenrath Reaver》 (《悟った狂人/Enlightened Maniac》)
  • 1-11 《信者の杖/Cultist's Staff》
  • 1-12 《大胆な刺突者/Bold Impaler》
  • 1-13 《血に飢えた斧/Thirsting Axe》
  • 1-14 《有事対策/Contingency Plan》

 いきなり爆弾級神話レア、《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》を開封!......したは良かったものの、横には《集団的努力/Collective Effort》もあり、下家とは確実に白が被ってしまいそうなのが残念だ。

 その後は可能な限り白を主張していきたいというところで、上家のBen Starkから《流電砲撃/Galvanic Bombardment》《猛々しい狼/Brazen Wolves》と赤のシグナルを渡される。

 転機となったのは5手目、《不動の聖戦士/Steadfast Cathar》と《不憫なグリフ/Wretched Gryff》との2択。カードパワー的には《不憫なグリフ/Wretched Gryff》一択だが、《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》を生かしたいことを考えると、《不動の聖戦士/Steadfast Cathar》をピックして白を絞り、下家には代わりに青の道を開けてあげることで《集団的努力/Collective Effort》をあわよくば切ってもらいたい、また仮にそうならなくても3パック目で上家優位の流れがもらえれば良い、と考えたのか、山本のチョイスは《不動の聖戦士/Steadfast Cathar》。

 直後の6手目に《ぼろぼろの憑依者/Tattered Haunter》が流れてきているのが不穏だったが、その後は赤の流れを感じさせるカードの余り方だけ見て1パック目が終了。

2パック目

(以下、カッコ内は他の候補)

  • 2-1 《サリアの槍騎兵/Thalia's Lancers》
  • 2-2 《粗暴な協力/Savage Alliance》 (《焼夷流/Incendiary Flow》/《信仰持ちの聖騎士/Faithbearer Paladin》/《捨て身の歩哨/Desperate Sentry》)
  • 2-3 《敵意借用/Borrowed Hostility》
  • 2-4 《信仰持ちの聖騎士/Faithbearer Paladin》 (《恩寵借用/Borrowed Grace》)
  • 2-5 《ステンシアの亭主/Stensia Innkeeper》 (《首絞め/Noose Constrictor》/《ウルヴェンワルドに囚われしもの/Ulvenwald Captive》/《書庫の霊/Geist of the Archives》)
  • 2-6 《狂乱した仔/Deranged Whelp》 (《不動の聖戦士/Steadfast Cathar》)
  • 2-7 《生命の危機/Certain Death》 (《絡み草の闇潜み/Lashweed Lurker》)
  • 2-8 《錬金術師の挨拶/Alchemist's Greeting》
  • 2-9 《恩寵借用/Borrowed Grace》 (《敵意借用/Borrowed Hostility》)
  • 2-10 《一所懸命/Give No Ground》
  • 2-11 《収穫の印章/Crop Sigil》
  • 2-12 《墓の収穫/Graf Harvest》
  • 2-13 《聖戦士の盾/Cathar's Shield》
  • 2-14 《大胆な刺突者/Bold Impaler》

 《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》と噛み合う《サリアの槍騎兵/Thalia's Lancers》を引いたことで、山本は白と心中する覚悟を固めたようだ。

 しかし2手目以降、有望な白のカードはほとんど流れてこない。結果からすると、下家のMichael Majorsはもちろん、下下家の「ミスター・ホワイト」Craig Wescoeも白を始めてしまっており、毎パック毎パックほぼ白が2枚抜けた状態で山本にパックが回ってくる状態となってしまっていた。

 さらに赤のカードの出がそれほど良くなかったことで、山本にとっては厳しい2パック目となってしまった。

3パック目

(以下、カッコ内は他の候補)

  • 3-1 《吠え群れの狼/Howlpack Wolf》 (《狂気の預言者/Mad Prophet》/《天使の粛清/Angelic Purge》)
  • 3-2 《グリフの加護/Gryff's Boon》 (《倒し霊/Topplegeist》/《血狂いの吸血鬼/Bloodmad Vampire》/《収穫の手/Harvest Hand》)
  • 3-3 《戦争に向かう者、オリヴィア/Olivia, Mobilized for War》 (《手に負えない若輩/Incorrigible Youths》)
  • 3-4 《内面の葛藤/Inner Struggle》 (《信条の香炉/True-Faith Censer》)
  • 3-5 《眠れぬ者の使者/Emissary of the Sleepless》
  • 3-6 《腕っぷし/Strength of Arms》 (《刺し込む光/Puncturing Light》/《放たれた怒り/Uncaged Fury》)
  • 3-7 《ガツタフの放火魔/Gatstaf Arsonists》 (《偏執的な教区刃/Paranoid Parish-Blade》/《霊体の羊飼い/Spectral Shepherd》)
  • 3-8 《腕っぷし/Strength of Arms》 (《枝細工の魔女/Wicker Witch》)
  • 3-9 《薬剤師の霊/Apothecary Geist》 (《枝細工の魔女/Wicker Witch》)
  • 3-10 《収穫の手/Harvest Hand》 (《血狂いの吸血鬼/Bloodmad Vampire》/《腕っぷし/Strength of Arms》)
  • 3-11 《ウルリッチの同族/Ulrich's Kindred》
  • 3-12 《隠れるホムンクルス/Furtive Homunculus》
  • 3-13 《蟻走感/Crawling Sensation》
  • 3-14

 それでも3パック目は順流れなので、豊潤な白のカードを受け取れるはず......と思いきや、いまいち流れてくるカードの質が悪い。

 それもそのはず、実は上家のBen Starkも白をやっており、白赤の山本にとって喉から手が出るほど欲しい良質の白いクリーチャーはすべて堰き止められてしまっていた。

 やむなく後手に回った際のテンポ返し用のカードとして《腕っぷし/Strength of Arms》を集める山本だが、爆弾級と言えるカードが《グリフの加護/Gryff's Boon》くらいしか確保できなかったのは辛いところ。

山本「デッキはまあまあです。ポジション的には青赤だったかな......1-5で《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》を切って《不憫なグリフ/Wretched Gryff》が取れたら行けたかも。でも、《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》を切る判断はなかなかできないね」

 やはり強者ばかりのドラフトポッドとなると一筋縄ではいかない。

 しかし山本がトップ8に入るためにはここで最低2勝以上を挙げる必要がある。また本人が最低目標として掲げていた「プロポイント2点上乗せ」のためには、2日目の成績は3勝3敗でいいとはいえ、セカンドドラフトを楽にするためにもこのファーストドラフトで可能な限り勝ち星を稼いでおきたいところだ。

 はたしてこの「魔の2番ポッド」を山本は切り抜けることができるのか。山本の戦いぶりに注目だ。

山本 賢太郎
グランプリ・シドニー2016 ファーストドラフト / 『異界月』『異界月』『イニストラードを覆う影』ブースタードラフト (2016年7月31日)
8 《山》
8 《平地》

-土地(16)-

2 《ファルケンラスの肉裂き》
1 《狂乱した仔》
1 《不動の聖戦士》
2 《夜明けのグリフ》
1 《猛々しい狼》
1 《収穫の手》
1 《吠え群れの狼》
1 《薬剤師の霊》
1 《折れた刃、ギセラ》
1 《ステンシアの亭主》
1 《眠れぬ者の使者》
1 《ガツタフの放火魔》
1 《サリアの槍騎兵》

-クリーチャー(15)-
2 《腕っぷし》
1 《敵意借用》
1 《流電砲撃》
1 《グリフの加護》
1 《信者の杖》
1 《月皇の外套》
1 《粗暴な協力》
1 《内面の葛藤》

-呪文(9)-
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