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【トピック】 プロツアー直前!地域別プレイヤーに練習スタイルを聞いてみた

【トピック】 プロツアー直前!地域別プレイヤーに練習スタイルを聞いてみた

by Masashi Koyama

 ここグランプリ・シドニー2016には世界中からプロ・プレイヤーが一同に会している。

 彼らの目的はこのグランプリではなく、翌週に行われるプロツアー『異界月』で、それぞれのチームが事前にシドニー入りし、各所で地域ごと、チームごとにシーズン最後の大イベントのための合宿が行われている。

 本記事では、各地域を代表するプレイヤーにショートインタビューをお願いし、彼らがどのようにプロツアーへの準備を進めているのかを聞いてみた。

日本―山本賢太郎

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 古くはプロツアー・サンディエゴ2007から活躍を続け、今年も2年連続プラチナ・プロとして世界を飛び回る山本。

 日本のトップ・プロはどのようにプロツアーに向けて準備しているのだろうか。

「新セットの発売日、金曜日の夜から日曜日の夜まで2日と少しくらいかけてドラフトをして、それ以外は基本的にドラフトはしないですね。大体9〜10回位ドラフトをして、その後に検討はしますが、ドラフト自体をすることは無いですね。合宿の後は構築ばかりです」

 リミテッドが強いと言われる日本勢だが、山本所属のTeam Cygames主催によるドラフト合宿を発売日週末に行ってからは、基本的にスタンダードのみを集中的に練習するとのことだ。

「前回のプロツアー『イニストラードを覆う影』から、プロツアー前に現地に行って構築合宿をする、ということを始めたんですが、それだとプロツアーの前週の木曜くらいから始める感じですね。」

 かつて中村修平がコラムで語っていたChannel Fireball合宿のように、日本勢も事前に現地入りし濃密な練習機会を増やす試みが開始されたようだ。

「(プロツアー前週のグランプリとプロツアーが同じ所で行われるということで影響はありますか?という質問に対し)そりゃあもう(大きいですね)。単純に時間節約になりますし、前回はグランプリ・北京2016からマドリードという旅程だったから......。現地のグランプリからプロツアーという流れはありがたいですね。日本から行く場合だと(今回と比べれば)体感で1日くらいは違いますから」

 現地でのグランプリとプロツアー連戦というのは、やはり良い影響が大きくありそうだ。プロツアーの舞台となることが多いアメリカやヨーロッパから距離がある日本からのプレイヤーはどうしても移動に時間がかかってしまいがちだ。

 そういった意味で、今回のプロツアーで埋まった「1日」がプロツアーでどういった影響を及ぼすのか。

 プロツアー『異界月』での日本勢の活躍に期待したい。

北米1―セス・マンフィールド/Seth Manfield(アメリカ)

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  プレイヤー・オブ・ザ・イヤーレース ぶっちぎりのトップ。現在世界最強といって差し支えないプレイヤーがセス・マンフィールドだ。

 彼が所属するチーム、East West Bawlには他にもプロツアー『ゲートウォッチの誓い』を制したジャアチェン・タオ/Jiachen Taoやパスカル・メイナード/Pascal Maynardなど次々と強豪を排出している。

 コンスタントに結果を残し続けるマンフィールドとそのチームメイトはどのようにプロツアーへ臨むのだろう。

「僕らが『ドラフト・キャンプ』と呼んでいる合宿があるんだけど、アメリカでプロツアーへの権利を持っているプレイヤーが集まって、10回くらいドラフトをするんだ。今回はその後に大体12回くらいドラフトをしたのかな」

 やはり発売日週末にドラフトを集中的に行うというのは日本の山本らとは変わらないが、その後も断続的にドラフト自体は行っているようだ。

「スタンダードも(新セットが発売すると)トーナメントで良い成績を残したデッキや、プロ・プレイヤーたちが好みそうなデッキ、常に念頭に置いてアップデートしていっているよ」

 マンフィールドは日本勢ほどハッキリとドラフト→スタンダードと練習期間を区切っているわけではなさそうだ。

 彼の強さはプロツアー、グランプリを問わず発揮されている。彼の強さはどこから来るのだろうか。

「どのトーナメントを目標にしているかによるけど、普段は日に6時間位、プロツアーの現地に着いてしまえば、例えば今回の場合、プロツアーまでの残りの数日は毎日12時間は練習すると思う」

 圧倒的な練習量。

 普段でも6時間は練習するというマンフィールド。年間獲得プロポイントも100点という大台が見えるほど1年中活躍を続けてきた彼とチームメイトのシーズンの締めくくりにも要注目だ。

北米2―オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald(アメリカ)

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 マンフィールドから10点以上離されているものの、ターテンワルドにとってプレイヤー・オブ・ザ・イヤーはまだまだ視界に入っていると行っていいいだろう。

 2011年にプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを手にしてから5年。常に一線級の活躍を続けているターテンワルドもまた、北米を代表するマジックプレイヤーだ。

「プロツアーには通常2週間、正確には12日前に現地入りして、Team Pantheonのチームメイトと練習するね。最初のうちは2つのフォーマットに費やす時間は同じくらいで、朝起きて2回ドラフトをして、スタンダードをやって、またドラフトをして......。段々と構築の比率を上げていく感じだね」

 構築に重きをおく点では山本やマンフィールドと変わらないが、Team Pantheonではいわゆる「ドラフト合宿」のようなスタイルではないようだ。

「今回も早めにシドニーに到着してレンタルハウスで練習しているんだけど、時間の使い方という意味ではより効率的だね。より理にかなった練習ができると思う。それにグランプリマスターレースで争っているプレイヤーや、より高いプロ・レベルを目指すプレイヤーはグランプリに参加しやすくなっているしね」

 やはり、プロたちにとって直前グランプリとプロツアーが同じ場所で開催されるというのは時間効率の面で大きなメリットがあるようだ。

「僕は本当にマジックをプレイするのが大好きなんだ。それに、努力をしてトーナメントで良い成績を残して、より良い成績を残すよう努力して......というのは僕にとって大事なことで、僕を満足させてくれるんだ」

 本年度の殿堂入りも有力視されているターテンワルド。

 プロツアー『異界月』でも彼の大好きなマジックが待っている。

欧州―ヨエル・ラーション/Joel Larsson(スウェーデン)

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 昨年のプロツアー『マジック・オリジン』で優勝を遂げたスウェーデンのヨエル・ラーション。

 彼もまた、プロツアーに向けてはるばる欧州からやってきたプレイヤーのひとりだ。

「プロツアーに向けて5日から6日くらいドラフトをしますね。プロツアー期間以外ではあまりドラフトをすることはありません」

 若干、山本やマンフィールドに比べると長めにドラフトのための準備期間を取っているようだ。とはいえ、ある程度スタンダードについても並行して準備をしているようだ。

「トータルで10日前後1人でスタンダードのため時間を費やします。場合によりますが、チームで練習する期間は5日から1週間といったところかと思います」

 意外だったのは、ラーションは1人で調整する期間が長く、チームでの練習期間はそこまで取っていないようだ。ヨーロッパは各国に分かれてチームメイトがいるため、もしかすると1ヶ所に集まることが難しいのかもしれない。

「重要なのは、各フォーマットの。テクニカルな部分とメタゲームの両方をいかにして適切に読むことができるか、というところです」

 ラーションが環境を読みきったプロツアー『マジック・オリジン』では数々の強豪を撃破して戴冠を成し遂げた。

 既に来期のプラチナ・レベルが確定しているラーション。プロツアー『異界月』でのさらなる躍進が期待される。

南米―ウィリー・エデル/Willy Edel(ブラジル)

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 昨年殿堂入りしたブラジルのウィリー・エデル。古くは「Kajiharu80」=齋藤友晴、鍛冶友浩、八十岡翔太が優勝したプロツアー・チャールストン2006のファイナリストとしてプロシーンに登場した。

 それから10年。念願の殿堂プレイヤーとなった彼は母国ブラジルを拠点として、プロツアーへの準備を進めている。

「普段のプロツアーだと、スタンダードが8%、ドラフトが92%くらいの割合で準備しているね」

 これは驚きだ。他の地域のプレイヤーが構築に重きを置いているのに対し、ブラジルでは圧倒的にドラフトの練習比率が高いという。

「これまではその比率だったんですが、私はスタンダードが大好きですしもっとプレイしたいので、みんなにせめて50対50の比率にするように勧めているんですけどね......。今回は月曜日にシドニーに着いて、こなしたドラフトは8回といつもより少ないですね」

 今回は他のチームに近い比率で準備を行ったエデル。

 グランプリ初日を突破して感触は良好のようで、プロツアーへ期待が持てる結果となりそうだ。


 プロツアー直前とあってあまり踏み込んだ話を聞くことはできなかったが、各地域のプレイヤーごとにフォーマットごとの調整には若干の違いがあるようだ。

 来週行われるプロツアー『異界月』ではどの地域のプレイヤーが躍進するのか。そんなところにも注目して観戦するのも面白いかもしれない。

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