By 宮川 貴浩

「よりによってフィーチャーで身内に当たるとは」

　そんな声が、両プレイヤーから聞こえてきた。

　４回戦に登場するのは、グランプリ・北京2016での優勝が記憶に新しい菅谷だ。ジャッジとしても活動する菅谷は、昨日はジャッジとして、今日からはプレイヤーとして本大会に参加している。２つの不戦勝から順調に駒を進め、ここまでやってきた。

　対する田村は、不戦勝なしから全勝で駆け上がってきたという。対戦相手の名前を確認して苦笑いしていたが、すでに３試合をこなしているぶん、エンジンはばっちりかかっているだろう。

　和やかな雰囲気の中、試合は始まった。

にこやかに談笑しながら試合の準備を進める両プレイヤー。緊張はなさそうだ。

ゲーム１

　７枚の手札を見て、菅谷は即マリガンを宣言する。田村もしばらく悩んだのち、同じくマリガンを選択した。お互いに６枚の手札、マリガン後の占術はそのまま一番上に置き、静かにゲームが始まった。

　初アクションは、菅谷の《ラムホルトの平和主義者》。序盤は土地を置くだけの田村に対し、菅谷は《ニッサの誓い》、《森の代言者》と淀みなく展開する。

　田村のファーストムーブは、予想外のものだった。《無限の抹消》。サイドボードにとられているか、《闇の誓願》でサーチするために１枚挿しされていることが多いこのカードでスタートするのは、本来の動きではないのかもしれない。菅谷の４枚の《大天使アヴァシン》を追放することに成功するが、盤面に触れることはできない。

　菅谷の手札は《ドロモカの命令》、《梢の眺望》、《ウェストヴェイルの修道院》と追加のクリーチャーこそないものの、すでに送り出されている戦力は田村のライフを脅かすのに十分だ。

　田村も《破滅の道》、《衰滅》と惜しまず除去を使って盤面をまっさらにし、一息ついたかに見えたが、返しに着地したのは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》。これには田村も苦しそうな声をあげた。

　菅谷がさらに《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》を追加して盤石の場を築くと、田村は《荒野の確保》で生み出した戦士・トークンをチャンプブロックに回さざるを得ない。

　この時点で既にライフは４。田村は２枚の《闇の誓願》から《苦渋の破棄》、《衰滅》とサーチするが、それらを使う猶予なく、菅谷が田村のライフを削りきった。

菅谷 1-0 田村

ゲーム２

　再びのマリガンを選択したあと、もしキープしていたら......とライブラリーのトップを確認し、「上２枚が土地だった！」と悔しそうな表情を見せる田村。菅谷も笑顔で応じながら、マリガンを宣言する。

　改めて６枚の手札を確認する田村だが、そこには土地が色マナの出ない《ウェストヴェイルの修道院》のみ。思わず「さっきより悪化してるー」と心の声がもれる。ゲーム２は田村が５枚、菅谷が６枚の手札で開始された。

度々のマリガンに悩まされる田村。厳しい条件の中、最適解を導き出せるか。

　このゲームのファーストアクションは、菅谷の《進化の飛躍》。除去が多いであろう田村のデッキに対しては、アドバンテージの面で非常に効果的なカードだ。

　菅谷は《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》で生み出した植物トークンを生け贄に、早速《進化の飛躍》で《大天使アヴァシン》を入手。しかし、これは田村が即座に《闇の掌握》で除去した。

　田村は《悪性の疫病》で菅谷のトークン戦略を封じ込め、マリガンの損失を取り戻すべく《骨読み》で《森》、《闇の誓願》を手札に加える。だが、菅谷の２枚目の《大天使アヴァシン》に対処することができない。

　そして、田村が盤面に干渉できないでいるうちに、ついに菅谷の《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の［-7］能力が炸裂した。７枚ドロー、７点ライフゲインの圧倒的なアドバンテージが菅谷にもたらされる。

　田村は２枚目の《悪性の疫病》を置き、《無限の抹消》でこれ以上の《大天使アヴァシン》を許さないが、すでに戦場に出てしまっている脅威はいかんともしがたい。

　菅谷が《森の代言者》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、《搭載歩行機械》とダメ押しの戦力を追加すると、田村は速やかに投了を宣言した。

これでグランプリのマッチ16連勝となる菅谷。 少々気が早いが、グランプリ連続トップ８入賞に期待せずにはいられない。

菅谷 2-0 田村