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グランプリ・東京2016

観戦記事

第8回戦:宮本 寛弥(千葉) vs. 八十岡 翔太(東京)

By Sugiki, Takafumi

 あの殿堂がフィーチャーマッチ・エリアに姿を表した。その名は八十岡 翔太(東京)。プロツアー『タルキール龍紀伝』で準優勝し、個人戦初めてのプロツアートップ8入りを果たすと、その実績も伴って2015年のマジック・プロツアー殿堂入り。勢いをそのままに、先日行われたプロツアー『イニストラードを覆う影』でもトップ8入りを果たしている。

 そのプロツアー2回ともで八十岡をトップ8に導いたのは、「エスパー・ドラゴン」と呼ばれる青黒のカウンター・除去に《龍王オジュタイ》を組み合わせたデッキ。もはや八十岡は「エスパー・ドラゴンの化身」と言っても過言ではない。

 対する宮本 寛弥(千葉)は、普段は千葉の草の根トーナメントであるLMCや晴れる屋等で研鑽するプレイヤーで、グランプリ・横浜2012でトップ8入りの実績がある。

 八十岡がダイスロールに勝ち、先攻でゲームをスタートした。


宮本 寛弥 vs. 八十岡 翔太
ゲーム1

 先攻の八十岡は、《龍王オジュタイ》、《衰滅》、《究極の価格》、《精神背信》と土地が3枚という手札をキープ。

 八十岡は2ターン目、《大草原の川》、《》から、《精神背信》はプレイせず、《究極の価格》を構える立ち上がり。これがぴったりと宮本の《ヴリンの神童、ジェイス》を討ち取る。

 八十岡は《精神背信》をここでプレイ。しかし、宮本の手札には幸か不幸か《森の代言者》、《ヴリンの神童、ジェイス》などの2マナ以下のカードしかなく、手札から何も減らすことができない。宮本がプレイした《森の代言者》を、八十岡は贅沢に《衰滅》で1対1交換。

 宮本の4ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》の返しに、八十岡は《龍王オジュタイ》を出したいところであったが、5枚目の土地を引き込むことができず、何もせずターンを返す。宮本が自らのターンに《ヴリンの神童、ジェイス》の能力を起動してターンを返したところで、八十岡は少考。手札には《オジュタイの命令》があり、確実に土地を引き込むために1ドローと4点ゲインのモードで使うかを検討しているのだ。

 八十岡は《オジュタイの命令》を1ドローに使うことを選択したが、しかし通常ドローを合わせても5枚目の土地が引き込めない。対して宮本は八十岡が《オジュタイの命令》ですべての土地をタップし、隙ができたタイミングで《集合した中隊》を通し、《薄暮見の徴募兵》2体を盤面に追加している。

 八十岡は4マナのうち3マナを使い《苦い真理》でドローを進め、待望の5枚目の土地を引き込む。《大草原の川》をプレイし、《否認》を構えてターンを返した。

 宮本が《薄暮見の徴募兵》2体で攻撃をし、八十岡のライフは15。宮本の《ヴリンの神童、ジェイス》は《束縛なきテレパス、ジェイス》となり、墓地の《集合した中隊》を[-3]能力でプレイしたところに、八十岡はしっかりと《否認》を合わせ、宮本が《森の代言者》を盤面に追加してターンを終了する。

 八十岡は待望の《龍王オジュタイ》を盤面に追加。対して宮本は《薄暮見の徴募兵》2体と《森の代言者》で強引に八十岡のライフを削りに行き、《薄暮見の徴募兵》は《龍王オジュタイ》に返り討ちとなるものの、八十岡のライフは9まで落ち込む。

 八十岡は《龍王オジュタイ》で《束縛なきテレパス、ジェイス》を攻撃し墓地送りにした後、意外なカードを手札から繰り出す。それは《悲劇的な傲慢》。宮本の盤面には《薄暮見の徴募兵》1体と土地のみとなる。

 これには宮本もしびれてしまい、《薄暮見の徴募兵》の能力で手札に加えた《反射魔道士》で《龍王オジュタイ》を手札に戻し、《薄暮見の徴募兵》で攻撃して八十岡のライフを7とするのみ。

 対する八十岡は《衰滅》で《薄暮見の徴募兵》を墓地送りにし、《強迫》で《ドロモカの命令》を抜き、安全確認。《龍王オジュタイ》を再び盤面に出し、ゲームを掌握する。

 宮本はここから《変位エルドラージ》、《巨森の予見者、ニッサ》とトップデッキし、盤面を保とうとするものの、《龍王シルムガル》が《変位エルドラージ》を宮本から奪い去る。盤面に《死の宿敵、ソリン》も追加した八十岡が、長い1ゲーム目を先取した。

宮本 0-1 八十岡


八十岡 翔太

 八十岡は、宮本の軽めのクリーチャーに合わせにくい《オジュタイの命令》などをサイドアウトし、《ヴリンの神童、ジェイス》や《薄暮見の徴募兵》対策となる《死の重み》などをサイドインする。

ゲーム2

 八十岡は手札に《》、《コイロスの洞窟》とクリーチャー除去呪文がたくさんといった手札をキープしたが、3枚目の土地を引くことができない。対する宮本も1ターン土地が2枚で止まってしまうが、先に《伐採地の滝》、《進化する未開地》と土地を引き込み、八十岡が触れない《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を盤面に出す。

 八十岡は1ターン遅く手札に駆けつけた《精神背信》で、宮本に後続の攻め手をもたらす《集合した中隊》を手札から追放するも、宮本はさらなる《集合した中隊》をトップデッキし、《森の代言者》を盤面に加える。

 手札に余っている《闇の掌握》で《森の代言者》を除去するなど八十岡が抵抗を見せる間も、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は5点のダメージを刻み続ける。

 ものの数分で宮本が2ゲーム目を取り返した。

宮本 1-1 八十岡


宮本 寛弥
ゲーム3

 八十岡はマリガン後手札をキープし、2ターン目の《強迫》で宮本の手札にあるであろう《集合した中隊》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を狙う。

 しかし宮本の手札は《薄暮見の徴募兵》、《森の代言者》、《巨森の予見者、ニッサ》、《反射魔道士》といった強いクリーチャーにまみれており、何も捨てさせることができない。これにはさすがの八十岡も「手札強いなー」とぼやかざるを得ない。

 宮本が《薄暮見の徴募兵》、《棲み家の防御者》、《変位エルドラージ》と展開するのに対して、八十岡は3ターン目のアクションが《苦い真理》であったため、除去が後手後手にまわり、2点ずつダメージが入っていく。

 八十岡は自身の代名詞とも言える《龍王オジュタイ》を盤面に追加するも、クリーチャーが並ぶ宮本に対してうかつに攻撃に向かわせることができない。打開策を探るため、2枚目の《苦い真理》をプレイし、《悲劇的な傲慢》を引き込む。

 八十岡が次のターンにその《悲劇的な傲慢》をプレイするが、宮本はしっかりそれを《否認》する。こうなると、ゲームは宮本のペース。《巨森の予見者、ニッサ》をプレイし、すぐに《精霊信者の賢人、ニッサ》へと変身させ、4/4の「アシャヤ」・クリーチャー・トークンを出す。

 八十岡はこれまでのエスパー・ドラゴンではあまり見なかった《保護者、リンヴァーラ》を盤面に加える。5点のライフと3/3のクリーチャートークンは確かにこの盤面には非常に強力な1枚だ。

 しかし、対する宮本も負けてはいない。《不屈の追跡者》を加え、長期戦にも強い盤面を作り上げる。《変位エルドラージ》の能力を使うための《荒地》もきちんと確保できており、《反射魔道士》との強烈なコンボも見えている。

 このままではジリ貧となる八十岡は《龍王シルムガル》を盤面に加え、《変位エルドラージ》を味方に加えようとするが、当然宮本の《変位エルドラージ》が《反射魔道士》をブリンクし、《龍王シルムガル》を手札に返して能力を阻害する。

 八十岡は宮本のアドバンテージ源の一つである《精霊信者の賢人、ニッサ》を《龍王オジュタイ》で攻撃し除去することに成功するが、依然として厳しい。

 宮本はここが攻め時と判断し、自身のターンに《変位エルドラージ》で《反射魔道士》をブリンクして《保護者、リンヴァーラ》、《龍王オジュタイ》を戻し攻撃に転じる。

 八十岡は《ヴリンの神童、ジェイス》を《束縛なきテレパス、ジェイス》として、墓地にあった《悲劇的な傲慢》でリセットをするも、宮本は《伐採地の滝》を攻撃に向かわせ、《束縛なきテレパス、ジェイス》を葬り去る。

 八十岡は盤面を支えるために、再度《保護者、リンヴァーラ》をプレイするも、そこに突き刺さる宮本の《オジュタイの命令》。カウンターと、墓地からクリーチャーを釣り上げるモードを選択し《薄暮見の徴募兵》が帰ってくる。八十岡は《龍王オジュタイ》をブロッカーとしてプレイしターンを返す。

 宮本はここから最後の力を振り絞り、八十岡の残りのライフを削りに行く。《森の代言者》をプレイしてから《伐採地の滝》2体と《薄暮見の徴募兵》で八十岡を攻撃し、八十岡は《龍王オジュタイ》を《伐採地の滝》との相討ちに差し出さざるを得ない。これで八十岡のライフは4。

 八十岡は《龍王シルムガル》で《森の代言者》を奪い、土俵際で粘るも、宮本の手札からは無常の《反射魔道士》。宮本がダメ押しの《集合した中隊》から《変位エルドラージ》を見せたところで、八十岡は投了を選択した。

宮本 2-1 八十岡

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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