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【観戦記事】 決勝:北山 雅也(神奈川) vs. 趙 天宇(東京)

【観戦記事】 決勝:北山 雅也(神奈川) vs. 趙 天宇(東京)

By Masami Kaneko

 グランプリ。その舞台、そのタイトルは、多くのプレイヤーの憧れだ。

 プロプレイヤーに憧れる人たちにとっても、そして、プロプレイヤー達にとっても。


 「日本選手権優勝」という、一般的には十分なタイトルを持つプロプレイヤーである北山も、しかしグランプリタイトルに憧れる一人だ。

 かつて北山は『浅原連合』というコミュニティで研鑽を積む若手プレイヤーだった。

 あの浅原晃の元に集ったメンバーでレベルの高い練習を積んだそのコミュニティの仲間たちは、どんどん結果を残していった。小室が、志村が、大澤が、グランプリやプロツアーという大舞台で勝利した。北山は、まだ勝てなかった。


Stardust Crusaders

 グランプリ・浜松2006でついにグランプリという舞台での準優勝を果たした北山は、翌年2007年には日本選手権で優勝し、念願の個人タイトルを手に入れた。しかし、その後のグランプリやプロツアーの大舞台では結果を残せずに悔しい思いをすることが多かった。

 浜松でStardust Crusadersというチームを組んで準優勝した仲間、浅原 晃はもうその時点ではグランプリ・京都2003でタイトルを取っていた。同じくチームメイトの八十岡 翔太も、個人タイトルに苦しみながらもグランプリ・神戸2011で個人タイトルを獲得している。

 安定した結果を残せるようになり、いわゆる「グレイビー」組となり「若手」とは言われなくなった北山は、しかしそれでもタイトルを渇望していた。タイトルを、どうか、個人でのタイトルを。


 そして、今、北山はここにいる。

 グランプリの決勝戦に。




 対する趙は、まだ大きな舞台では結果を残したことのない、いわゆる「若手」と呼んでいいプレイヤーだ。東京で、Magic Onlineで練習を積んでいる。今まで結果を残していないとはいっても、2297人の頂点に手が届こうという実力は本物だろう。決勝ラウンドでもあの「魔王」三原を倒しての堂々たる決勝進出だ。

 そして今日はなんと、趙の誕生日だという。神が、勝利の女神が趙に祝福を与えている。神の祝福で「魔王」を倒してきた。ここでさらに北山を倒し、天からの贈り物として、グランプリというタイトルを持ち帰ることができるのか。


 ビートダウン環境と言われたこの『ギルド門侵犯』環境で、オルゾフvsディミーアというどちらかというとコントロール寄りのギルド対決となった決勝。しかし二人のデッキもギルドこそコントロール寄りだが、デッキはビートダウンもできる前のめりな構成に仕上がっている。ライフレースとカードアドバンテージ、双方での駆け引きが楽しめる、テクニカルな戦いに期待しよう。


 このマッチで、2日間続いたこの舞台は幕引き。閉幕までのカウントダウン。そこで決まるのは、2297人の頂点。グランプリ勝者というタイトル。

 全てを決める戦いが、今、始まる。


決勝戦!
ゲーム1

 お互い2ターン目には動かないコントロール同士らしい立ち上がりからゲームは始まった。

 北山の《聖堂の護衛/Basilica Guards(GTC)》からゲームは動き出す。続くターンに《聖堂の金切り声上げ/Basilica Screecher(GTC)》で強請を始める北山、しかしそこで土地が止まってしまったうえに、趙の《ディミーアの魔除け/Dimir Charm(GTC)》が飛ぶ。

 趙に《欄干のスパイ/Balustrade Spy(GTC)》が追加され、北山も《ザリーチ虎/Zarichi Tiger(GTC)》を追加。《欄干のスパイ/Balustrade Spy(GTC)》がダメージを与え、入れ替わりで現れる《鍵達人のならず者/Keymaster Rogue(GTC)》。非常に止めにくいダメージクロックが北山に突きつけられた。

 ぼーっとしていてはいけないと、北山の《ザリーチ虎/Zarichi Tiger(GTC)》は攻撃を開始し、《地底街の密告人/Undercity Informer(GTC)》を追加する。地上vs回避能力。

 趙は《鍵達人のならず者/Keymaster Rogue(GTC)》で攻撃しつつ《欄干のスパイ/Balustrade Spy(GTC)》を再召喚。回避能力でのクロックを着々と積み上げていく。

 北山は地上から4点のダメージを与え、《スラルの寄生虫/Thrull Parasite(GTC)》を追加。ライフを戦闘のみではなく強請でも攻められる盤面を作っていく。

 回避能力で攻撃しているはずなのにライフ差がついてしまって厳しい趙、しかしここで盤面を全て止めることができる《門なしの守護者/Guardian of the Gateless(GTC)》! さしずめこの天使は趙の勝利の女神か。

 北山は《亡霊招き/Beckon Apparition(GTC)》で1/1飛行トークンを追加するとともに強請を使用。ライフを少しずつ詰めていくが、《門なしの守護者/Guardian of the Gateless(GTC)》で攻撃自体は止まってしまっていて少し苦しいか、と思いきや《忌まわしい光景/Grisly Spectacle(GTC)》が炸裂! 悲しくも趙の女神は消え去ってしまった。盤面を北山のクリーチャー達が駆け抜け、趙のライフは一気に3。2体の強請持ちを抱える北山を相手にするにはなんとも心もとないライフだ。

 女神を失った趙は苦しい......と思いきや。《夜翼の呼び声/Call of the Nightwing(GTC)》をプレイし《鍵達人のならず者/Keymaster Rogue(GTC)》に暗号化したうえで、神よりの、誕生日の贈り物、もとい《オルゾヴァの贈り物/Gift of Orzhova(GTC)》を《欄干のスパイ/Balustrade Spy(GTC)》にプレイ! 防御不可能なダメージが北山に降り注ぎ、さらに趙のライフを安全圏に戻す。女神が居なくなったと思えば神からの贈り物が与えられる。やはり今日の趙は神に祝福されているのか。

 北山はアンタップの後にじっくり考える。この盤面から果たしてライフを削りきれるのか。もたもたしていては自分が殺される......

 意を決した北山、全てのクリーチャーで攻撃。趙は《夜翼の呼び声/Call of the Nightwing(GTC)》のトークンで《スラルの寄生虫/Thrull Parasite(GTC)》と《地底街の密告人/Undercity Informer(GTC)》をブロック。しかしこの《スラルの寄生虫/Thrull Parasite(GTC)》は《守られた道/Shielded Passage(GTC)》で守られ、しかも強請により趙のライフを削っていく。

 その返しのターンの攻撃により趙のライフは4に、北山のライフは5に。ダメージレースは接戦だ。趙は《死体の道塞ぎ/Corpse Blockade(GTC)》を出したうえで、《殺意の凝視/Killing Glare(GTC)》を《ザリーチ虎/Zarichi Tiger(GTC)》にプレイしてターンを終えた。

 ついに盤面が止まってしまった。あとはもう、ライフは強請で詰めるしかない。北山は《徴税理事/Syndic of Tithes(GTC)》を追加し2点。趙のライフを2にはできたが、しかし攻撃することができずターンを終えた。


北山 雅也

 趙はじっくり考えたうえで《欄干のスパイ/Balustrade Spy(GTC)》と《鍵達人のならず者/Keymaster Rogue(GTC)》で攻撃。北山は《欄干のスパイ/Balustrade Spy(GTC)》を1/1飛行のトークンでブロックのうえで、《地底街の密告人/Undercity Informer(GTC)》で生け贄に捧げてライフの回復を防ぐ。細かいところだが、今は勝負を分ける大切なテクニックだ。

 そう、趙のライフは2。2なのだ。そして、北山の手元には2枚の強請持ちクリーチャー。

 北山はゆっくりとアンタップし、そしてたった今引いた7枚の土地から《騎士の見張り/Knight Watch(GTC)》をプレイした。そう、趙のライフは2。プレイしたのは5マナの呪文。場には、7枚の土地。

 強請。身を守る手段であり、そして、相手に止めを刺す能力。

北山 1-0 趙

 幕引きへのカウントがひとつ進んだ。

 決勝という舞台に緊張の色を隠せない両者。

 北山など手が震えている。それもそうだろう。あの夢にまで見たグランプリの、そのタイトルが目の前に迫っているのだから。

 趙もまた、勝ちたい。この誕生日という神に祝福されし日に、タイトルを。勝利の女神による祝福を。


 お互いに勝利の願いを込めてシャッフルし、デッキを差し出した。

ゲーム2

 北山はマリガンスタート。とはいえ趙の手札も《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor(GTC)》《ディミーアの魔除け/Dimir Charm(GTC)》と土地5枚、攻めるには心もとない。追加のクリーチャーが引けるかどうかというところだ。

 《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor(GTC)》《従順なスラル/Dutiful Thrull(GTC)》と1ターン目こそ2人とも好調に見えたが、2ターン目に北山は土地を置くことができない。趙は《オルゾフの魔鍵/Orzhov Keyrune(GTC)》を追加し、4ターン目には《鍵達人のならず者/Keymaster Rogue(GTC)》が追加される。ここでもまだ土地が引けない北山、後手で土地を引くことに賭けたキープが裏目となった。


趙 天宇

 なんとか土地を引いて《徴税理事/Syndic of Tithes(GTC)》を出してみるものの、これには即座に《ディミーアの魔除け/Dimir Charm(GTC)》が。そして《ダスクマントルのギルド魔道士/Duskmantle Guildmage(GTC)》が《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor(GTC)》を成長させ、《オルゾフの魔鍵/Orzhov Keyrune(GTC)》も含めた全軍攻撃。

 北山、無念の投了。

北山 1-1 趙

 終演へのカウントダウンが2つ刻まれ、ついに最後のカウントが刻まれる時が来た。

 2日間続いたこの舞台の閉幕。幕が、引かれようとしている。

 最後のゲーム。

 両者緊張の面持ちで、デッキを差し出した。

ゲーム3

 北山の《スラルの寄生虫/Thrull Parasite(GTC)》と趙の《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor(GTC)》から最後の幕が下り始めた。

 2ターン目にも《カルテルの貴種/Cartel Aristocrat(GTC)》と展開した北山に対して、趙は展開できない。さらに《カルテルの貴種/Cartel Aristocrat(GTC)》の2枚目を追加したうえで強請を起動する北山。

 そして、趙は土地が2枚で止まってしまった。幕の下りる速度は加速する。何もできない趙を尻目に、攻撃の後に《宮廷通りの住人/Court Street Denizen(GTC)》を加える北山。

 趙も《大都市のスプライト/Metropolis Sprite(GTC)》でなんとか守りを固めようとするも、北山の攻撃は止まらない。《宮廷通りの住人/Court Street Denizen(GTC)》を、《大都市のスプライト/Metropolis Sprite(GTC)》と1/2に進化した《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor(GTC)》の2体でブロックしたが、《スラルの寄生虫/Thrull Parasite(GTC)》の能力でもって《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor(GTC)》が0/1に戻ってしまい一方的に討ち取られてしまう。

 そして。

 北山の《聖堂の金切り声上げ/Basilica Screecher(GTC)》がその聖堂の鐘を鳴らし、この舞台の幕引きを告げた。

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北山 2-1 趙

 閉幕。この「グランプリ・横浜」という舞台は今、終わりを迎えた。

 北山を祝福するために、仲間たちが集まってくる。北山の願ったグランプリというタイトルは、今その手の中に。仲間たちと共に。


喜びは仲間と共に

 この舞台は閉幕した。しかしそれは、次の舞台の始まりだ。プロプレイヤーである北山にはまた、次の戦いが、新たな舞台が用意されている。北山の、これからの更なる活躍を願おう。

 そして何よりその前に、この舞台の勝者に最大限の祝福を。


グランプリ・横浜2013チャンピオン、北山 雅也

 おめでとう、北山雅也!

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