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日本選手権11

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Round 4: 大礒 正嗣(2008) vs. 諸藤 拓馬(2005)

By Takamasa Sato  日本選手権もスイスラウンドの全14試合が終了し、会場は閑散とし始めている。  とはいえ、広く使えるようになったテーブルではそこかしこでドラフトやフリープレイが行われており、プレイヤーたちの笑顔は絶えない。  会場の一角。フィーチャー・エリアの周辺に、一際楽しそうにデッキをシャッフルする者たちがいる。  周囲にはいつもの通りギャラリーと友人たちが群がり、相対する二人も談笑しながら試合の始まりを待っている。 BoC Round 4  大礒 正嗣。2003年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、プロツアートップ8にもこれまでに6回の入賞を果たしている。  その輝かしき経歴から「ルーキー」「世界のISO」と呼ばれる、2008年日本選手権王者。  諸藤 拓馬。2005年に日本代表チームを世界選手権団体優勝に導いた立役者。  にぎやかなトークと明るいキャラクターで、日本のみならず世界中のプレイヤーから親しまれている。  二人はともに一敗ラインであり、ここで勝てばオポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージによっては決勝進出の可能性がある。  だけど、二人は笑っている。いつものようにカードを引き、いつものように会話し、いつものようにカードを並べている。  この勝負の先にあるのは一際輝く王冠だというのに。その王冠に挑む権利を得るのは、どちらか一人だというのに。  バトル・オブ・チャンピオン。それは、王たちの祭典。  王たちは誰よりもこの祭典を楽しんでいる。さあ、観客である私たちも、共に楽しもう。
Game 1
大礒 正嗣
2008年王者・大礒 正嗣
 ダイスロールの結果、先攻は諸藤。互いに即キープ。  ファーストアクションは大礒の《ゴブリンの長槍使い》。  諸藤は《困窮》。  公開された《ダングローブの長老》《真紅の魔道士》《血まみれ角のミノタウルス》、《ショック》《チャンドラの憤慨》《ガラクの仲間》から、《ダングローブの長老》を抜く。  大礒、続けて《真紅の魔道士》。  しかし、3枚目の土地が引けない。  諸藤、《精神腐敗》で大礒から《血まみれ角のミノタウルス》と《ガラクの仲間》を奪うと、  大礒のライブラリーに言い聞かせるように「次(の大礒のドロー)はランドではなーい」と呟きつつエンド。  しかし、大礒はしっかり土地を引き込む。  《ルーン爪の熊》を出し、速攻をつけてビートダウン。  諸藤はたまらず《ソリンの渇き》で《真紅の魔道士》を除去。  さすがに4枚目の土地は置けない大礒は、何もしない諸藤の隙を突き、コンバットで狂喜を達成しての《血のオーガ》。  返しに諸藤は《復讐に燃えたファラオ》!  これには大礒、「ぎえー!」と一声。  しかし、殴ってからの《ショック》で《復讐に燃えたファラオ》を除去と、行動は冷静である。  そんな大礒に襲いかかった次なる爆弾カードは《ウスーンのスフィンクス》!  大礒が諸藤のライブラリーからめくれた5枚を、  に分け、諸藤は後者を選択。 諸藤 「ええの? 《思案》を渡して? ええの? 《ソリン・マルコフ》引いてまうで?」 大礒 「(デッキの中身を)ばらしてるじゃないですか!」  次のターンのアタックで、諸藤は残りライフ6。  大礒は《聖なる狼》を追加してそのままエンド。 大礒の戦場
マジックを始める緑赤のお手本のような、大礒側の戦場
(《チャンドラの憤慨》が表向きなのは《困窮》で明らかになっているため)
 諸藤、予告通り《思案》。  しかし、3枚に切望する《ソリン・マルコフ》は含まれていない。  仕方なく3枚を上から順に《否認》《縞瑪瑙の魔道士》《破滅の刃》と積み、ドロー。  またも言い聞かせるように「土地は引けないはずやんな」と呟き、《空回りのドレイク》をプレイしてエンド。  本当に土地を引けず、何も出来ない大礒は全軍突撃。これで諸藤のライフは2。  さらに《ゴブリンの投火師》を追加して、諸藤にタイムリミットを突きつける。  諸藤、先ほど戻ってきた《復讐に燃えたファラオ》をキャスト。がっちり固めはしたが、今にも死にそうである。  《ゴブリンの投火師》は引きこんだ《破滅の刃》で処理するものの、残りライフは1。  一応、大礒の握りしめている《チャンドラの憤慨》は《否認》でケアしているものの、綱渡りに変わりはない。  しかし、《ウスーンのスフィンクス》と《空回りのドレイク》が殴り始めると、わずか3ターンで大礒のライフは削りきられてしまった。 大礒 0-1 諸藤  大礒、一戦目を落としたことで表情を引き締める。
Game 2
諸藤 拓馬
2005年王者・諸藤 拓馬
 先手をとった大礒は《ゴブリンの投火師》からビートダウンの準備。  しかし、これは《肉体のねじ切り》される。 諸藤 「ライフリンクは大事やでー♪」  返しで歌いながらプレイされた《夜の子》には、ノータイムで《火の玉》(X=1)。  仕方なく3ターン目に《空回りのドレイク》をプレイすると、これは残ってしまい、大礒のライフを削り始める。  さらに諸藤は4ターン目、5ターン目と連続で《精神腐敗》。  《チャンドラの憤慨》《炎破のドラゴン》に追加の土地と、大礒に必要なすべてが墓地送りに。  ついには諸藤が意気揚々と《センギアの吸血鬼》、続くターンに《幻影の像》(コピー《センギアの吸血鬼》)と並べると・・・  大礒はほれぼれするような鮮やかな手つきでデッキを片付けた。 大礒 0-2 諸藤
 終了後も二人はカードプールを並べ、ギャラリーも交えてデッキの検討を始める。 大礒 「《吸血鬼ののけ者》入れましょうよ!」 諸藤 「肉(クリーチャー)が少なすぎて狂喜出来んのよね」  細かなカード一枚一枚の検討から、そもそも色はこれでいいのか?まで。  二人の会話は尽きず、閉場時間まで続くのだった。  王たちは、誰よりもこの競技を愛し、誰よりもこの競技を楽しんでいる。
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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