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準々決勝: 八十岡 翔太(東京) vs. 藤本 知也(大阪)

準々決勝: 八十岡 翔太(東京) vs. 藤本 知也(大阪)

By 津村 健志


準々決勝2

八十岡 翔太

 ご存知日本が誇るスーパースター。今年だけでも、この大会を含めて3度のプレミアイベントトップ8進出を果たしている八十岡は、現在年間最優秀プレイヤーレースでも好位置につけている。
 そんな八十岡にとって、この大会の結果によって得られるプロポイントが持つ意味は非常に大きい。日本代表に入れば更なる上積みも確約されるし、準々決勝での勝利は喉から手が出るほど欲しいものだろう。
 もちろん、それを抜きにしても「グランプリチャンピオン」に続く個人タイトルを渇望している八十岡にとっては、「日本王者」というのはこれ以上ない魅力的なものに映っているはずだ。

 使用するデッキは、グランプリ・シンガポールでもトップ8に入賞した「青黒テゼレイター」である。


藤本 知也

 「ふっじー」の愛称で知られる藤本にとって、これが初めてのプレミアイベントトップ8になる。
 しかし藤本のマジック歴は驚くほどに長く、10年ほど前の日本選手権に参加した経験があると言えば、少しはその息の長さを感じとっていただけるのではないだろうか。

 大阪の強豪プレイヤーとの交流も深く、今回使用しているデッキも殿堂プレイヤーである藤田 剛史謹製の「緑白ビートダウン」となっている。藤本はオープン予選を勝ち抜いての本選参加であり、それが意味するところ誰よりも長いラウンドを経てこの席に辿りついたということである。オープン予選も合わせた、藤本のスタンダードの成績は12勝1敗。

 オープン予選から日本選手権を征したプレイヤーはいまだかつて存在しないが、はたして藤本はその名を歴史に刻めるのか。


 どちらにとっても負けられない戦いが、いよいよ始まる。


Game 1

八十岡 翔太

八十岡 翔太

 ダイスロールの結果、先手は八十岡。

 藤本の《極楽鳥/Birds of Paradise》がファーストアクションで、八十岡は《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を置いて藤本の動きを牽制する。藤本の《巣の侵略者/Nest Invader》はトークンを産まないが、2枚目の《極楽鳥/Birds of Paradise》を追加し、マナベースの安定を計る。

 八十岡の《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》が明らかにした藤本の手札は《刃の接合者/Blade Splicer》《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》《酸のスライム/Acidic Slime》の3枚。ここから《刃の接合者/Blade Splicer》を落とし、《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を設置してターンを返す。

 《巣の侵略者/Nest Invader》でアタックし、予告通り《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》を呼び出す藤本。八十岡は《漸増爆弾/Ratchet Bomb》にカウンターを乗せ、自身のターンに移るや否や即座にこれを爆発させる。これで《極楽鳥/Birds of Paradise》2体を除去し、藤本のマナベースは《森/Forest》《地盤の際/Tectonic Edge》×2と悲惨な状態に。

 さらに八十岡は自身の相棒こと《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》を呼び出し、《倦怠の宝珠/Torpor Orb》をクリーチャー化して、藤本の攻撃を抑えにかかる。

 5/5になった《倦怠の宝珠/Torpor Orb》、忠誠度が2の《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》を前に、藤本はアタックの仕方を熟考する。

 《巣の侵略者/Nest Invader》《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》、そしてアタックすると生まれる兵士トークン2体。これらのクリーチャー陣を、どのように八十岡と《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》に割り振ってアタックするのが最善手なのだろうか?
 ちなみに八十岡のライフはまだ18だ。


 藤本が出した答えは、トークン1体だけをテゼレットに、その他を本体に、というものだった。パッと見だと《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》に向けてアタックしたトークンを止められてしまうと、《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》が生き残ってしまい不利なように見えるが、仮に八十岡がそのようにブロックした場合には、《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》が死なずに次のターンもアタックできることになるため、ライフを大幅に削れるという算段だ。

 それを承知の八十岡は、《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》を残すべきか《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》を殺すべきかを天秤にかけて考えを巡らせる。結局、八十岡は《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》をブロックするプランを選択し、《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》を失うことに。

 次のターンに《定業/Preordain》を使って手札を整える八十岡。《未達への旅/Journey to Nowhere》でクリーチャー化した《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を追放されるが、前のターンに《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》をブロックしていたおかげでこのターンのダメージはわずか4点のみ。そして、残りライフが9点になったこの段階で《殴打頭蓋/Batterskull》を戦場に送り込む。

 依然として土地が《森/Forest》《平地/Plains》《地盤の際/Tectonic Edge》×2で止まっている藤本は、手札の《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》や《酸のスライム/Acidic Slime》を唱えることができず、2ターンに渡って《殴打頭蓋/Batterskull》のアタックを止めることができない。
 八十岡が《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》を追加したタイミングでようやく5枚目の土地を引き込み、《酸のスライム/Acidic Slime》で《殴打頭蓋/Batterskull》こそ割れたのだが、《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》が生き残ってしまってはゲームにならない。

 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》で「お互いドロー」モードを選択し、《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》が八十岡に更なるカードをもたらす。《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith》で藤本の戦場を壊滅させ、最後には・・・

 《ソリンの復讐/Sorin's Vengeance》で藤本を介錯した。


八十岡 1-0 藤本


Game 2

 逆転に向けて序盤から動いていきたい藤本だったが、2ターン連続で《活発な野生林/Stirring Wildwood》を置く静かな立ち上がり。対する八十岡は《定業/Preordain》→《倦怠の宝珠/Torpor Orb》、と繋ぐまずまずの展開。

 藤本は3ターン目に《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を引き、セットランドする前にこれをキャストする。これがカウンターされなかったことを受け、《湿地の干潟/Marsh Flats》を起動して3マナを得た藤本は《忘却の輪/Oblivion Ring》で《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を追放しておく。

 八十岡は《倦怠の宝珠/Torpor Orb》以降何もアクションを起こせずに、ただ土地を置くだけのターンが続く。藤本の《召喚の罠/Summoning Trap》は《冷静な反論/Stoic Rebuttal》で的確に打ち消すのだが、続く《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》には対抗策がなく、通さざるをえない。

 その後も《漸増爆弾/Ratchet Bomb》や《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》くらいしか唱えることしかできなかった八十岡は、そのまま《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》に殴りきられてしまうことに。

八十岡 1-1 藤本


Game 3

 八十岡が《定業/Preordain》を、藤本が《極楽鳥/Birds of Paradise》を1ターン目にキャスト。
 八十岡は2ターン目に《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》をキッカー=1で唱えるのだが、返しのターンで藤本がキャストしたのは「青黒」にとって致命的な《出産の殻/Birthing Pod》。

 《島/Island》しかなく黒マナの出ない八十岡は、《極楽鳥/Birds of Paradise》を除去することも叶わず、《出産の殻/Birthing Pod》が回るのを傍観するしかない。

 藤本が手札から唱えた《酸のスライム/Acidic Slime》こそカウンターするのだが、《出産の殻/Birthing Pod》が《極楽鳥/Birds of Paradise》を《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》に、そしてその《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》が《刃の接合者/Blade Splicer》に変身させると、八十岡に残された時間は残りわずか。

 結局、またしても戦場に出てしまった《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》と《出産の殻/Birthing Pod》に対処することができず、藤本が準決勝進出に王手をかける。

八十岡 1-2 藤本


Game 4

藤本 知也

藤本 知也

 なんとか勢いを取り戻したい八十岡であったが、絶好の滑り出しに成功したのは藤本だった。
 《極楽鳥/Birds of Paradise》、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》とマナベースを拡大していき、3ターン目には《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》をキャストしたのだ。

 八十岡は《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を《瞬間凍結/Flashfreeze》で弾き、すでに設置してあった《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》で5/5にして守りを固める。

 この状況で《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》を残したくない藤本は、《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith》を警戒して手札に残していた《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》の2体目と3体目を戦場へ解き放ち、3体の《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》の力を借りたセットランドからのマナで《活発な野生林/Stirring Wildwood》をクリーチャー化してアタック。
 《活発な野生林/Stirring Wildwood》は戦闘で失うが、ガンであった《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》を除去することに成功する。

 八十岡は《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》で「自分だけドロー」を選択し、少しでもライブラリーを掘り進める。しかしこちらもドローがピリッとせず、2枚目の《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を置くだけでターンを返す。
 5/5の《倦怠の宝珠/Torpor Orb》がいるため、2体の《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》へ、残る1体を本体へ向かわせる藤本。プレインズウォーカーを徹底的に対処していくことで、アドバンテージの拡大を決して許さない構えだ。

 実は早期の段階から手札に《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》を抱えている八十岡。早く6枚目の土地を引きたいところだが、ここでも引くことは叶わず、何もアクションが取れない。

 そんな八十岡とは対照的に絶好調の藤本は、トップデックした《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を戦場へ送り込みすぐさまトークンを生産。これで八十岡も動くしかなくなり、渋々《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》1体を《見栄え損ない/Disfigure》で除去して5/5の《倦怠の宝珠/Torpor Orb》で《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を攻める。

 だが2体の《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》《極楽鳥/Birds of Paradise》、ビースト・トークンをコントロールする藤本はブロッカーには困らない。毎ターンチャンプブロックで《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を守り、逆に残ったクリーチャーで八十岡にカウンターパンチを浴びせていく。

 いまだに6枚目の土地を引けないどころか、ろくなスペルも引かない八十岡。それを象徴するかのように、3枚目の《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を置く以外に何もできないでいる。
 藤本が《忘却の輪/Oblivion Ring》で5/5の《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を追放すると、トークンの群れに殴られ残るライフは9点に。

 まだ間に合う。
 八十岡は自らにそう言い聞かすかのように、静かに引いたカードを見てみるが、それも6枚目の土地ではない。
 致死量のフルアタックを《破滅の刃/Doom Blade》を使用してなんとか生き残り、最後のドローが土地であることに賭ける。
 《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》さえ出れば、どうとでもなる戦況なのだ。

 だが、最後のドローは土地でも、状況を変えうる《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith》でもなかった。
 もう一度だけ戦場を見返すが、どうやっても生き残ることができないことを悟ると、八十岡はそっと右手を差し出した。


八十岡 1-3 藤本

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