By 矢吹 哲也

　準決勝を前に、日本代表チームの２枠目が決まった。

　もうひとつの準決勝で日本代表キャプテン渡辺 雄也とその盟友たる八十岡 翔太が当たり、渡辺は勝利を譲ったのだ。これにて渡辺に加えて八十岡という強力なプレイヤーが日本代表の一員となり、世界的に見てもドリーム・チームと言って間違いないチームが結成された。

　だがまだ最後のピースが埋まっていない。

　もうひとつの準決勝卓には、昨シーズンの活躍で自身初のゴールド・レベル達成を果たした原根 健太と、今回が自身初のトップ８入賞の服部 健の姿があった。

　この試合で得られるものは、さらなる賞金とプロ・ポイント、そして「日本選手権王者」のタイトルを懸けた最後の戦いへの切符。そして、渡辺、八十岡という日本が誇るトップ・プレイヤーたちと肩を並べて日本の代表選手として世界を相手に戦う権利だ。

　両者は、じっとその時を待つ。

　日本代表最後のひと枠をかけた戦いが始まる。

服部 健(マルドゥ機体) vs.原根 健太 (４色エネルギー)

　服部は「先手いただきます」と声をかけ、初手を確認。しばらく悩んだのちにキープを宣言する。

　しかしその１ターン目に服部からの展開はなかった。彼は２ターン目に《キランの真意号》を繰り出すと、原根は《導路の召使い》でスタート。服部は《スレイベンの検査官》を繰り出す。

　原根は《導路の召使い》で攻撃を始め、《ならず者の精製屋》を盤面に追加した。服部は《ピア・ナラー》を展開して《キランの真意号》の「搭乗」要員を用意すると、反撃に出る。

　しかし原根はここで《栄光をもたらすもの》を繰り出すと早速「督励」し、《ピア・ナラー》を退場させつつ服部のライフを残り10点に。服部は《難題の予見者》を盤面に追加して原根の手札から《蓄霊稲妻》を抜くと、《キランの真意号》と飛行機械・トークンで反撃し、原根とのライフ・レースに食らいつく。

　原根の再びの攻撃に《スレイベンの検査官》をチャンプ・ブロックに差し出した服部だが、残りライフはこれで８点。原根は２枚目の《蓄霊稲妻》で《難題の予見者》を除去すると、２体目の《導路の召使い》を加えてターンを返す。

　服部は《歩行バリスタ》を展開し、守りに入った。原根は《栄光をもたらすもの》の「督励」を含め全軍で攻撃し、服部はブロックと《歩行バリスタ》の能力でダメージを最小限に留めた。それでも《導路の召使い》２体の攻撃が通り、服部のライフは残り４点と追い詰められる。

　この戦闘で服部の盤面も一掃できた原根は、《反逆の先導者、チャンドラ》でアドバンテージ差もつけた。最後のドローを確認した服部は「負けですね」とカードを片付けるのだった。

　再び服部の先手で始まる第２ゲーム、しかし彼はここでマリガンを喫することになった。原根はキープを宣言すると、対戦相手の準備が整うのを待つ。服部は６枚の手札を眺めると、ひと息吐いてキープを選択した。

　服部の２ターン目《屑鉄場のたかり屋》がこのゲームの始まりの合図となった、原根はそれを《蓄霊稲妻》で除去し、服部は２枚目の《屑鉄場のたかり屋》を展開する。

　原根は《ならず者の精製屋》を繰り出し、服部の攻撃を相討ちに取った。しかし服部は《屑鉄場のたかり屋》を墓地から戻し、再度攻撃。これが通り、ファースト・ダメージを与えることに成功する。彼は続けて《スレイベンの検査官》を追加し、ターンを渡した。

　原根は《栄光をもたらすもの》を繰り出したが、そこには《無許可の分解》が差し向けられた。返しの反撃も受け、これで原根のライフは残り10点と落ち込んだ。

　それでも原根は《光輝の炎》で服部の盤面を一掃し、再び墓地から戻ってきた《屑鉄場のたかり屋》にも《削剥》を撃ち込んだ。これで両者の盤面には土地以外のものがなくなる。

　服部は《》を唱え、原根は２枚目の《削剥》を《キランの真意号》へ差し向ける。

　しかし服部は、その直後に《領事の旗艦、スカイソブリン》を着地させた。ターンを迎えた原根は《捲土 // 重来》で《屑鉄場のたかり屋》を墓地へ落としつつ、互いの墓地をライブラリーへ戻す。

　服部は《キランの真意号》を引き込んだが、「搭乗」するクリーチャーがいない。しかしこれらの機体が動き出せば、原根は瞬く間に追い詰められることになるだろう。原根は《反逆の先導者、チャンドラ》を呼び出し、さらに［+1］でマナを生み出すと《栄光をもたらすもの》も展開。攻勢に出た。

　しかし服部はここで《ピア・ナラー》を引き込み、《領事の旗艦、スカイソブリン》で原根のライフを一気に危険域へ落とした。原根は《栄光をもたらすもの》の「督励」で《ピア・ナラー》を除去し、これ以上「搭乗」要員を引かれないことを願う。ライブラリー・トップを手札に加えた服部は盤面を吟味し......《模範的な造り手》！

　だが原根はパワーが上がる前に《蓄霊稲妻》を放ち、機体への搭乗を防いだ。服部は飛行機械で反撃し、《イフニルの死界》で原根の《ならず者の精製屋》を退場させる。それでも原根は２枚目の《ならず者の精製屋》を引き込み、《反逆の先導者、チャンドラ》の［+1］経由で《スカラベの神》も盤面に追加した。次の原根の攻撃は、十分に致死量に届く。

　「ラストターン」と呟いた服部はライブラリーの一番上を引き込んだ――そこには《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の姿が！

　ギデオンに呼び出された同盟者・トークンと飛行機械・トークンが《領事の旗艦、スカイソブリン》に「搭乗」し、ギデオン自身は《キランの真意号》へ乗り込むと、今度は原根が「負けました」とカードを片付けることになった。、

　最終ゲーム、原根は１ターン目《霊気との調和》でエネルギーと土地を得ると、服部は今度こそとばかりに１ターン目から《模範的な造り手》を繰り出した。

　原根は２ターン目も《霊気との調和》を唱え、エネルギーを蓄積していく。一方の服部はここにきて２ターン目《キランの真意号》のベスト・ムーブを決め、続けて《屑鉄場のたかり屋》も盤面へ追加した。

　原根は《削剥》で《キランの真意号》を対処し、《つむじ風の巨匠》を着地させた。固い防御を前にした服部だが、《霊気圏の収集艇》を盤面に加えて３/２クリーチャー２体での攻撃を続ける。

　原根は飛行機械・トークンを２体生成したのちに、《つむじ風の巨匠》本体で《模範的な造り手》を相討ちに取った。そして迎えたターンに《栄光をもたらすもの》を盤面へ送り出すと、「督励」で《屑鉄場のたかり屋》を焼き払い一挙７点のダメージを与える。

　服部は《屑鉄場のたかり屋》を《霊気圏の収集艇》へ「搭乗」させ、原根にダメージを与えつつ自身のライフを回復した。この時点で両者の残りライフは服部が15点で原根が８点。残りライフでは服部が優位だが、しかし原根は２体目の《つむじ風の巨匠》と《牙長獣の仔》を展開し、盤面を圧倒する。

　服部は再び《霊気圏の収集艇》に絆魂をつけて攻撃。原根は《ならず者の精製屋》を一気に２体盤面に加え、ターンを終了した。

　実はこのとき、服部の手札には《大天使アヴァシン》があった。原根が中途半端な反撃に出れば、形勢は変わっていたかもしれない。

　攻撃を通すのが極めて難しい状態の服部は、《ラムナプの遺跡》で原根のライフを直接狙っていく。その上で《領事の旗艦、スカイソブリン》を繰り出した服部は、その砲撃で《つむじ風の巨匠》を墓地へ送った。

　原根はターンを迎えると、満を持して全軍で攻撃した。《栄光をもたらすもの》の「督励」で服部が持つ唯一の「搭乗」要員である《屑鉄場のたかり屋》を狙うと、服部はそれが墓地へ落ちる前に《霊気圏の収集艇》へ「搭乗」させた。

　《牙長獣の仔》をブロックして仕留めた服部だが、これで一気に13点ものダメージが入り、そして原根はさらなる《つむじ風の巨匠》と《導路の召使い》を繰り出して防御に回し、ターンを終えた。

　服部は、再び「ラストターン」を迎えた。

　しかしこの状況を打破するすべは引き込めず、彼は手札をテーブルに置くと力強く右手を伸ばし、原根の日本代表入りを祝福したのだった。

服部 1-2 原根

　決着直後、側で見ていた渡辺と八十岡とともに、原根は日本代表３人で並んで速報用の写真を撮った。

　このチームを見て、日本代表の勝利を疑う者はないだろう。

　早くも「歴代最強」と話題になっている日本代表チームの最後のひとりは、新世代の最注目プレイヤー、原根 健太だ！

原根 健太が服部 健を２勝１敗で下し、日本代表チーム入り決定！　日本選手権2017決勝へ！