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プレビュー: オールカードドラフトのススメ

プレビュー: オールカードドラフトのススメ

by Yuuya Watanabe


 ついに始まりましたThe Limits2011!!
 もうすっかり冬の風物詩となっているThe Limitsですが、今年はどんな戦いが繰り広げられるのでしょうか。

 The Limits最大の目玉といえば、やはり決勝で行われるオールカードロチェスタードラフト。
 普通に参加できるようなイベントではなかなか採用されることのないフォーマットなので、実際に経験したことのある方はそう多くはないでしょう。

 ルール自体は知っていても、
「実際オールカードドラフトってどんなものなの?」
 という方が大半ではないかと思います。

 ここではその「オールカードドラフト」という種目が、一体どんなものなのかを説明していきます。

 偶然にも筆者はイニストラードのオールカードドラフトをやる機会があり、そこで得た知識を元に今回のトピックを書かせていただくことになりました。
 実際に一回やった経験を踏まえつつ、この環境のオールカードドラフトが一体どういうものなのかを皆さんにお伝えしていこうと思います。


オールカードドラフトはここが違う!

○アーキタイプドラフトである

 セットの全てのカードを使うこのフォーマットでは、理論上では環境に存在する全てのアーキタイプを構築することが可能です。
 オールカードドラフトと言えば、その環境にある強力レアたちのぶつかり合いというイメージがありますが、フォーマットの性質上卓内の全てのプレイヤーが爆弾レアを持っているので、いかにしてそういった強力レアに負けないような強いデッキを組むかが重要になります。

 やはり強力レアに対抗するには、コモンまで有効に使えるアーキタイプドラフトがもっとも効果的です。

 ではイニストラード・ドラフトのアーキタイプを整理してみましょう。

 この環境の最強アーキタイプと名高い《旅の準備/Travel Preparations》の白緑


 飛行クリーチャーと《戦慄の感覚/Feeling of Dread》の青白


 赤と緑の各種狼男を《月霧/Moonmist》でサポートする赤緑狼男


 青と黒のゾンビシナジーの青黒ゾンビ


 全体的にパーツを安く取れる赤黒吸血鬼


 青と緑のカードで墓地を肥やして《蜘蛛の発生/Spider Spawning》を撃つ発掘


 とにかく《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》と呪文をかき集める虫人間ドラフト


 《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》と青と赤の各種フラッシュバックを活用する青赤フラッシュバック


 おおまかにですが、この環境でアーキタイプと呼べそうなのはこの8つです。

 今年のオールカードドラフトはコモンが各2枚ずつでそれ以外は全て1枚ずつ。
 したがって、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》をかき集める虫人間や、《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》が1枚しか取れない青赤フラッシュバックはアーキタイプとして成立しませんが、それ以外の6つはどれも狙うことができるので、これらのアーキタイプを卓上で住み分けしていくことになります。

 卓の人数に対してアーキタイプの数の方が少ないので、いかに空いているアーキタイプを読み切ってそこに切り込むかが重要です。


○強力レアから狙えるアーキタイプ

 ここで1周目で消えそうな強力カードと、それから狙えそうなアーキタイプをちょっとだけ見てみます。

《月皇ミケウス/Mikaeus, the Lunarch》


狙えるアーキタイプ:緑白、青白

 分かりやすい白の1番手。
 緑白・青白どちらで使っても良いですが、《旅の準備/Travel Preparations》《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》でのカウンター補充が見込める緑白ならより活躍が見込めそう。
 最悪タッチしても使える万能カード。


《血統の守り手/Bloodline Keeper》


狙えるアーキタイプ:赤黒吸血鬼、青黒ゾンビ

 単体で十分強いですが、赤黒吸血鬼なら変身の条件とロード能力が噛み合っていますね。


《ケッシグの檻破り/Kessig Cagebreakers》


狙えるアーキタイプ:緑白、赤緑狼男、発掘

 カードとしての強さも一級線なのと、こいつから狙えるアーキタイプの広さが高評価。
 卓の状況次第で空いているアーキタイプを選べる受けの広いナイスカード。


 最初手で取るレアもアーキタイプ争いに関与する重要な要素。
 実際のピックでも、そういった部分を考慮しながら見てみると面白いかもしれません。


○上下の色被りは重要では「ない」

 普通のドラフトでは上下のプレイヤーとはやっている色を被らないようにするものですが、オールカードドラフトではそれを気にする必要はありません。
 卓のカードがランダムな普通のドラフトとは違い、全てのカードが出揃っているオールカードドラフトにおいては、デッキを構築するのに必要な枚数のカードを確保するのは容易です。

 大事なのは何人のプレイヤーがその色をやっているかということ。
 結局は全てのカードから取り合いになるので、自分のやっている色の競争相手が何人居るかが重要なのです。
 一つの色を3人で取り合っているのか、それとも4人で取り合っているのかでデッキのクオリティは大きく変わってきますからね。
 例え上下どちらかのプレイヤーと色が被ったとしても、最終的に競争相手が少ない状況の方が強力なデッキを組むことができるでしょう。

 要は、いかに有利なポジションを確保するか。
 席順決めから始まる各プレイヤーの動向は見物ですね。


○対面メタやカット

 「対面メタ」は、初戦の相手のデッキに対し、それに強いカードをメインから使うというもの。
 オールカードドラフトでは、相手のデッキがピックの途中である程度分かるからです。
 普段ではメインから入れないようなサイドカードでも、初戦の相手に有効だからという理由でメインから使うことも戦略として十分に有り得ます。

 《緊急の除霊/Urgent Exorcism》や《墓場の浄化/Purify the Grave》のような相手を選ぶカードでも、対面のデッキ次第ではメインに入る可能性も。

 また卓内で一つ抜きん出ているデッキができそうな時は、それに対してカットをすることもオールカードドラフトの重要な要素の一つ。
 状況次第ですが、自分のデッキを作るよりもカットを優先した方が良い場合もあったりします。
 自分のデッキ用の23~25枚が確保できたら、サイドカードより先にまだデッキができていない他のプレイヤーのカットに走るのもありでしょう。

 その辺りのプレイヤー達の動きにも注目したいですね。


 筆者の経験を基にした、オールカードドラフトの考察はここまでにします。

 ここでいくら語っても、ドラフトするプレイヤーの手腕でいくらでも姿を変えるのがオールカードドラフトというフォーマット。
 予選ラウンドを通過したリミテッド巧者たちは、一体どんなドラフトを見せてくれるのでしょうか。
 今から楽しみですね。

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