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【戦略記事】 5人の目指す「5本勝負」

【戦略記事】 5人の目指す「5本勝負」

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Nate Price / Tr. Tetsuya Yabuki

2013年8月1日

原文はこちら

 私は、大会に持ち込むデッキを構築したり選択したりする際の思考の流れについて、プレイヤーたちと話をするのが好きだ。気が遠くなるほど複雑な思考プロセスには考慮すべき要素がたくさんあり、なるほどこれは大会で最もミスが起きやすい部分のひとつではないか、と私は感じている。メタゲームの読み違い、特定のマッチアップでのカード評価の誤り、サイドボードの重要性の見落とし......デッキリストに潜む落とし穴は、とてつもなく大きいのだ。そしてその落とし穴に落ちるのは、アマチュア・プレイヤーに限った話ではない。プロツアーでも毎回のように見られることだ。プレイヤーたちは、自分たちのデッキこそ理想形だと信じて大会に姿を現し、その後ひとつかふたつ間違っていたことに気づく。デッキ選択は、それ自体がひとつの勝負なのだ。

 世界選手権がもたらす興味深い考察材料のひとつが、その大会の形式だ。2本先取の試合を12ラウンドこなした後、上位4人のプレイヤーが3本先取でモダンのデッキをぶつけ合い、世界王者を決する。一見特に問題が無いように見えるが、しかしこの流れはそのことを考慮に入れるプレイヤーには大きく関わってくる。

「僕らは、細かいところまで具体的に理由を突き詰めてデッキを選んだよ」と、マーティン・ジュザ/Martin Juzaが説明する。彼に加えてスタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifka、中村修平、渡辺雄也、ベン・スターク/Ben Starkの4人の仲間たち全員が、スタンダードとモダンどちらも青白赤フラッシュを手にこの大会へやって来た。彼らのデッキ選択の決め手は、必ずしも青白赤フラッシュがモダンで最高のデッキだという認識に基づいたものではないという。


マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2013に向けて、トップ4ラウンドにおける5本勝負のゲームにうってつけなデッキを見つけ出すため、5人のプレイヤーが団結した。モダンで行われる3本勝負の試合3つと、その後の5本勝負の試合2つまで見据えて彼らが選択したもの、それが青白赤フラッシュだ。

「サイドボードが一番充実してるのはこのデッキだと感じたんだ。トップ4ラウンドで有利が取れるようにしたかった」とジュザが続ける。「優勝することが一番重要だから、そこを足がかりにデッキを決めたよ。トップ4ラウンドがモダンで、5本勝負で行われるから、できるだけ多くのゲームで最適な60枚が用意できるデッキが欲しかった。フラッシュはサイドボードが一番充実していたから、僕らはフラッシュを使ったんだ」

 サイドボードを見てみると、ジュザと仲間たちが気をみなぎらせている理由がすぐにわかった。当たり得るデッキすべてに対して解答が用意され、その大半がインスタントかソーサリーなのだ。実際の試合では、《瞬唱の魔道士》のおかげでサイドカードを使える機会がさらに増えるだろう。緑のデッキと《最後のトロール、スラーン》に対しては《神聖なる埋葬》。《島》をふんだんに使うデッキには《払拭》。《風景の変容》には《疑念の影》、といった具合にサイドカードが長々と羅列されているのだ。

「正直言って、2ゲーム目以降はどんなデッキに対しても有利が取れると思う」とジュザは太鼓判を押した。「サイドボードに採用したカードはどれも優秀で、《瞬唱の魔道士》がさらにその力を引き出してくれる。2枚では効果が薄くとも、《瞬唱の魔道士》と合わせて6枚ならよく効くよ」

 マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2013のような大会に向けてデッキを選択するのは、困難を極める可能性が高い。どの試合においても勝利が重視されるので、これなら勝てると感じたデッキを使いたいところだ。それでも、3ラウンドという短期戦ではなく15ラウンドを戦うなら、「全体の環境に合った」デッキを使う方が効果的だ。このように、多くのプレイヤーが「他と比べてどれだけ手に馴染んでいるか」、ということ以上の考えを基準にしてデッキ選択を行っていたのだ。

 こうしてみると、ジュザと仲間たちの決断がぐっと面白くなる。彼らは「良く知っているデッキ、あるいは名前を聞いたことのあるデッキを使うことが、環境に合ったデッキ選択だ」という社会通年を避けて、大会の「構造」に良く合ったデッキを選んだ。デッキ選択に一般的な基準を用いないこと、それが独特な大会構造を持つ世界選手権において重要なことなのだ。

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