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【観戦記事】 決勝:星霜の再来 Reid Duke(アメリカ) vs. Shahar Shenhar(イスラエル)

【観戦記事】 決勝:星霜の再来 Reid Duke(アメリカ) vs. Shahar Shenhar(イスラエル)

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Josh Bennett / Tr. Tetsuya Yabuki

2013年8月4日

原文はこちら

リード・デューク/Reid Duke(「呪禁」) vs. シャハール・シェンハー/Shahar Shenhar(青白赤コントロール)

 リード・デュークが過ごしたこの1年は、そのすべてがこの試合に向かっていた。昨年のマジック・プレイヤー選手権で喫した2勝10敗という残酷なまでの結果は、彼を深く傷つけた。しかしそれが長く尾を引くことはなかった。彼はその悔しさをモチベーションに変えたのだ――マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2013へ戻るのに必要なプロ・ポイントを稼ぎ、昨年の結果を上書きしてやる、と。世界選手権に参加できるかどうかはシーズン最後の試合までもつれ込んだが、彼はそれを成し遂げた。本題はここからだ。世界最高の15人との、1対1の勝負。大丈夫。彼は5-0でスタートを切って大会を牽引すると、そのまま首位でスイス・ラウンドを終えた。ひとつ前の試合では、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに君臨するジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leytonを打ち破った。そしてあとひとり、最後の試練として彼の前に立ちはだかるプレイヤーがいる。

 その名はシャハール・シェンハー。弱冠19歳にして彼のプロ・キャリアは今まさに上り調子で、すでに3つのグランプリ・タイトルを獲得している。シェンハーと活動を共にする者なら誰でも、彼がプロツアートップ8常連になるのも時間の問題だと、口を揃えて言うだろう。今大会でも、彼はデュークの後を追い続けトップ4入りを果たしている。しかし、シェンハーは他の部分に時間を割くことができなかった。彼はイスラエル・チームのキャプテンとしてワールド・マジック・カップにも参加しなければならなかった。チームは初日を通して苦戦し、4-3の成績でなんとか2日目へ進出した。彼らはステージ1も突破したが、トップ16までいったところで車輪が外れた。0-3という不本意な結果で、彼らの歩みは止まったのである。それでもシェンハーは気をとり直して個人戦トップ4の試合に集中し、準決勝で殿堂顕彰者ベン・スターク/Ben Starkを撃破してきた。


ふたりの若き才能あるマジック・プレイヤーたち。この週末に輝きを見せた彼らが、決勝戦で相見える。この試合の勝者が、マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2013王者の称号を得るのだ。

 デュークは、モダンでの使用デッキに「呪禁」デッキを選択した。エンチャントを活用し、嘘のような大ダメージを生み出す電光石火のデッキだ。シェンハーが操るのは、環境最強のスペルを詰め込んだ青白赤コントロールだ。両者は第11回戦にこれらのデッキで顔を合わせている。2本先取の試合だったが、結果はデュークの2連勝だった。プレイテストもこの結果を裏付けていた。デュークがこれほどまで恵まれた状況はなかった。今、彼の名前がトロフィーに刻まれていないのは、その伝説的な人柄の良さのために他ならない。

試合

 デュークは第1ゲーム、幸先悪くマリガンからの6枚でスタートした。彼は1ターン目に《林間隠れの斥候》を繰り出す。

「悪い知らせだな」とシェンハーが漏らす。

 それは思ったよりも悪くはならなかった。デュークの続くターンは《ハイエナの陰影》1枚と2体目の《林間隠れの斥候》だった。シェンハーはデュークが貼ろうとするエンチャントをいくつか止めていったが、《怨恨》が通ると、あっという間にライフが9点まで落ち込んだ。《林間隠れの斥候》に対処するすべは無く、シェンハーはライフ・レースに臨んだ。

 デュークは土地からのダメージを受けており、そこへ《瞬唱の魔道士》の攻撃と《復讐のアジャニ》の《稲妻のらせん》能力が加わると、デュークのライフは10点になった。シェンハーのライフは7。さらなるデュークの攻撃で1点まで落とされるものの、希望を残した。が、しかし、続くターンの最後の攻撃を止めることはできなかった。

 デューク 1-0 シェンハー

 デュークは第2ゲーム開幕一番、《ぬめるボーグル》に《鋭い感覚》と《怨恨》だけつけて攻撃を始めた。シェンハーは《瞬唱の魔道士》を瞬速で出してブロックに回し、エンチャントのついた《ぬめるボーグル》を戦場から取り去った。これがこのゲームのテーマと言えるもので、シェンハーの脅威に対する解答だった。しかし、デュークのカードの質は落ちなかった。


デュークのデッキは、必要とあればデッキの流れを絶やさないようにできる。

 デュークは別の《ぬめるボーグル》を強化し始めた。《コーの精霊の踊り手》がカードを1枚もたらした後、シェンハーはそれを《電解》した。デュークは一か八か、《ぬめるボーグル》にエンチャントを注ぎ込むことにした。それを《仕組まれた爆薬》がX=1で処理する。デュークが続けて繰り出した《コーの精霊の踊り手》2体にも、シェンハーはなんとか解答を用意した。それでもなお、デュークは彼のデッキの灯を燃やし続けた。

 4枚目の《コーの精霊の踊り手》が降り立ち、今度は除去が飛んでこなかった。デュークはそれに《怨恨》、《ハイエナの陰影》、《鋭い感覚》をまとわせた。《稲妻のらせん》2枚を使い、シェンハーはライフ3点で生き延びた。デュークのライフは5点だ。しかしあと一歩届かず、デュークが優勝まで残り1勝とした。

 デューク 2-0 シェンハー

 デュークの立ち上がりは3ターン目、《ぬめるボーグル》に《怨恨》と《蜘蛛の陰影》をつけて4点で攻撃、という「遅い」動きだった。シェンハーは4枚目の土地を置いてターンを渡す。デュークが《天上の鎧》を出してみるとそれが解決され、彼はさらに《夜明けの宝冠》も加えた。

 しかし、すべてはシェンハーの布石だった。《謎めいた命令》がデュークの攻撃を止め、《蜘蛛の陰影》を手札に戻した。これで、デュークは次に来る《至高の評決》からクリーチャーを守れなくなった。ここから、シェンハーは続くデュークのクリーチャー2体を止め、《ヴェンディリオン三人衆》で攻撃を始めた。《ヴェンディリオン三人衆》はまた、デュークの手札にエンチャントしかないことを確認した。デュークはクリーチャーを引き込めず、《稲妻》と《瞬唱の魔道士》が手を合わせ、シェンハーにゲームをもたらした。

 デューク 2-1 シェンハー

 勝算はまだデュークに大きく寄っていた。彼は続く2ゲームのうちひとつを取れば十分で、2ゲームとも先手が取れるのだ。

 再び、デュークは《ぬめるボーグル》とエンチャントの恩恵で好調なスタートを切った。シェンハーはデュークの4ターン目のドロー・ステップ中に《ヴェンディリオン三人衆》をプレイし、彼の手札の内容を確認しつつ攻撃手を得たものの、その代償は大きかった。デュークの攻撃でシェンハーのライフは6点になり、もう攻撃を通せなくなった。


シェンハーが再びこの試合の勝利への道を登り始める。

 シェンハーは空中から反撃し、4マナ立たせてターンを返した。《謎めいた命令》を使い、デュークに攻撃をさせない。あとどれだけ持ちこたえられるのか? 次のターンは《ヴェンディリオン三人衆》でブロックに入り、それを《修復の天使》で守った。空から6点で攻撃し、デュークのライフは残り15。《瞬唱の魔道士》が《謎めいた命令》を復活させ、デュークの攻撃の機会をもう一度奪った。シェンハーは再び攻撃を加え、続けて《稲妻》、《瞬唱の魔道士》、《稲妻のらせん》と火力の数々を放出し、デュークから2ゲーム目を奪った!

 デューク 2-2 シェンハー

「5ゲーム目か。まさかここまで来られるなんて」――シャハール・シェンハー

 デュークは初手の7枚をすぐにデッキへ戻し、もう一度同じことを繰り返した。5枚になった手札を引き寄せ、その手札を吟味する苦しい時間を過ごす。

「マリガン」とデュークは宣言した。

 シェンハーは手札を顔の近くに寄せ、努めて平静を装った。興奮が彼の体中を巡っているのは明らかだ。声はしっかりしているが、手が震えていた。勝ちは自動的に転がり込んではこない、とシェンハーはわかっていた。デュークのデッキは手札が4枚でもあっさり勝てるのだ。デュークはカードを4枚テーブルに置き、それらを拾った。

 キープ。

 デュークの手札には開幕を飾る1マナ域が無かった。彼は《ドライアドの東屋》を持ってきてそこに《鋭い感覚》をつけて攻撃し、カードを得た。それで攻撃できたのは1度だけだった。《稲妻》が《ドライアドの東屋》を戦場から取り去る。デュークは続けて《林間隠れの斥候》を《怨恨》つきで戦場へ送った。

 シェンハーはフェッチランドを起動して、アンタップ後《仕組まれた爆薬》を唱えた。彼の指がわずかに震えた。デュークの勝ちへの道は閉ざされつつある。シェンハーはそれを意識した。《林間隠れの斥候》から3点のダメージを受ける余裕すらあった。解答はすべてあったのだ。《コーの精霊の踊り手》には《マナ漏出》を合わせ、《仕組まれた爆薬》が《林間隠れの斥候》を取り払った。

 デュークに残されたものは、戦場にある土地と手札の《怨恨》のみ。終わりが来たのだ。

 《雷口のヘルカイト》が戦場に降り立ち、5点の大打撃を与えた。デュークはドロー後ゆっくりと息を吐き、頭を振った。少し考えて、《林間隠れの斥候》と《怨恨》をプレイした。ターンをシェンハーに渡す。

「《瞬唱の魔道士》があるんだ」とシェンハーが言い、それをデュークに見せた。

 デュークは頷く。「とどめを刺してくれ」その顔は笑っていた。


シェンハーは願いを聞き入れ、デュークは握手を求めた。

 会場中が歓声に沸いた。その瞬間、シェンハーはアメリカのマジック・プレイヤーたち――ベン・スターク/Ben Stark、エリック・フローリッヒ/Eric Froehlich、トム・マーテル/Tom Martell、ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton、そしてアメリカ・チームのメンバーたち――にもみくちゃにされた。全員が満面の笑みでシェンハーの奇跡的な勝利を祝福した。


シャハール・シェンハー、マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2013優勝おめでとう!

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